クラウド利用のリスクを最小化!情報セキュリティマネジメントガイドラインの活用法|サイバーセキュリティ.com

クラウド利用のリスクを最小化!情報セキュリティマネジメントガイドラインの活用法

クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」(2013年)は
経済産業省が作成したガイドラインです。
このガイドラインを活用して、クラウドサービス利用時の情報セキュリティ管理を企業が
どのように進めるべきかをわかりやすく解説します。


クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン解説

クラウドサービスの活用は、企業の業務効率化やコスト削減に寄与する一方で、情報セキュリティのリスクを伴います。
経済産業省が公表した「クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」は、
クラウド利用時に必要なセキュリティ対策を包括的にまとめたものです。
本記事では、このガイドラインの要点を解説し、企業が安全にクラウドサービスを利用するための方法を具体的に説明します。


ガイドラインの目的と意義

このガイドラインは、クラウドサービスを利用する企業が以下の目的を達成するための指針として策定されています。

  • クラウドサービスに関連する情報セキュリティリスクを適切に管理
  • プロバイダーと利用者の責任分担の明確化
  • 利用者自身のセキュリティ対策を実施するためのフレームワークを提供

特に、クラウドサービスは外部委託型のモデルであり、データの保存場所や管理責任が曖昧になりがちです。
このガイドラインは、そうした課題を解消し、安全性を確保するための重要な道しるべとなります。


1. クラウドサービス利用時のリスク管理

主なリスク要因

資料では、クラウド利用に伴う主なリスクとして以下を挙げています。

  1. データ漏えいクラウド上のデータが不正アクセスや設定ミスにより漏えいする可能性
  2. サービス停止:プロバイダーの障害や災害により、サービスが利用できなくなるリスク
  3. 規制遵守の困難:データが保存される場所や取り扱いが法規制に違反する可能性がある

リスク軽減の基本方針

ガイドラインでは、以下の基本方針が提案されています。

  • クラウド利用の目的や範囲を明確にし、適切なプロバイダーを選定
  • データの分類と重要度に応じたセキュリティ対策を講じる
  • 定期的なリスク評価を実施し、対策を更新

2. セキュリティ責任の明確化

ガイドラインでは、クラウドサービスのセキュリティ責任を「クラウドサービスプロバイダー(CSP)」と「利用者(企業)」の間で分担する必要性を強調しています。

責任分担の例

項目 プロバイダーの責任 利用者の責任
サーバー・ネットワーク管理 データセンターの運用、監視、保守 利用者のアクセス管理設定
データ保護 ストレージ暗号化、バックアップの提供 保存データの暗号化、機密データの分類
法令遵守 サービス提供地域の規制遵守 データ使用国の選定、契約内容の確認

実施すべき対策

  • 契約時の確認:責任範囲が明確に記載されている契約内容を確認
  • 運用管理:データアクセスやアカウント管理を自社で徹底し、内部不正を防止

3. 導入フェーズにおける留意点

クラウドサービスを利用する前に実施すべき具体的な準備について解説しています。

3-1. クラウドプロバイダーの選定

  • 評価基準の明確化セキュリティ認証(ISO 27001やSOC 2)を取得しているプロバイダーを選ぶ
  • データセンターの所在地確認規制に適合した場所にデータが保存されるかを確認
  • 障害対応計画の有無プロバイダーが災害時やシステム障害時の対応策を準備しているかを確認

3-2. セキュリティ要件の策定

  • データ暗号化や多要素認証など、業務内容に応じたセキュリティ基準を定義する
  • サービス終了時のデータ返却や削除のプロセスを確認する

4. 運用フェーズにおけるセキュリティ管理

クラウドサービス導入後も、継続的なセキュリティ管理が必要です。

4-1. アクセス制御

  • 最小権限の原則:各従業員に必要最低限のアクセス権のみを付与
  • 多要素認証(MFA)ログイン時に追加認証を導入し、不正アクセスを防止

4-2. ログ監視と分析

  • 監査ログの取得クラウド上の操作履歴を記録し、異常な行動を特定
  • SIEMツールの活用ログデータを統合的に分析し、リスクを可視化

4-3. 定期的なリスク評価

  • クラウドサービスの利用状況を定期的に見直しセキュリティ体制を更新

5. サービス終了時の対応

クラウドサービスを利用停止する場合にも、データ保護が重要です。

データ移行計画

他のクラウドサービスやオンプレミス環境への移行計画を策定し、データの損失を防ぐ

データ削除の確認

プロバイダーがデータを完全に削除したことを証明する文書を取得する


6. 法令遵守とフレームワーク

規制遵守

ガイドラインでは、各国の法令や業界基準に準拠した運用が求められます。

  • GDPR:データ主体の権利を保護するため、EU域内でのデータ処理に関する規制
  • 個人情報保護法日本国内での個人データ管理に関する法規制

セキュリティフレームワーク

  • ISO 27017:クラウドサービスに特化したセキュリティ管理策
  • CSA(Cloud Security Alliance):クラウド利用におけるベストプラクティスを提供

まとめ

経済産業省の「クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」は、クラウド利用時のセキュリティリスクを軽減し、効率的な運用を実現するための指針です。
本記事を参考に、導入前の準備運用中の管理終了時の対応を体系的に実施し、クラウドサービスのメリットを最大限に活用してください。

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