情報セキュリティリスクアセスメントの例:具体的なプロセスと実施方法を解説|サイバーセキュリティ.com

情報セキュリティリスクアセスメントの例:具体的なプロセスと実施方法を解説

企業における情報セキュリティの重要性が高まる中、「リスクアセスメント」は欠かせないステップのひとつです。
このプロセスを通じ、セキュリティリスクを特定・評価し、優先順位をつけて対応策を講じることで、
事業の安全性を確保することが可能になります。

この記事では、情報セキュリティリスクアセスメントの基本的な流れから具体的例
そして実施に役立つ実践的なポイントまで詳しく解説します。
初めてリスクアセスメントに取り組む中小企業の担当者や、
既存プロセスの見直しを検討しているシステム管理者にとって、効果的な方法が把握できる内容です。


情報セキュリティリスクアセスメントとは?

情報セキュリティリスクアセスメントは、企業や組織が直面するセキュリティリスクを「特定」「評価」「対応」するための体系的な手法です。
このプロセスを通じて、リスクを可視化し、適切なセキュリティ対策を講じる基盤を構築します。

主な目的は以下です。

  1. リスクの可視化
    自社が直面するリスクを具体的に洗い出し、その深刻度を明確にすることで、経営層や従業員に認識させることができます。
  2. 対策の優先順位付け
    リスクの影響度や発生可能性をもとに、最優先で取り組むべき課題を整理します。
    これにより、限られた予算やリソースを効率的に活用できます。
  3. セキュリティ体制の継続的な改善
    リスクアセスメントは一度実施すれば終わりではなく、定期的に見直すことで、新たな脅威や技術進歩に対応することが可能です。

リスクアセスメントが必要な背景

近年、企業が直面するセキュリティリスクは、日々進化し、複雑化しています。
以下のような現状が、リスクアセスメントを必要不可欠なものにしています。

  • 攻撃手法の高度化
    マルウェアやランサムウェアの手法は進化しており、従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれない脅威が増加しています。
  • 法規制や顧客要求の厳格化
    GDPR(一般データ保護規則)や個人情報保護法の改正など、法的な要求が厳しくなる中で、適切なリスク管理が求められています。
  • リモートワークの普及
    コロナ禍以降、リモートワークが一般化したことで、従来のオンプレミス環境にとどまらず、クラウドや個人端末へのリスクが拡大しました。

リスクアセスメントの実施プロセス

リスクアセスメントは、以下の主要なプロセスに基づいて実施します。
それぞれのステップを詳細に解説し、具体例を交えながら進めます。


1. 資産の特定

リスクアセスメントの第一歩は、自社が保護すべき「情報資産」をすべて洗い出すことです。
情報資産には以下が含まれます。

  • 物理的資産
    サーバー、ネットワーク機器、PC、モバイルデバイスなどのハードウェア
  • デジタル資産
    顧客データ、契約書、知的財産(設計図やアルゴリズム)、業務アプリケーションなど
  • 人的資産
    社員の知識やスキルも情報資産と見なされます
    特に、経営層やIT担当者の知識は重要です

具体例:製造業の場合

  • 顧客情報データベース(クラウド上に保存)
  • 製品設計図や技術マニュアルが保存された社内ファイルサーバー
  • 工場の制御システムに接続されたIoTデバイス

補足資産の特定には、関係者全員を巻き込み、部署横断的に作業を進めることが重要です。
経営層やIT担当者、各部門のリーダーを含めたワークショップ形式で実施することが推奨されます。


2. 脅威の特定

次に、それぞれの情報資産が直面する可能性のある「脅威」をリストアップします。
脅威は、資産に対して潜在的な損害を与える要因を指します。
主な脅威のカテゴリは以下の通りです。

  • 人的脅威
    社員の不注意、内部不正、第三者による詐欺行為
  • 技術的脅威
    マルウェア、フィッシング攻撃、ゼロデイ脆弱性の悪用
  • 環境的脅威
    自然災害(地震、洪水など)、停電、火災

具体例

  • クラウドデータベース:不正アクセスや内部不正によるデータ漏えい。
  • 工場のIoTデバイス:ネットワークを介した不正操作による生産停止。

3. 脆弱性の評価

特定した脅威が資産に影響を与える要因(脆弱性)を洗い出します。
脆弱性は、システムやプロセスの弱点を指し、攻撃者がそこを狙って被害をもたらす可能性があります。

具体例

  • ファイルサーバーが旧式OSを使用しており、最新のセキュリティアップデートが適用されていない
  • リモートワーク環境で使用される端末に十分な暗号化対策がされていない

4. リスクの分析

リスクを「影響度」と「発生可能性」の2軸で分析します。
リスクレベルを数値化することで、対策の優先順位を明確にします。

具体例

リスク項目 影響度 発生可能性 リスクレベル
クラウドデータベースの不正アクセス 高い 中程度 高リスク
社内PCのランサムウェア感染 中程度 高い 高リスク

5. 対策の優先順位付け

リスクレベルに基づき、最優先で実施すべき対策を決定します。

具体例

  1. クラウドデータベースへの二要素認証の導入とアクセス制限設定。
  2. 社員向けセキュリティ教育の実施。
  3. PCの暗号化とOSの更新。

まとめ

情報セキュリティリスクアセスメントは、企業のセキュリティ対策を強化する上での基本プロセスです。
資産の特定からリスク分析、優先順位付けまでを計画的に行うことで、効率的かつ効果的にリスクを管理できます。

初めてアセスメントを実施する場合や既存の体制を改善したい場合は、外部専門家の力を借りることも検討してください。
本記事を参考に、リスクアセスメントを通じて、情報セキュリティの強化を進めていきましょう。

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