
UTM(統合脅威管理:Unified Threat Management)は、ファイアウォールやアンチウイルス、侵入検知・防御(IDS/IPS)などの機能を統合したセキュリティ対策機器です。
近年、サイバー攻撃のターゲットは大企業だけでなく、セキュリティが手薄な零細企業にも広がっており、適切な対策を講じることが求められています。
しかし、零細企業の場合、「コスト負担が大きい」「専門知識がない」「運用が難しい」 などの理由で、十分なセキュリティ対策を導入できていないケースが多いのが現状です。
本記事では、零細企業がUTMを導入すべき理由、導入のメリット、コストを抑える方法、具体的な製品選定のポイント、運用の注意点 について詳しく解説します。
目次
1. 零細企業でもUTMが必要な理由
「うちは小規模だからサイバー攻撃の対象にならない」と考えていませんか?
実は、セキュリティが甘い零細企業こそ、攻撃者にとって格好の標的 となっています。
① 零細企業がサイバー攻撃の標的になりやすい理由
- セキュリティ対策が不十分
ファイアウォールやウイルス対策が未導入 - サプライチェーン攻撃の入り口にされる
取引先の大企業経由で攻撃される - ランサムウェアの被害が増加
攻撃者にとって身代金を要求しやすいターゲット - 不正アクセスによる顧客情報の流出リスク
顧客データが狙われる
近年の被害事例
- 零細企業の業務用PCがマルウェアに感染 → 顧客情報が流出し、取引先との信用が低下
- ランサムウェア攻撃で業務データが暗号化 → 復旧費用が負担できず事業停止
➡ こうした被害を防ぐために、零細企業でもUTMを導入し、総合的なセキュリティ対策を実施する必要があります。
2. UTMを導入するメリット
① コストを抑えて「オールインワン」対策ができる
UTMは、複数のセキュリティ機能を1台で提供する統合型ソリューション です。
通常、セキュリティ対策を個別に導入すると、それぞれの機器やソフトウェアの購入・管理コストがかかりますが、UTMなら1台で完結 するため、コストと管理の手間を削減できます。
UTMに統合されている主な機能
機能 | 役割 |
---|---|
ファイアウォール | 不正アクセスを防ぐ |
アンチウイルス | マルウェアやウイルスをブロック |
侵入検知・防御(IDS/IPS) | サイバー攻撃を検知・防御 |
URLフィルタリング | 危険なWebサイトへのアクセスを制限 |
スパムメール対策 | フィッシングメールをブロック |
VPN(仮想プライベートネットワーク) | 安全なリモートアクセスを提供 |
② 専門知識がなくても簡単に運用できる
- 設定・管理が容易
- 多くのUTMは、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)で設定が可能。
- 専門知識がなくても基本的な操作ができる。
- クラウド型や管理サービス付きのUTMもある
- セキュリティ専門業者が運用をサポートするサービス(MSS:マネージドセキュリティサービス)を利用すれば、さらに手軽に運用可能。
③ サイバー攻撃から企業と顧客を守る
- ランサムウェア対策: 不審なファイルのダウンロードを防ぐ
- フィッシング詐欺対策: 偽サイトへのアクセスを遮断
- 社内ネットワークの安全性向上: 不正アクセスを防ぐことで、業務システムを保護
3. コストを抑えてUTMを導入する方法
「UTMは高価なのでは?」と心配する方も多いですが、低コストで導入できる選択肢も増えています。
① 低価格のUTMを選ぶ
製品名 | 価格帯(目安) | 特徴 |
---|---|---|
Fortinet FortiGate 40F | 5万円~10万円 | 小規模オフィス向け、VPN対応 |
Sophos XG 86 | 7万円~12万円 | クラウド管理機能あり |
WatchGuard Firebox T20 | 8万円~15万円 | 簡単設定、低コスト |
YAMAHA FWX120 | 3万円~6万円 | 日本国内向け、手軽なVPN機能 |
② 月額レンタルサービスを活用
- リース型(サブスクリプション型)UTM を利用すると、月額5,000円~20,000円程度 で導入可能。
- メンテナンスや監視サービス付きのプラン もあり、社内にIT担当者がいない企業でも安心。
③ 補助金・助成金を活用
- 「IT導入補助金」 でUTM導入費用の一部を補助
- 「ものづくり補助金」 を活用し、セキュリティシステムを構築
➡ 補助金情報は総務省・経済産業省の公式サイトで随時確認!
4. UTM導入のポイントと運用方法
① 会社の規模と利用環境に合ったUTMを選ぶ
- 従業員数: 5~10名程度の小規模オフィスなら「エントリー向けUTM」で十分
- ネットワーク規模: VPN機能が必要かどうかを確認
- 管理のしやすさ: 運用しやすいクラウド管理型も選択肢
② 導入後の運用ルールを決める
- ファイアウォールポリシーを設定(不要な通信をブロック)
- 不審なメールを開かないルールを周知
- 定期的なログ監視とアップデートを実施
③ 外部の専門業者に管理を委託
- 「セキュリティ対策に時間をかけられない」という場合は、UTMの設定・監視を専門業者に任せる のも選択肢。
- 「MSS(マネージドセキュリティサービス)」を活用すると、UTMの運用・監視をプロが代行 してくれる。
5. まとめ|零細企業こそUTMでサイバー攻撃に備えよう!
✅ 零細企業もサイバー攻撃の標的になりやすい(特にランサムウェアやフィッシング詐欺)
✅ UTMはファイアウォール・ウイルス対策などを一元化し、低コストで導入可能
✅ 低価格のUTMやレンタルサービスを活用すれば、コスト負担を軽減できる
✅ 補助金や助成金を活用すると、さらに導入しやすくなる
✅ IT担当者がいなくても、MSS(マネージドセキュリティサービス)を活用すれば安心
サイバー攻撃の被害に遭ってからでは遅いです。
「まだ大丈夫」ではなく「今のうちに対策する」ことが、会社を守る第一歩です!