データ抜き取りとは?不正な情報持ち出しの手口・確認方法・対処法を解説|サイバーセキュリティ.com

データ抜き取りとは?不正な情報持ち出しの手口・確認方法・対処法を解説

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「データ抜き取り」という言葉は、パソコンやスマートフォンから必要なデータを取り出す正当な作業を指す場合もあれば、第三者や従業員が機密情報を無断で外部へ持ち出す行為を意味する場合もあります。特に企業では、顧客情報、設計資料、営業秘密、認証情報などが持ち出されると、情報漏えいや不正利用、取引先対応へ発展する可能性があります。

不正なデータ抜き取りの経路は、USBメモリや私用メールだけではありません。Microsoft 365やGoogle Workspaceからの大量ダウンロード、個人クラウドへの同期、外部共有リンク、不正アプリ、侵害されたアカウント、マルウェアなど、さまざまな方法が利用されます。そのため、端末だけを確認しても全体像を把握できないことがあります。

また、情報流出が疑われる場合に端末を初期化したり、アカウントを削除したりすると、誰が・いつ・どのデータを・どの経路で持ち出したのかを確認する証拠が失われる恐れがあります。被害拡大を止めながら、ログや端末の痕跡を保全することが重要です。

そこで本記事では、データ抜き取りの意味、不正な情報持ち出しの代表的な手口、情報流出が疑われる場合に確認すべきポイント、初動対応、防止策、フォレンジック調査で流出経路と被害範囲を確認する方法までを解説します。

データ抜き取りとは

「データ抜き取り」は、利用される文脈によって意味が異なります。大きく分けると、不正なデータ窃取と、権限を持つ利用者による正当なデータ抽出があります。

不正なデータ窃取・情報持ち出し

第三者や内部者が、許可なく企業・個人のデータを取得し、外部へ持ち出す行為です。

顧客情報、個人情報、設計資料、ソースコード、営業資料、認証情報などが対象になり、英語では「data exfiltration」と表現されることがあります。

ランサムウェア攻撃でも、ファイルを暗号化する前にデータを外部へ持ち出し、公開や売買を示唆して金銭を要求するケースがあります。

正当なデータ抽出・データ移行

本人や正当な権限を持つ担当者が、PC、スマートフォン、データベースなどから必要な情報を取り出す作業です。

こちらは「データ抽出」「データ移行」「データ救出」などと表現した方が、不正な持ち出しとの混同を避けやすくなります。

問題になるのは「権限」と「目的」

同じコピーやダウンロードという操作でも、業務上必要な作業なのか、許可なく外部へ持ち出す行為なのかで意味が変わります。

不正なデータ抜き取りを判断する際は、誰が、どの権限で、何の目的で、どこへデータを移したのかを確認することが重要です。

不正なデータ抜き取りの主な手口

データの不正持ち出しは、USBメモリのような物理媒体だけでなく、メール、クラウド、SaaS、マルウェアなどさまざまな経路で行われます。

USBメモリ・外付けストレージ

社内PCからUSBメモリや外付けSSDへ、顧客名簿、設計資料、営業資料などをコピーして持ち出す手口です。

退職予定者や委託先による情報持ち出しでは、USB接続履歴やファイル操作履歴が重要な確認対象になります。

私用メール・個人クラウド

業務ファイルを個人メールへ添付したり、Google Drive、Dropbox、OneDriveなど個人用クラウドへアップロードしたりする方法です。

ブラウザ経由のアップロードだけでなく、同期クライアントを使って大量のデータを自動転送する場合もあります。

Microsoft 365・Google Workspaceなどのクラウドサービス

侵害されたアカウントや正規の従業員アカウントを利用して、SharePoint、OneDrive、Google Drive、メールなどから大量にデータをダウンロードする場合があります。

外部共有リンクを作成し、個人アカウントへ共有する手口もあります。

マルウェア・不正アプリ

情報窃取型マルウェアや不正アプリが端末内を探索し、ブラウザ保存パスワード、Cookie、文書、VPN情報などを収集して外部へ送信する場合があります。

侵害されたアカウント

フィッシングやパスワード漏えいによってMicrosoft 365やGoogle Workspaceなどのアカウントが奪われ、正規ユーザーを装って情報を取得されるケースがあります。

公開設定ミス・外部共有リンク

クラウドストレージやNASの設定ミスによって、本来限定公開すべきデータがインターネット上から閲覧できる状態になることがあります。

これは攻撃者が内部へ侵入しなくてもデータを取得できるため、共有設定の監査が重要です。

スマートフォンからの情報取得

不正アプリなどを通じて、連絡先、SMS、写真、位置情報、認証情報などを取得される場合があります。

業務スマートフォンでは、端末単体だけでなくMDMやクラウド側のログも確認対象になります。

データ抜き取りは正規機能でも行われる

攻撃者や内部不正者が、特別なハッキングツールを使うとは限りません。

ブラウザのダウンロード、OneDrive同期、メール添付、ZIP圧縮など、通常業務で使う正規機能が持ち出しに利用されることも多いため、操作ログの確認が重要です。

データ抜き取りが疑われる主なサイン

情報持ち出しは、明確な警告が出るとは限りません。操作ログや通信、共有設定などの異常から発覚するケースがあります。

短時間で大量のファイルが閲覧・ダウンロードされている

通常業務では考えにくい件数のファイルを短時間に閲覧・取得している場合は注意が必要です。

退職直前や休日・深夜など、通常と異なるタイミングで大量操作が発生している場合は特に確認します。

大量のZIP・RARファイルが作成されている

複数の文書をまとめて圧縮している場合は、外部持ち出しの準備である可能性があります。

ただし、バックアップや通常業務でも圧縮は行われるため、作成者、対象ファイル、直後の通信をあわせて確認します。

見覚えのないUSB機器が接続されている

WindowsではUSB接続履歴やデバイス情報から、外部ストレージが接続された痕跡を確認できる場合があります。

個人クラウド・私用メールへの通信がある

業務上利用していないクラウドサービスや個人メールへのアップロード、添付送信がある場合は確認が必要です。

外部共有リンクが大量に作成されている

SharePoint、OneDrive、Google Driveなどで、外部ユーザー向けリンクが突然増えている場合は情報流出の可能性があります。

普段と異なる大容量の外向き通信がある

端末やサーバーから未知の外部IP・ドメインへ大容量通信が発生している場合は、マルウェアや攻撃者によるデータ送信の可能性があります。

一つのログだけでは断定しない

USB接続やクラウド通信があっただけで、不正持ち出しと断定することはできません。

端末、クラウド、メール、ネットワークのログを時系列で結び付けることで、実際にどのデータが外部へ移動した可能性があるのかを確認します。

データ抜き取りが疑われる場合の初動対応

情報持ち出しが疑われる場合は、追加流出を止めながら、原因や範囲を確認するための証拠を残す必要があります。

疑わしい端末・アカウントを隔離する

外部攻撃やマルウェアが疑われる場合は、対象端末をネットワークから隔離します。

侵害アカウントについても、被害状況に応じてサインイン停止やセッション失効を実施します。

ただし、証拠調査が必要な案件では、端末をすぐ再起動・初期化しないよう注意してください。

端末・クラウド・ネットワークログを保全する

EDR、IdP、VPN、Proxy、Firewall、DNS、Microsoft 365、Google Workspaceなどのログを保存します。

内部不正が疑われる場合は、USB接続履歴、ファイル操作履歴、メール送信、クラウド同期なども確認対象です。

セッション・認証情報を無効化する

侵害アカウントでは、パスワード変更だけでなく、既存セッションやリフレッシュトークンを失効させます。

不審なOAuthアプリ、APIトークン、メール転送、委任設定なども確認してください。

流出対象と経路を確認する

「誰が」「いつ」「どのデータにアクセスし」「どこへ移動したのか」を整理します。

閲覧だけなのか、ダウンロードしたのか、USBへコピーしたのか、外部共有したのか、外部へ通信したのかを分けて評価します。

関係部署へエスカレーションする

顧客情報、個人情報、営業秘密などが含まれる場合は、情報システム部門だけで対応を完結させず、法務、個人情報保護担当、経営層、広報などへ共有します。

データ抜き取りが疑われる場合の初動ステップ
  1. 対象端末やアカウントから追加流出を止めます。
  2. 端末・クラウド・ネットワークのログを保全します。
  3. セッション、トークン、認証情報を必要に応じて失効します。
  4. 持ち出された可能性のあるデータと経路を特定します。
  5. 法務・経営・個人情報保護担当などへ共有します。

初動では、被害を止めることと同時に、後から流出経路を説明できる状態を残すことが重要です。

データ抜き取りを確認するために見るべきログ

データ抜き取りを調べる場合は、一つのログに頼らず複数の記録を組み合わせます。

EDR・端末操作ログ

ファイルへのアクセス、圧縮、コピー、実行プロセス、外部通信などを確認します。

大量ファイルアクセスの直後にZIP作成やブラウザアップロードが行われていないかを確認します。

USB接続履歴

USBストレージの接続日時、デバイス識別情報、端末側のファイル操作履歴などを確認します。

USBが接続されたという事実だけでなく、その時間帯に機密ファイルが操作されていないかを突き合わせます。

メール送信・転送ログ

個人ドメイン宛てメール、大容量添付、メール転送ルールなどを確認します。

Microsoft 365・Google Workspace監査ログ

大量ダウンロード、外部共有、メールボックス操作、OAuth同意、ファイル共有などを確認します。

Proxy・Firewall・DNSログ

個人クラウド、不明なストレージサービス、外部サーバーなどへの通信状況を確認します。

DLP・CASBログ

DLPやCASBを導入している場合は、機密データの外部送信、クラウドアップロード、外部共有などの検知履歴を確認します。

タイムライン化して初めて意味が見える

たとえば「USB接続」「ZIP作成」「大量ファイル閲覧」というログが別々に存在していても、それだけでは持ち出しを断定できません。

これらを同一時刻帯で関連付けることで、ファイル収集→圧縮→外部媒体への移動といった一連の操作を確認しやすくなります。

内部不正によるデータ抜き取りで確認するポイント

従業員、退職予定者、委託先などによる内部不正では、正規アカウントと正規端末が使われるため、単純な「不正ログイン」検知では発見できない場合があります。

退職・異動前の大量アクセス

通常より多くの顧客情報や設計資料を閲覧・ダウンロードしていないか確認します。

USB・個人クラウドへのコピー

外部媒体や個人クラウドへ機密ファイルを移動していないかを調査します。

業務上不要なファイルへのアクセス

担当外のフォルダや機密情報を大量に閲覧している場合は、その業務上の必要性を確認します。

個人メール・外部共有の利用

私用メールへの送信や、個人アカウントへの共有リンク作成などを確認します。

削除・ログ消去などの痕跡

持ち出し後にファイルや履歴を消そうとした痕跡も確認対象になります。

内部不正調査では適法性にも注意する

従業員の端末やメールを調査する場合は、就業規則、情報セキュリティ規程、端末管理規程、プライバシーへの配慮などを踏まえる必要があります。

調査権限を超えた閲覧や私物端末への無断アクセスを行わず、必要に応じて法務や弁護士と連携してください。

データ抜き取りを防ぐための対策

データ持ち出しを防ぐには、「従業員へ注意喚起する」だけでなく、認証、権限、ログ、外部送信の制御を組み合わせます。

最小権限を徹底する

業務上必要なデータだけにアクセスできる状態にし、過剰な共有フォルダ権限や管理者権限を減らします。

MFA・条件付きアクセスを導入する

漏えいしたパスワードだけでクラウドやVPNへ侵入されないよう、MFAを導入します。

未管理端末や異常地域からのアクセスを制限する条件付きアクセスも有効です。

USB・私用クラウド・外部共有を制御する

業務上不要なUSBストレージを禁止・制限し、個人クラウド、匿名共有リンク、私用メールへの送信などを管理します。

DLP・CASB・EDRを利用する

DLPでは機密情報の外部送信、CASBではクラウド利用、EDRでは端末上の不審な操作を可視化できます。

監査ログを継続的に保存する

Microsoft 365、Google Workspace、IdP、VPN、Proxyなどの監査ログを取得し、必要な保持期間を確保します。

退職・異動時の権限を速やかに削除する

退職や委託終了時は、アカウント停止だけでなく、共有リンク、APIトークン、既存セッション、貸与端末なども確認します。

データ抜き取り対策で最低限確認したいこと
  1. 機密データへのアクセス権を最小化します。
  2. クラウド・VPNへMFAを導入します。
  3. USB・外部共有・個人クラウドを統制します。
  4. DLP・CASB・EDRで持ち出しを監視します。
  5. 各種監査ログを継続的に保存します。
  6. 退職・異動・委託終了時に権限とセッションを失効します。

データ抜き取りの経路と被害範囲をフォレンジック調査で確認する方法

データの持ち出しが疑われる場合、単に「USBが接続されていた」「大量通信があった」という一つの証拠だけでは、実際にどの情報が外部へ出たのかを判断できない場合があります。

持ち出しに利用されたアカウント・端末

端末ログ、認証ログ、クラウド監査ログなどから、どのユーザー・端末が操作を行った可能性があるのかを整理します。

USB・メール・クラウドなどの流出経路

USB接続、メール添付、個人クラウド、外部共有、ブラウザアップロードなど、どの経路が利用された可能性があるのかを確認します。

アクセス・コピーされたファイル

ファイルアクセス履歴、RecentDocs、LNK、Jump List、クラウド監査ログなどから、対象になったファイルを確認できる場合があります。

外部通信・アップロードの痕跡

Proxy、Firewall、DNS、EDRなどのログを確認し、外部サービスや不審なサーバーへデータが送信された可能性を調査します。

削除・痕跡消去の有無

ファイル削除、履歴削除、ログ消去など、持ち出し後に痕跡を隠そうとした操作がないかを確認します。

データ抜き取り・情報持ち出しをフォレンジック調査会社に相談する

不正なデータ抜き取りが疑われる場合は、端末、クラウド、メール、ネットワークの記録を組み合わせて、持ち出し経路と対象データを確認する必要があります。

特に、退職者によるUSB持ち出し、私用クラウドへのアップロード、侵害アカウントからの大量ダウンロード、マルウェアによる情報窃取などでは、単一のログだけで全体像を判断できないことがあります。

端末を初期化したり、アカウントやメールを削除したり、USB接続履歴などを消してしまうと、誰が・いつ・どのデータを持ち出したのか確認する証拠が失われる恐れがあります。情報流出の有無や範囲を確認したい場合は、証拠を保全した状態でフォレンジック調査会社への相談を検討してください。

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まとめ

データ抜き取りには、正当なデータ抽出と、第三者や内部者による不正な情報窃取の2つの意味があります。情報漏えいの文脈では、USBメモリ、私用メール、個人クラウド、外部共有、マルウェア、侵害されたアカウントなどを経由して機密情報が持ち出される行為を指します。

持ち出しが疑われる場合は、端末やアカウントから追加流出を止めつつ、EDR、USB接続履歴、Microsoft 365・Google Workspace、メール、Proxy、Firewallなどのログを保全してください。大量ファイルアクセス、ZIP作成、外部共有、個人クラウドへの通信などを同一タイムラインで確認することが重要です。

また、端末初期化やアカウント削除を先に行うと、情報持ち出しの経路や対象ファイルを確認する痕跡が失われることがあります。重要な顧客情報や営業秘密が関係する場合は、証拠を残した状態でフォレンジック調査を行い、誰が・いつ・どのデータを・どの経路で持ち出した可能性があるのかを確認することが重要です。

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