![](https://cybersecurity-jp.com/contents/synplanning-infosec/wp-content/uploads/sites/11/2025/01/img_172-01.jpg)
情報セキュリティポリシーは、組織が情報資産を保護するための基本方針とルールを明文化したものです。
このポリシーは、組織の情報セキュリティ対策を体系的に進めるための基盤となります。
ここでは、情報セキュリティポリシーの基本方針、対策基準、運用ルールの文例をそれぞれ紹介します。
自社の状況に合わせてカスタマイズし、セキュリティ対策を強化する際の参考にしてください。
目次
情報セキュリティポリシーの構成について
一般的な情報セキュリティポリシーは、以下の3層構造で策定されます。
- 基本方針(Security Policy)
情報セキュリティに対する組織全体の姿勢や目的を示す。 - 対策基準(Security Standards)
基本方針に基づく、具体的なセキュリティ対策の基準やルール。 - 実施手順(Security Guidelines)
現場で対策基準を実行するための具体的な手順や方法を定める。
以下では、各層における具体的な文例を紹介します。
情報セキュリティポリシー:基本方針の例
情報セキュリティ基本方針(例文)
情報セキュリティ基本方針
株式会社○○(以下、当社)は、顧客情報、取引先情報、従業員情報を含む全ての情報資産を重要な経営資源と認識し、その適切な保護を事業活動の重要な課題の一つと位置づけています。当社は以下の方針に基づき、情報セキュリティを確保し、全従業員が一丸となってその取り組みを推進します。
- 法令および規範の遵守
当社は、個人情報保護法や情報セキュリティ関連の法令、その他の規範を遵守します。 - 情報資産の適切な管理
当社が保有する全ての情報資産を正確に把握し、その価値に応じた適切な管理を行います。 - リスク管理の徹底
情報資産に対するリスクを評価し、適切な予防および対策を講じ、リスクの低減を図ります。 - 従業員の意識向上
情報セキュリティの重要性を従業員に認識させるための教育・訓練を定期的に実施します。 - 継続的改善
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を運用し、継続的にその有効性を見直し、改善を行います。
制定日:202X年X月X日
株式会社○○
代表取締役社長 ○○ ○○
情報セキュリティポリシー:対策基準の例
情報セキュリティ対策基準(例文)
1. 情報資産の分類と管理
- 当社が保有する情報資産を「機密」「社外秘」「公開」の3つのレベルに分類し、それぞれに応じた管理ルールを定める。
- 機密情報は暗号化し、特定の権限を持つ従業員のみがアクセス可能とする。
2. アクセス制御
- 情報システムへのアクセスは、ユーザーIDとパスワードによる認証を必須とする。
- パスワードは、定期的(90日ごと)に変更し、8文字以上かつ英数字と記号を組み合わせる。
3. ネットワークセキュリティ
- 外部からの不正アクセスを防ぐため、ファイアウォールおよび侵入検知システム(IDS)を導入する。
- 社外から社内システムへ接続する場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用すること。
4. データ保護とバックアップ
- 重要なデータは、毎日自動的にバックアップを取得し、別拠点の安全な場所に保管する。
- バックアップデータの復旧手順を定期的に検証する。
5. インシデント対応
- セキュリティインシデントが発生した場合、インシデント対応マニュアルに従い迅速に対応する。
- 全てのインシデントは記録し、再発防止策を講じる。
情報セキュリティポリシー:実施手順の例
情報セキュリティ実施手順(例文)
1. 情報資産の取り扱い手順
- 機密情報を取り扱う際は、必ず暗号化ソフトを利用する。
- 紙媒体で機密情報を廃棄する場合は、シュレッダーを使用する。
2. パスワード管理手順
- 新規アカウント発行時は、初期パスワードを必ず変更する。
- パスワードは第三者に共有しない。疑わしいアクセスがあった場合は、速やかにパスワードを変更する。
3. リモートワーク時のセキュリティ手順
- リモートワークを行う場合、業務に利用する端末には必ず最新のセキュリティパッチを適用する。
- 公共Wi-Fiの利用は禁止し、モバイルルーターまたはVPNを使用する。
4. セキュリティインシデント報告手順
- インシデントを発見した場合、30分以内に情報システム部門へ報告する。
- 報告内容には、インシデントの発生日時、影響範囲、初動対応内容を含める。
情報セキュリティポリシーの運用と見直し
1. 周知・教育
情報セキュリティポリシーを全社員に周知するため、定期的なセキュリティ教育を実施しましょう。また、新入社員や異動者に対しては、入社時・異動時にトレーニングを行うことが効果的です。
2. 定期的な見直し
情報セキュリティポリシーは、技術の進化や新たな脅威に対応するため、少なくとも年1回は見直しを行いましょう。
3. 外部監査の活用
ISO27001(ISMS)などの外部認証を取得している場合、第三者監査を通じて運用状況の評価を受けると、ポリシーの改善に役立ちます。
まとめ
情報セキュリティポリシーは、組織の情報資産を守るために必要不可欠な文書です。
基本方針でセキュリティの理念を示し、対策基準で具体的なルールを定め、実施手順で現場での実行方法を明確化することで、組織全体のセキュリティ対策を強化できます。
この記事で紹介した例文を参考に、自社の状況に最適なポリシーを策定し、運用を進めてください。