WeChatは危険?主なリスク・安全な使い方・業務利用での注意点を解説|サイバーセキュリティ.com

WeChatは危険?主なリスク・安全な使い方・業務利用での注意点を解説

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WeChat(微信)は、メッセージ、音声・ビデオ通話、ファイル共有、決済などを利用できるコミュニケーションアプリです。中国をはじめ幅広い地域で利用されており、取引先や知人との連絡手段として必要になるケースもあります。

一方で、WeChatを利用する際は、一般的なメッセージアプリと同じようにフィッシングやなりすましへ注意するだけでなく、通信内容の秘匿性、電話番号や連絡先との紐付け、位置情報、決済情報などについても考慮する必要があります。

とくに重要なのは、「WeChatを使うこと自体が危険」という単純な話ではなく、どの情報を、誰と、どの用途でやり取りするかによってリスクが大きく変わるという点です。非機密な連絡には利用できても、認証情報や顧客情報、社内機密などの送信には適さない場合があります。

そこで本記事では、WeChatの主なセキュリティ・プライバシーリスク、危険な使い方、安全に利用するための設定、業務で利用する場合に避けるべき情報、アカウント侵害や情報漏えいが疑われる場合の対処について解説します。

WeChatで注意すべき主なリスク

通信内容の秘匿性

WeChatでは、通信や保存データの保護に暗号化などの仕組みが使われていますが、それだけで「利用者同士以外は内容を確認できない」という意味にはなりません。

とくに、メッセージアプリの安全性を考える際は、「通信経路が暗号化されていること」と「エンドツーエンド暗号化によってサービス提供者側でも内容を読めないこと」を区別する必要があります。

WeChatを利用する場合は、パスワード、認証コード、秘密鍵、社内機密など、第三者に知られると重大な影響がある情報を送らない運用が安全です。

監視・検閲に関する懸念

WeChatについては、政治的・社会的にセンシティブな内容の監視や、中国本土向けの検閲システムとの技術的な接点が研究機関から報告されています。

ただし、こうした研究結果から「すべてのメッセージが中国政府によって直接閲覧されている」と断定するのは適切ではありません。

リスク評価としては、WeChat上のコンテンツについて、サービス側から完全に秘匿された通信であることを前提にしないという考え方が重要です。

電話番号・連絡先との紐付け

WeChatは電話番号を基盤としたアカウント運用を行うため、完全な匿名通信には向きません。

連絡先同期、QRコードによる追加、公開プロフィールなどの設定によっては、電話番号、所属、交友関係などが結び付けられる可能性があります。

不要であれば連絡先同期を許可せず、個人用番号と仕事用番号を分離するなどの対策が有効です。

位置情報や公開範囲

位置情報を使う機能や、周囲のユーザーとつながる機能を不用意に利用すると、行動範囲や所在を推測される可能性があります。

位置情報は原則として「許可しない」、必要な場合だけ一時的に許可する運用が安全です。

フィッシング・なりすまし

WeChatも、ほかのSNSやメッセージアプリと同様に、フィッシングやなりすましの入口として悪用されることがあります。

とくに注意したいのが、次のようなメッセージです。

  • 「本人確認が必要」として外部サイトへ誘導する
  • QRコードを読み取るよう求める
  • 支払い・送金を急がせる
  • 「アカウントが停止される」と不安をあおる
  • 知人や取引先を装ってファイルを送る
  • 認証コードやログイン情報を聞き出そうとする

表示名やプロフィール画像だけで相手を信用せず、重要な依頼は別の連絡手段で本人確認してください。

WeChat Payを使う場合の決済リスク

WeChat Payを利用している場合、アカウント侵害や偽QRコード、誤送金などがそのまま金銭被害につながる可能性があります。

決済を利用する場合は、メイン口座や高額利用可能なカードとの直結を避け、利用上限や通知を設定しておくと被害を抑えやすくなります。

WeChatはマルウェアなのか

WeChatを公式ストアから正規に入手して利用しているだけで、「WeChatそのものがマルウェアである」と判断するのは適切ではありません。

ただし、アプリの安全性と、そこで扱う通信・個人情報・決済情報のプライバシーリスクは分けて考える必要があります。

つまり、正規アプリであっても、次のような用途では注意が必要です。

  • 企業の内部資料を送る
  • 顧客情報を送る
  • パスワードやMFAコードを送る
  • 調査ログや侵害情報を送る
  • 機密性の高い契約書を送る

正規アプリであることは、機密通信に適していることを意味しません。

WeChatで危険性が高くなる使い方

パスワードや認証コードを送る

WeChatに限らず、チャットでパスワード、ワンタイムパスワード、MFAコード、復旧コードを送ることは避けてください。

相手のアカウントが乗っ取られていた場合、その情報が攻撃者に直接渡る可能性があります。

身分証・顧客情報を送る

運転免許証、パスポート、マイナンバー、社員情報、顧客名簿などは、漏えいした場合の影響が大きいため、WeChat上で送らない運用が望ましいでしょう。

不明なQRコードやリンクを開く

WeChatではQRコードによるアカウント追加や各種サービス利用が一般的ですが、QRコードの見た目だけでは遷移先の安全性を判断できません。

「本人確認」「決済」「アカウント保護」などの理由で送られたQRコードは、とくに慎重に確認してください。

位置情報を常時許可する

位置情報を常時許可すると、必要以上の位置情報がアプリから利用可能になる場合があります。

位置情報が必要な機能だけ、一時的に許可する運用が安全です。

企業の機密資料を送る

WeChatを業務で使う場合は、低機密な連絡チャネルとして扱い、重要資料は別の承認済み共有手段へ分離することが重要です。

WeChatを安全に使うための設定

公式ストアからのみインストールする

WeChatはApple App StoreやGoogle Playなど、公式の配布元からインストールしてください。

第三者が送ったAPKやインストーラー、検索広告、QRコード経由のダウンロードは避けましょう。

パスワードを使い回さない

WeChat用のパスワードは、ほかのサービスで使用していない固有のものにします。

同じパスワードをメール、SNS、ECサイトなどで使い回すと、別サービスから認証情報が漏えいした際に不正ログインされる可能性があります。

ログイン端末を定期的に確認する

スマートフォンだけでなく、PC版などの連携端末も確認し、心当たりのないログインがないか定期的に確認してください。

不要な端末やセッションが残っていれば解除します。

アプリ権限を必要最小限にする

連絡先、写真、マイク、カメラ、位置情報などの権限は、必要なものだけ許可します。

とくに位置情報は、「常に許可」ではなく、必要時のみ許可する設定を検討してください。

公開範囲・連絡先同期を見直す

プロフィール、タイムライン、連絡先同期、位置情報共有などの設定を見直し、知らない相手から自分の情報を確認されにくい状態にします。

OSとWeChatを更新する

スマートフォンのOS、WeChat、ブラウザなどを最新化します。

古いバージョンを使い続けると、既知の脆弱性が悪用される可能性があります。

決済通知・利用上限を設定する

WeChat Payを利用する場合は、決済通知を有効にし、可能であれば利用上限を低く設定します。

使わないカードや支払い手段は登録したままにしない方が安全です。

企業でWeChatを使う場合の注意点

中国の取引先との連絡など、業務上WeChatを利用せざるを得ないケースもあります。

この場合は、WeChatを「機密通信ツール」ではなく、低機密の連絡チャネルとして位置付けることが重要です。

WeChatで送らない方がよい情報
  • ID・パスワード
  • MFAコード・復旧コード
  • 秘密鍵・APIトークン
  • 顧客・社員の個人情報
  • 本人確認書類
  • インシデント調査記録
  • IOC・フォレンジック成果物
  • 未公開の脆弱性情報
  • VPN・クラウド管理情報
  • ソースコード・設計資料
  • 価格戦略・契約情報

たとえば、WeChat上では「資料を社内ポータルへ掲載しました」とだけ伝え、実際の資料は組織が承認したファイル共有サービスを利用する方法が考えられます。

これにより、WeChatを連絡手段として利用しつつ、重要データそのものを分離できます。

WeChatで不正アクセス・情報漏えいが疑われるサイン

知らない端末からログインされている

利用した覚えのないPCや端末がログイン状態になっている場合は、不正アクセスの可能性があります。

自分が送っていないメッセージがある

勝手にリンク、送金依頼、QRコードなどが送信されている場合は、アカウント侵害を疑う必要があります。

身に覚えのない決済がある

WeChat Payを利用していて、自分が行っていない決済や送金がある場合は、金融被害として早急に確認してください。

登録情報が変更されている

電話番号、ログイン方法、プロフィール情報などに身に覚えのない変更がある場合は、アカウントの管理権限を第三者に取られている可能性があります。

不審なファイルやアプリを開いた

WeChat上で受け取ったファイルを実行した後に端末の挙動がおかしくなった場合は、WeChatアカウントだけでなく端末側のマルウェア感染も確認対象になります。

WeChatで不正アクセスが疑われる場合の対処法

不審なログイン・メッセージを記録する

不審なログイン端末、メッセージ、決済、登録情報変更などをスクリーンショットで保存します。

調査や問い合わせが必要になる可能性がある場合は、すぐに削除せず日時や画面を記録してください。

不明なログイン端末を解除する

WeChatのログイン端末を確認し、心当たりのない端末をログアウトさせます。

安全な端末からパスワードを変更する

端末感染の疑いがある場合は、その端末上ではなく、別の安全な端末からパスワード変更を行ってください。

同じパスワードをほかのサービスでも使っている場合は、そちらも変更します。

決済履歴を確認する

WeChat Payや紐付けたカードなどで、身に覚えのない利用がないか確認します。

不正利用があれば、カード会社や金融機関へ速やかに連絡してください。

端末を確認する

不審なリンクやファイルを開いた場合は、スマートフォンやPCのアプリ、ダウンロード履歴、ブラウザ拡張機能、セキュリティ検知なども確認します。

WeChatで証拠保全や専門調査を検討した方がよいケース

企業の機密情報を送信した

顧客情報、認証情報、内部資料などを送信してしまった場合は、どの情報が送信され、どのアカウントや端末が関係したのか整理する必要があります。

不審なファイルを実行した

WeChatで受信したファイルを開いた後に不審な挙動が出た場合は、端末上のマルウェア痕跡や認証情報窃取の可能性を確認します。

複数アカウントで不正ログインがある

WeChatだけでなく、メール、SNS、クラウドサービスなどにも異常がある場合は、端末侵害や認証情報の使い回しも疑う必要があります。

決済・送金被害が発生している

WeChat Payや関連カードで不正利用がある場合は、金融機関への連絡と並行して、侵害経路や端末への影響を確認します。

情報漏えいの範囲を確認する必要がある

企業端末や業務アカウントが関係する場合、単にWeChatからログアウトするだけでは、どの情報が影響を受けたか判断できないことがあります。

WeChat利用後に情報漏えいや端末侵害が疑われる場合はフォレンジック調査会社に相談する

WeChatを通常の非機密な連絡だけに使っており、不審なログインや決済、ファイル実行などがない場合は、直ちに専門調査が必要とは限りません。

一方で、WeChatを通じて不審なファイルを実行した、認証情報を入力した、企業の重要情報を送信した、知らない端末からログインされているといった場合は、WeChatアカウントだけでなく端末や関連アカウントまで影響している可能性があります。

このような状況で端末を初期化したり、不審ファイルをすぐ削除したりすると、いつ何が実行され、どの情報へアクセスされた可能性があるのかを確認するための痕跡が失われる場合があります。

不審な兆候を確認した場合、フォレンジック調査会社への相談をお勧めします。フォレンジック調査会社では、スマートフォンやPCなどの証跡を確認し、不正アクセス、マルウェア感染、認証情報窃取、不正操作、情報漏えいの可能性などを調査できます。

とくに業務端末や顧客情報が関係する場合は、端末単体ではなく、メールやクラウド、認証ログなども含めて影響範囲を整理することが重要です。

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まとめ

WeChatは正規のメッセージアプリであり、利用するだけで直ちにマルウェア感染するというものではありません。

一方で、通信内容の秘匿性、監視・検閲、電話番号や連絡先との紐付け、位置情報、フィッシング、決済などの面では注意が必要です。

個人利用では、公式ストアからアプリを入れ、権限を最小限にし、不審なQRコード・リンク・送金依頼を避けることが基本です。また、パスワードやMFAコード、本人確認書類などの重要情報は送らないでください。

業務利用では、WeChatを低機密な連絡手段として位置付け、顧客情報、認証情報、契約書、ソースコード、フォレンジック調査データなどは、組織が承認した別の共有手段へ分離することが重要です。

知らない端末からのログイン、不審な決済、勝手なメッセージ送信、不審ファイル実行などがある場合は、アカウント侵害や端末感染を疑い、証跡を残したうえで必要な対処を行ってください。

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