情報セキュリティ規程の作り方|基本構成と作成手順を徹底解説|サイバーセキュリティ.com

情報セキュリティ規程の作り方|基本構成と作成手順を徹底解説

情報セキュリティ規程は、企業がデータやシステムを守るための基本ルールです。
特にサイバー攻撃や情報漏洩が増加する現代において、規程の整備は、社員が統一した基準でセキュリティ対策を実践するための指針となります。

本記事では、情報セキュリティ規程の基本的な構成作成手順、さらに運用のポイントについて詳しく解説します。
初めて規程を作成する情シス担当者総務部門の方にとって、実用的な内容をお届けします。

情報セキュリティ規程とは?

情報セキュリティ規程の定義

情報セキュリティ規程とは、企業が取り扱う情報資産を適切に管理・保護するための方針やルールを文書化したものです。
規程は、組織全体がセキュリティ対策を統一的に実施するための指針となります。

情報セキュリティ規程の目的

  1. 情報資産の保護
    顧客情報、社内データ、知的財産などの重要な情報資産を守ることが第一の目的です。
  2. 法令や規制の遵守
    GDPRや個人情報保護法などの法令を遵守するために、具体的な取り組みを明示します。
  3. セキュリティリスクの低減
    サイバー攻撃や内部不正を防ぎ、情報漏洩リスクを最小化します。
  4. 社員の意識向上
    セキュリティ規程を通じて、全社員のセキュリティ意識を高めます。

情報セキュリティ規程の基本構成

情報セキュリティ規程は、以下のような構成で作成することが一般的です。
企業の規模や業界に応じて適宜カスタマイズすることがポイントです。

1. 総則

  • 目的
    情報セキュリティ規程の目的を明示します。
    例:情報資産の適切な管理と保護を通じて、企業価値を向上させる

 

  • 適用範囲
    規程が適用される対象(全社員、派遣社員、外部委託先など)を具体的に記載します。

2. 用語の定義

  • 情報資産、セキュリティインシデント、アクセス制御など、規程で使用する専門用語を明確に定義します。
    これにより、規程を読む全員が統一した理解を持つことができます。

3. セキュリティポリシー

  • 情報の分類と取り扱い
    情報を「機密情報」「社外秘」「公開可能」などに分類し、各ランクごとの管理ルールを定めます。
  • アクセス管理
    情報システムネットワークへのアクセス権限を、業務上必要な範囲に限定する方針を示します。
  • デバイスの利用
    社用PCスマートフォンUSBメモリなどの使用ルールや、紛失時の対応を記載します。

4. インシデント対応

  • インシデントの定義
    情報漏洩、不正アクセス、データ改ざんなど、セキュリティインシデントの例を示します。
  • 対応手順
    インシデント発生時の初動対応(システムの隔離、ログ保存など)や報告フローを明文化します。

5. 教育と啓発活動

  • 定期的な社員向けセキュリティ教育を規程に盛り込みます。
    例:年2回のセキュリティ研修を義務付ける

情報セキュリティ規程の作成手順

1. 現状分析

  • 自社の情報資産やセキュリティリスクを把握します。
    たとえば、どのような情報が漏洩リスクが高いかを洗い出します。
  • 過去のインシデントや課題を振り返り現状の弱点を特定します。

2. 目的と適用範囲の明確化

  • 規程を通じて達成したい目的を具体化します。
    例:顧客情報の漏洩防止、社員のセキュリティ意識向上
  • 適用範囲を定め全社員や関連する外部業者に対して適用されることを明記します。

3. 具体的なルールの策定

  • 情報分類基準アクセス管理デバイス利用ルールなど、企業の実情に合った具体的なルールを設定します。
  • 例:業務終了後、全社員はPCをシャットダウンし、デスクの上に資料を残さない

4. 規程のレビューと承認

  • 経営層や法務部門のレビューを経て、規程内容の適正性を確認します。
  • 必要に応じて外部のセキュリティ専門家の意見を取り入れることで、実効性の高い規程に仕上げます。

5. 社内周知と教育

  • 作成した規程を全社員に周知します。
    メールやイントラネットを活用し、全社員がアクセスできる環境を整えます。
  • 規程の内容を実践的に理解させるため、研修やセミナーを実施します。

情報セキュリティ規程運用のポイント

1. 定期的な見直し

情報セキュリティの脅威は日々進化しています。
そのため、規程は定期的に見直し最新のリスクに対応できる内容に更新することが重要です。

  • 見直しのタイミング
    年1回の定期見直しや、新たなインシデントが発生した際に内容を更新します。

2. 遵守状況の監査

規程が現場で実践されているかを監査します。
具体的には、ログの確認現場でのヒアリングを通じて、ルールが適切に運用されているかを評価します。

3. 社員の意識向上

規程は形だけではなく、社員全員が日常的に意識することが重要です。
定期的な啓発活動研修を通じて、社員のセキュリティ意識を維持します。

情報セキュリティ規程の雛形・サンプル紹介

1. 経済産業省の「情報セキュリティ関連規程(サンプル)」

経済産業省は、中小企業向けに情報セキュリティ関連規程のサンプルを公開しています。
このサンプルは、情報セキュリティポリシーの策定や運用に役立つ具体的な例を含んでおり、企業の実情に合わせてカスタマイズすることで、実効性の高い規程を作成できます。
経済産業省

2. 日本システム監査人協会の「情報セキュリティ管理規程(モデル)」

日本システム監査人協会が提供する「情報セキュリティ管理規程(モデル)」は、企業の情報セキュリティ管理に関する行動規範を示したモデル規程です。
全社的な情報セキュリティレベルの向上を目的としており、組織の規模や業種に応じて適宜修正して利用できます。
Sysaudit

3. テンプレートBANKの「情報セキュリティ管理規程」テンプレート

テンプレートBANKでは、業務上取り扱う情報資産の適切な管理を行うための必要事項を定めた「情報セキュリティ管理規程」の雛形を無料で提供しています。
会社の業務運用体制に応じて修正可能で、初めて規程を作成する企業にも適したテンプレートです。
テンプレートバンク

4. IPAの「情報セキュリティ管理規程」サンプル

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、情報セキュリティ管理規程のサンプルを公開しています。
このサンプルは、企業や組織が情報資産を適切に管理し、セキュリティリスクを軽減するための基本方針やルールを明文化する際の参考になります。
情報処理推進機構

5. 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン

経済産業省が提供する「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」には、情報セキュリティハンドブックの雛形や情報セキュリティ関連規程のサンプルが含まれています。
これらは、従業員への周知や社内規則の文書化に役立ちます。
経済産業省

これらの雛形やサンプルを活用することで、自社の情報セキュリティ規程を効果的に策定・運用できます。
ただし、各企業の業務内容や組織体制に合わせて内容をカスタマイズし実際の運用に適した規程とすることが重要です。

まとめ

情報セキュリティ規程は、企業の情報資産を守りセキュリティリスクを軽減するための重要な文書です。
本記事では、規程の基本構成や作成手順運用のポイントを詳しく解説しました。
規程作成の際は、現状分析や具体的なルールの策定を丁寧に行い、実効性のある内容に仕上げることが重要です。
規程を定めるだけでなく、定期的な見直しや社員教育を通じて企業全体でセキュリティ意識を高めていきましょう。

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