Windows Helloの設定画面に「このオプションは現在使用できません」「問題が発生しました」と表示され、PINや顔認証、指紋認証が使えなくなって困っていませんか。サインインできない焦りから、再起動や設定の変更、PCの初期化を繰り返してしまうと、保存しているデータにアクセスできなくなるおそれがあります。
- 「設定」の「サインイン オプション」に「このオプションは現在使用できません」と表示される
- PINの追加・変更で「問題が発生しました」と出て先に進めない
- 顔認証や指紋認証がグレー表示になり、選べない
パスワードでサインインできる間は、データはまだ安全な状態です。ただし、原因を確かめないまま初期化やセキュリティ設定の変更を行うと、状況が悪化することがあります。
本記事では、Windows Helloが使用できなくなる主な原因と、データを守りながら試せる対処法、自力での対応をやめて専門業者へ相談すべき判断基準を解説します。
Windows Helloが使用できなくなる主なケース
Windows Helloのエラーは、Windowsの更新やサービスの停止といったソフト面の問題から、センサーやセキュリティチップに関わる問題まで、原因が複数あります。どれに当てはまるかで、取るべき対処が変わります。
Windowsの更新プログラム適用後・初期化後の不具合
大きな更新プログラムを適用した直後や、「このPCを初期状態に戻す」を実行した後に、PINや顔認証が使えなくなることがあります。過去には、特定のセキュリティ機能を有効にした環境で、更新後にPCをリセットすると「PINが利用できません」「顔認証のセットアップで問題が発生しました」といった表示が出る不具合が、マイクロソフトから公表されたこともあります。
更新が原因の場合は、PINや顔認証を設定し直すことで改善するケースがあります。
リスク:焦ってPCの初期化を繰り返すと、保存していたデータが消えるおそれがあります。
Windows Hello関連サービスの停止
Windows Helloは、生体認証やPINの情報を扱ういくつかのサービスが動くことで成り立っています。これらが停止していたり、起動の設定が変わっていたりすると、設定画面で「問題が発生しました」と表示されます。
再起動後も同じ表示が続く場合は、サービスの状態を確認する価値があります。
リスク:原因が別にあるのに設定を何度も変えると、元の状態が分からなくなり、切り分けが難しくなります。
顔・指紋認証デバイスのドライバー不良やセンサーの故障
顔認証用のカメラや指紋センサーのドライバーが古い、または破損していると、認証方法がグレー表示になります。ドライバーを入れ直しても改善せず、デバイスマネージャーにセンサーが表示されない場合は、センサーそのものの故障も考えられます。
リスク:PC内部の部品が故障している場合、ほかの部品にも不具合が出ていることがあり、使い続けることで保存データへの影響が広がる可能性があります。
PINのデータが壊れている
PINの情報はPC内に保存されています。マザーボードの交換や、セキュリティチップ(TPM)の変更などで、そのデータにアクセスできなくなると、PINが使えなくなったり、新しいPINを作れなくなったりします。
「PINを忘れた場合」の手順で再設定できない場合は、PIN関連のデータが壊れている可能性があります。
リスク:PINのデータを手動で削除する方法も紹介されていますが、管理者権限での操作が必要で、手順を誤るとサインインできなくなるおそれがあります。
TPMやBIOS/UEFIなどセキュリティ設定の変更
BIOS/UEFIの更新や設定変更、TPMのクリアを行った後に、Windows Helloが使えなくなることがあります。Windows Helloはセキュリティチップと連携して認証情報を守っているため、チップの状態が変わると認証情報を読み出せなくなるためです。
また、ストレージを暗号化するBitLockerを使っている場合、TPMの状態が変わると回復キーの入力を求められることがあります。
リスク:BitLockerの回復キーが分からないまま操作を続けると、暗号化されたデータにアクセスできなくなるおそれがあります。
職場・学校アカウントやポリシーの影響
会社や学校のアカウントがPCに登録されている場合、管理者が設定したポリシーによって、生体認証やPINの利用が制限されていることがあります。個人のPCでも、過去に登録した職場・学校アカウントの設定が残っていて、影響することがあります。
リスク:管理されているPCで設定を変更すると、会社のシステムやデータにアクセスできなくなる場合があります。
「とりあえず操作」は危険。自己判断がデータ消失を招くことも
機器に不具合が起きたとき、焦って自分で操作を試みた経験はありませんか?
一見すると単なるフリーズやエラーのようでも、内部では深刻な異常が進行している可能性があります。この状態で電源の再投入や設定変更を繰り返すと、システムが上書きされ、本来なら救えたはずのデータまでもが復旧困難になることがあります。
特に以下のような状況に当てはまる場合は、自己判断を避け、専門家による適切な診断を受けることが重要です。
- 絶対に失いたくない写真や書類が保存されている
- 大切な業務データが入っている
- 操作に自信がなく、何をすべきか迷っている
こうしたケースでは、早めの対応がデータを守る鍵になります。
そのため、まずは専門業者に相談し、正確な状態を見極めることが最善策といえます。
Windows Helloが使用できないときの対処法
まずは書き込みを伴う操作を避け、データを守る選択肢を確保したうえで、影響の小さい対処から順に試すことが重要です。
パスワードでサインインし、バックアップを取ってから更新・再起動する
パスワードやMicrosoftアカウントでサインインできる場合に限り、最初に試す対処法です。ほかの操作でトラブルが重なる前に、大切なデータを外付けドライブなどへコピーしておくと、万一のときも安心です。
- サインイン画面で「サインイン オプション」を選び、パスワードでサインインします。
- 大切なデータを、外付けドライブなど別の場所にコピーします。
- 「設定」の「Windows Update」を開き、「更新プログラムのチェック」を実行します。
- 「詳細オプション」の「オプションの更新プログラム」に項目があれば、あわせて適用します。
- PCを再起動し、「設定」の「アカウント」にある「サインイン オプション」で表示を確認します。
更新が途中で止まる、再起動を繰り返す、異音がするといった場合は、操作を中止して専門家へ相談してください。
Windows Hello関連サービスの状態を確認する
設定画面で「問題が発生しました」と表示される場合、関連サービスが停止していないかを確認します。設定を変える前に、現在の状態を控えておくと、元に戻せます。
- Windowsキー+Rを押し、
services.mscと入力してEnterキーを押します。 - 「Windows Biometric Service」「Microsoft Passport」「Microsoft Passport Container」「Credential Manager」を探します。
- それぞれの状態が「実行中」で、スタートアップの種類が「自動」になっているかを確認します。
- 実行中のサービスは、右クリックして「再起動」を選びます。
- PCを再起動し、「サインイン オプション」で表示を確認します。
項目が見つからない、設定を変更できないといった場合は、無理に進めず中止してください。
生体認証デバイスのドライバーを入れ直す
顔認証や指紋認証だけが使えない場合は、センサーのドライバーを入れ直すと改善することがあります。PINは使えるのに生体認証だけがグレー表示になっている場合に、特に有効です。
- スタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を開きます。
- 「生体認証デバイス」を展開し、対象のセンサーを右クリックして「デバイスのアンインストール」を選びます。
- PCを再起動し、ドライバーが自動で入り直すのを待ちます。
- デバイスが表示されない、またはエラーが出ている場合は、PCメーカーのサポートページから対応ドライバーを入手して適用します。
デバイスマネージャーにセンサーが表示されないままの場合は、センサー自体の故障も考えられるため、メーカーや専門家へ相談してください。
PINと生体情報を削除して設定し直す
PINや顔・指紋の登録情報が不整合を起こしている場合は、いったん削除して登録し直します。パスワードでサインインできることを確認してから行ってください。
- 「設定」の「アカウント」から「サインイン オプション」を開きます。
- 「顔認識 (Windows Hello)」「指紋認証 (Windows Hello)」の登録があれば、「削除」を選びます。
- 「PIN (Windows Hello)」を開き、「削除」を選んでから、あらためて「追加」でPINを設定します。
- PINが使えることを確認したあと、顔認証・指紋認証を「設定」から登録し直します。
- 「職場または学校へのアクセス」にアカウントが登録されている場合は、管理者に確認したうえで、一時的に切断して試すこともできます。
「削除」を押せない、または再設定の途中で同じエラーが繰り返される場合は、それ以上の操作を中止してください。
専門業者に相談すべき判断基準
以下の条件に当てはまる場合、自力対応はリスクが高く、早期に専門家へ相談する判断が重要です。
- パスワードやPINが分からず、サインインできない。
- BitLockerの回復キーが分からない、または画面に回復キーの入力を求められた。
- 異音・異臭、水濡れ、落下などPC本体の物理的な異常が疑われる。
- バックアップがなく、初期化を行うとデータが消えてしまう。
- 上記の対処法を試しても、同じエラーが繰り返される。
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まとめ
Windows Helloで「このオプションは現在使用できません」「問題が発生しました」と表示される原因は、Windowsの更新後の不具合、サービスの停止、ドライバーやセンサーの問題、PINデータの破損、TPMやBIOS/UEFIの変更、ポリシーの影響など多岐にわたります。まずは、パスワードでサインインできるかを確認し、どの層で問題が起きているかを見極めることが大切です。
サインインできる状態であれば、バックアップを取ったうえで、更新・サービスの確認・ドライバーの再インストール・再登録の順に、影響の小さい対処から試すのが安全です。一方、サインインできない状態での初期化や、BitLockerの回復キーが分からない状態でのセキュリティ設定の変更は、データの消失につながるおそれがあります。
重要なのは「触らない判断」を含めた初動です。操作を増やす前に、状況を整理し、物理的な異常やデータ消失のリスクがある場合は、早めに専門のデータ復旧業者へ相談することをおすすめします。

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