共有フォルダやNASを開こうとしたら「ネットワーク パスが見つかりません」と表示され、エラーコード0x80070035が出てしまった──。急に仕事のファイルや大切な写真にアクセスできなくなると不安になり、設定を次々と変えたり、機器の再起動を繰り返したりしてしまうことも少なくありません。
- 共有フォルダやNASを開くと「ネットワーク パスが見つかりません」と表示される
- 昨日まで開けていたのに、Windowsの更新後から急にアクセスできない
- 他のパソコンからは開けるのに、自分のパソコンだけ開けない
このエラーは「共有先に到達できていない」ことを示すもので、ファイルが消えたとは限りません。ただし、原因を見極めないまま設定変更や機器の初期化を行うと、共有元のデータまで危険にさらすことがあります。
本記事では、エラー0x80070035が起きる主な原因と、安全な順番で試せる対処法、共有元のNASやHDDに障害が疑われるときの判断基準を解説します。
エラー0x80070035が起きる主なケース
0x80070035は、パソコンが共有先までたどり着けない、またはたどり着いても中を見せてもらえないときに表示されます。原因はネットワーク設定、共有元の設定、認証、共有元の機器そのものの障害など複数あり、状態によって取るべき対処が変わります。
共有元がスリープ・停止している、または別のネットワークにいる
共有元のパソコンがスリープや休止状態になっていたり、NASが省電力でディスクを停止していたりすると、ネットワーク上から見えなくなります。ゲスト用のWi-Fiに接続している、ルーターが二重になっているなど、そもそも同じネットワークにいない場合も同じエラーになります。
リスク:原因を確かめないまま設定変更を重ねると、問題のない設定まで変えてしまい、元の状態が分からなくなります。
ネットワークプロファイル・ネットワーク探索の設定
接続中のネットワークが「パブリック」に分類されていると、安全のためにファイル共有の通信が制限され、共有フォルダーが開けなくなります。Windowsの更新後にプロファイルや共有の設定が切り替わり、昨日まで使えていた共有が突然開けなくなるケースもあります。
リスク:公共のWi-Fiなど不特定多数がいるネットワークで共有を許可する設定にすると、周囲から共有機能が見える状態になります。
名前解決の失敗
コンピューター名では開けないのに、IPアドレスを指定すると開ける場合は、名前からIPアドレスを調べる「名前解決」の段階だけが失敗している状態です。ネットワーク探索の無効化や、共有元がIPv6の通信にうまく応答できない構成などが背景にあります。
リスク:回避しようとしてIPv6の無効化など広い範囲の設定を変えると、ほかの通信に影響が出ることがあります。
保存された資格情報・ユーザー名の不一致
共有元のパスワードを変更した後などに、Windowsに保存された古いユーザー名とパスワードが残っていると、正しい情報を入力する前に接続が拒否されることがあります。共有元がMicrosoftアカウントでサインインしている場合は、普段使うPINではなくアカウントのパスワードが必要になるのが一般的です。
リスク:誤ったパスワードを繰り返し入力すると、機器によっては一時的にアクセスが制限されることがあります。
NAS・古い機器のSMB設定が現在のWindowsと合わない
古いNASや複合機では、旧方式のSMB1しか使えない、パスワードなしのゲスト接続になっているといった設定が残っていることがあります。Windows 11の24H2以降では、通信の署名が既定で必須になるなど安全面が強化されているため、こうした機器だけが急に開けなくなる場合があります。ネット上には「SMB 1.0を有効にすれば直る」という案内もありますが、セキュリティ上のリスクが大きく、安易に試すべきではありません。
リスク:SMB 1.0の有効化や署名の無効化は、ランサムウェアなどの被害を受けやすくし、共有しているデータ全体を危険にさらします。
ファイアウォール・セキュリティソフト・VPNによる遮断
Windowsのファイアウォールや市販のセキュリティソフトが、ファイル共有の通信を遮断していると、IPアドレスを指定しても開けません。VPNに接続している間は、通信が自宅や社内のネットワークではなくVPN経由に流れ、共有先に届かないこともあります。
リスク:切り分けのために止めたファイアウォールやセキュリティソフトを戻し忘れると、ウイルス感染や不正アクセスを受けやすい状態が続きます。
共有元のNAS・HDDの障害
共有元のNASやHDDが故障していて応答しない場合も、同じエラーが表示されることがあります。共有元に直接ログインしても中身が見えない、NASのエラーランプが点灯している、異音がする、再起動を繰り返すといった様子があれば、ネットワークの問題ではなくストレージ側の障害を疑う必要があります。
リスク:障害のある状態で通電を続けたり、RAIDの再構築・初期化を行ったりすると、障害が進行してデータが上書きされ、復旧が難しくなることがあります。
「とりあえず操作」は危険。自己判断がデータ消失を招くことも
機器に不具合が起きたとき、焦って自分で操作を試みた経験はありませんか?
一見すると単なるフリーズやエラーのようでも、内部では深刻な異常が進行している可能性があります。この状態で電源の再投入や設定変更を繰り返すと、システムが上書きされ、本来なら救えたはずのデータまでもが復旧困難になることがあります。
特に以下のような状況に当てはまる場合は、自己判断を避け、専門家による適切な診断を受けることが重要です。
- 絶対に失いたくない写真や書類が保存されている
- 大切な業務データが入っている
- 操作に自信がなく、何をすべきか迷っている
こうしたケースでは、早めの対応がデータを守る鍵になります。
そのため、まずは専門業者に相談し、正確な状態を見極めることが最善策といえます。
エラー0x80070035の対処法
このエラーでは、まず「どこで止まっているのか」を切り分けることが大切です。共有元のデータに書き込みが発生する操作や、Windowsの安全機能を下げる設定変更は避け、影響の小さい確認から順に進めます。
IPアドレスで開き、他の端末からも試して原因を切り分ける
設定を変更せずに実施できるため、最初に行う確認です。名前では開けないのにIPアドレスなら開ける場合や、他の端末からは開ける場合など、結果によって原因の当たりをつけられます。
- 共有元のIPアドレスを確認します。NASは管理画面やルーターの接続機器一覧、パソコンはネットワークの設定画面から確認できます。
- エクスプローラーのアドレスバーに
\\192.168.1.10のように「円記号2つ+IPアドレス」を入力して実行します(数字はお使いの環境の値に置き換えます)。 - 共有フォルダーが開けば、名前解決だけが失敗しています。ネットワークドライブとして割り当てると、今後も開きやすくなります。
- 開けない場合は、別のパソコンからも同じ共有を開けるか試します。他の端末から開ければ自分のパソコン側、どの端末からも開けなければ共有元やルーター側に原因があると考えられます。
- 共有元がスリープしていないか、NASの電源とLANケーブルの状態も確認します。
共有元から異音・異臭・エラーランプなどの異常が確認できる場合は、操作を中止して専門業者へ相談してください。
ネットワークプロファイルと共有の設定を見直す
他の端末からは開けるのに自分のパソコンだけ開けない場合は、ネットワーク設定が原因のことがあります。自宅や社内など、安全だと確実に分かっているネットワークでのみ実施してください。
- 「設定」を開き、「ネットワークとインターネット」を選びます。
- 「Wi-Fi」(有線の場合は「イーサネット」)から接続中のネットワークの「プロパティ」を開き、「ネットワーク プロファイルの種類」を「プライベート ネットワーク」にします。
- 「ネットワークとインターネット」に戻り、「ネットワークの詳細設定」から「共有の詳細設定」を開きます。
- 「プライベート ネットワーク」の「ネットワーク探索」と「ファイルとプリンターの共有」をオンにします。
- Windowsキーを押して「ファイアウォール」と入力し、「Windows Defender ファイアウォールを介したアプリまたは機能を許可」を開きます。「設定の変更」を押し、「ファイルとプリンターの共有」の「プライベート」にチェックが入っているか確認します(「パブリック」にはチェックを入れません)。
項目の名前や配置は、Windowsのバージョンによって異なる場合があります。ファイアウォールやセキュリティソフトを一時的に止めて確認した場合は、確認後に必ず元へ戻してください。設定を変えても改善しないときは、変更を重ねずに次の対処へ進みます。
保存された資格情報を削除して接続し直す
ユーザー名とパスワードの入力画面が出てから弾かれる場合や、パスワードを変更した後から開けなくなった場合に有効です。削除した情報は次回の接続時に入力し直すため、ユーザー名とパスワードが手元にあることを確認してから実施します。
- Windowsキーを押し、「資格情報マネージャー」と入力して開きます。
- 「Windows 資格情報」を選び、接続できない共有先の名前やIPアドレスを含む項目を探します。
- 項目を展開して「削除」を選びます。
- パソコンを再起動します。
- あらためて共有フォルダーを開き、ユーザー名とパスワードを入力します。共有元がMicrosoftアカウントでサインインしている場合は、PINではなくアカウントのパスワードを入力します。
パスワードが分からないときは入力を繰り返さず、共有元で確認・再設定してください。
NAS・共有元の設定を見直す
NASの管理画面にログインでき、ディスクの状態に異常の表示がない場合に限って実施します。Windows側の安全機能を下げるのではなく、機器側を現在のWindowsに合わせるのが基本です。
- NASの管理画面にブラウザからログインし、ファイル共有(SMB)の設定を開きます。
- SMBの最小・最大バージョンの設定があれば、SMB2以上が使える状態になっているか確認します。
- メーカーの公式サポートページで、最新のファームウェアが提供されていないか確認します。
- ゲスト(パスワードなし)接続になっている場合は、NASにユーザーを作成し、ユーザー名とパスワードで接続する方式へ切り替えます。
- 設定変更後、NASのサービスまたは本体を再起動し、Windowsから接続し直します。
設定項目の名前や場所は、機種によって異なります。SMB2以上に対応するファームウェアが提供されていない古い機器は、設定では解決できないことがあるため、メーカーへの確認や買い替えの検討も必要です。
専門業者に相談すべき判断基準
以下の条件に当てはまる場合、自力対応はリスクが高く、早期に専門家へ相談する判断が重要です。
- NASや共有元のパソコンに、異音・異臭・エラーランプ・ディスク異常の表示がある。
- 共有元に直接ログインしても、共有フォルダーの中身が見えない、またはフォルダー自体が見当たらない。
- RAIDの劣化・崩壊の表示が出ている、またはNASが再起動を繰り返している。
- 初期化・再構築・ファームウェア更新を行った直後から、共有にアクセスできなくなった。
- バックアップがなく、失えない業務データや写真が入っている。
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まとめ
エラー0x80070035は、共有先にたどり着けていないことを示すエラーで、多くの場合はネットワーク設定・認証・共有元の設定のいずれかが原因です。まずはIPアドレスでの接続や他の端末での確認で原因を切り分け、影響の小さい設定の見直しから順に進めることが重要です。
一方で、SMB 1.0の有効化やSMB署名の無効化、ファイアウォールの停止といった方法は、解決を急ぐあまりセキュリティを下げてしまう恐れがあります。共有元の機器が古いことが原因の場合は、ファームウェアの更新やユーザー認証への切り替えを優先してください。
共有元のNASやHDDに異音・エラーランプ・RAIDの異常がある場合は、ネットワークの問題ではなくストレージの障害が疑われます。通電や再構築、初期化を続けず、「触らない判断」を含めた初動で状況を保ち、必要に応じて早めに専門業者へ相談することが、データを守ることにつながります。

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