ChromeやGoogle パスワード マネージャーを利用していると、「不正使用されたパスワード」「漏洩したパスワード」などの警告が突然表示されることがあります。見慣れない警告が出ると、「自分のアカウントがすでに乗っ取られたのではないか」と不安になる方も少なくありません。
この警告は、Googleが保存済みパスワードを確認した結果、その文字列が過去の情報漏えいに含まれていた可能性があることを知らせるものです。したがって、警告が出たこと自体で、現在そのアカウントへ第三者がログインしていると確定するわけではありません。
ただし、漏えいした可能性のあるパスワードを現在も使っている場合は、パスワードリスト攻撃などに悪用されるおそれがあります。特に同じパスワードを複数サービスで使い回していると、1件の漏えいから複数アカウントへ被害が広がる可能性があります。
そこで本記事では、「不正使用されたパスワード」と表示される意味、アカウント乗っ取りとの違い、今すぐ行うべきパスワード変更、MFA・パスキーの設定、ログイン履歴の確認、不正アクセスが疑われる場合のフォレンジック調査までを解説します。
「不正使用されたパスワード」とは
「不正使用されたパスワード」は、ChromeやGoogle パスワード マネージャーが、保存されているパスワードについて漏えいの可能性を検知した際に表示する警告です。
過去の情報漏えいに含まれていた可能性がある
警告が表示された場合、そのパスワード文字列が過去の情報漏えいなどで確認された可能性があります。
現在利用しているサービスそのものから漏えいしたとは限らず、別サービスから流出したパスワードが使い回されているケースもあります。
現在のアカウント乗っ取りを確定する警告ではない
「不正使用されたパスワード」と表示されたからといって、第三者が今すぐアカウントへログインしているとは限りません。
あくまで「このパスワードは安全とはいえないため、変更した方がよい」という警告として捉える必要があります。
同じパスワードを使い続けるのは危険
一度漏えいした可能性のあるパスワードは、攻撃者が保有するリストや辞書に含まれている可能性があります。
そのため、警告が出たパスワードは現在の利用状況に関係なく、速やかに変更することが重要です。
Googleのパスワード チェックアップで確認できる
Google パスワード マネージャーでは、漏えいした可能性のあるパスワードだけでなく、脆弱なパスワードや使い回しパスワードも確認できます。
警告が出ただけで端末感染とは限らない
この警告は、ChromeやGoogleのパスワード管理機能による認証情報のチェックです。
そのため、警告だけを理由にパソコンやスマートフォンがマルウェア感染していると断定することはできません。
「不正使用されたパスワード」と表示されたときにまず行うこと
警告が表示された場合は、該当するパスワードをそのまま使い続けず、公式サイトから変更します。
公式アプリ・公式サイトから対象サービスを開く
警告メールやSMSにリンクが含まれていても、そのまま押さず、公式アプリまたは自分で入力した公式URLから対象サービスを開きます。
「パスワードが漏えいしています」と装って偽ログインページへ誘導するフィッシングもあるためです。
パスワードを新しいものへ変更する
警告対象となったパスワードは、これまで使ったことのない新しいものへ変更します。
氏名、生年月日、電話番号などから推測できるものを避け、パスワードマネージャーで生成した長くランダムな文字列を利用する方法が有効です。
同じパスワードを使う他サービスも変更する
同じ旧パスワードを複数のWebサービスで使っていた場合は、すべて変更してください。
攻撃者は、流出したメールアドレスとパスワードの組み合わせを別サービスへ試す「パスワードリスト攻撃」を行うことがあります。
MFA・パスキーを設定する
対応サービスでは、多要素認証やパスキーを設定します。
可能であればSMSだけではなく、認証アプリ、セキュリティキー、パスキーなどを利用します。
ログイン履歴・セッションを確認する
見覚えのない地域、IPアドレス、端末、ブラウザからログインされていないか確認します。
不審なセッションがある場合は、該当セッションだけでなく全端末からサインアウトすることも検討してください。
- 公式アプリ・公式サイトから対象サービスを開きます。
- 警告されたパスワードを変更します。
- 同じパスワードを使っている他サービスも変更します。
- MFAまたはパスキーを設定します。
- ログイン履歴と既存セッションを確認します。
パスワードを一つ変更しただけでは、使い回し先や既存セッションが残っている場合があります。認証情報全体を見直すことが重要です。
パスワードを使い回している場合の危険性
漏えいしたパスワードを複数のサービスで利用していると、一つの情報漏えいから別サービスへ被害が拡大する可能性があります。
メールアカウントの乗っ取り
メールアカウントは、さまざまなサービスのパスワード再設定先として利用されます。
そのため、同じパスワードをメールでも使っていた場合は、最優先で変更してください。
SNS・ECサイトへの不正ログイン
同じメールアドレスとパスワードをSNSや通販サイトなどで利用していると、同じ組み合わせを試される可能性があります。
金融・決済サービスの不正利用
銀行、証券、決済、通販などに同じ認証情報を利用していた場合は、不正送金や不正購入などにつながる可能性があります。
他サービスのパスワード再設定を悪用される
メールアカウントを奪われると、攻撃者が別サービスの「パスワードを忘れた場合」の機能を利用して、次々とアカウントを取得することがあります。
末尾だけ変えたパスワードも見直す
「password01」「password02」のように、末尾の数字だけ変えて使っている場合も注意が必要です。
攻撃者に推測されやすいため、サービスごとに完全に異なるパスワードを設定することが重要です。
安全な新しいパスワードの作り方
漏えいしたパスワードを変更するときは、別の覚えやすい短いパスワードへ変えるのではなく、サービスごとに固有のものを用意します。
サービスごとに異なるパスワードを使う
一つのサービスから漏えいしても、他のアカウントまで侵害されないようにします。
長くランダムなパスワードを使う
名前や誕生日などではなく、推測しにくいランダムな文字列を利用します。
パスワードマネージャーを利用する
複数の長いパスワードを自分で覚えるのは難しいため、パスワードマネージャーを利用して生成・保管する方法が有効です。
可能ならパスキーを利用する
対応しているサービスでは、パスワードよりもパスキーの利用を検討します。
パスキーはフィッシング耐性を高められる認証手段として利用できます。
「不正使用されたパスワード」が銀行・カードなどで出た場合の対処法
警告対象が金融、決済、携帯キャリア、通販などの場合は、パスワード変更だけでなく取引履歴も確認します。
利用明細・送金履歴を確認する
銀行、証券、暗号資産、クレジットカードなどの利用履歴を確認し、身に覚えのない取引がないか確認します。
注文・ポイント利用履歴を確認する
ECサイトや決済サービスでは、不審な注文、送付先変更、ポイント利用などがないかも確認してください。
不審な取引があればサービス事業者へ連絡する
不正送金や不正決済が確認された場合は、パスワード変更だけで済ませず、銀行、カード会社、サービス事業者などへ連絡します。
証拠となる画面や通知を保存する
不正なログイン通知、取引履歴、メール、画面表示などを削除せず、日時が分かる状態で保存します。
ログインできない場合はサービス提供者へ連絡する
攻撃者によってパスワードや登録メールアドレスが変更され、自分でログインできなくなっている場合は、サービス提供者の不正アクセス・アカウント復旧窓口へ連絡します。
「不正使用されたパスワード」表示後に確認すべき不正ログインのサイン
パスワード警告だけなら、直ちに不正アクセスが発生しているとは限りません。一方、次のような異常がある場合は、すでに認証情報が悪用されている可能性があります。
見覚えのないログイン履歴がある
普段利用していない地域、端末、ブラウザからのログインがある場合は、不正アクセスの可能性があります。
登録メール・電話番号が変更されている
回復用メールアドレスや電話番号が第三者のものへ変更されている場合は、アカウントを奪われている可能性があります。
メール転送設定が勝手に追加されている
攻撃者はメールアカウントへ侵入した後、自動転送や受信ルールを設定し、届くメールを継続的に監視する場合があります。
知らない端末・連携アプリが登録されている
見覚えのないログイン端末やOAuth連携アプリなどが存在する場合は注意が必要です。
不審な取引・送信・設定変更がある
メール送信、SNS投稿、購入、送金、管理設定など、自分が行っていない操作が確認される場合は、すでに不正利用されている可能性があります。
警告だけなのか、実害が発生しているのかを分けて考える
「不正使用されたパスワード」という警告と、実際のアカウント侵害は分けて判断する必要があります。
ログイン履歴や設定変更などの客観的な痕跡があるかを確認することが重要です。
「不正使用されたパスワード」と端末のマルウェア感染は関係するのか
Googleの警告が表示されたことだけでは、端末がマルウェアに感染しているとは判断できません。
パスワード入力直後から不審な挙動がある
偽サイトへパスワードを入力した直後から不審なログインが始まっている場合は、フィッシングが関係している可能性があります。
見覚えのないブラウザ拡張機能がある
悪性ブラウザ拡張機能などによって、保存済み資格情報やセッション情報が取得される場合があります。
複数アカウントで同時に不正ログインがある
メール、SNS、クラウドなど複数のサービスで同時に異常が発生している場合は、単純な一件のパスワード漏えい以外の原因も考える必要があります。
セッション失効後も不正利用が続く
パスワードを変更し、全セッションを失効しても侵害が続く場合は、端末やメールなど別の経路が残っている可能性があります。
「不正使用されたパスワード」表示後の不正アクセスをフォレンジック調査で確認する方法
Googleの警告だけでは、その認証情報が実際に悪用されたか、どの経路で漏えいしたかまでは判断できません。身に覚えのないログインや設定変更がある場合は、端末や各サービスの記録を組み合わせて確認します。
不審なログイン・認証履歴
各サービスのログイン履歴や監査ログを確認し、通常利用していない地域、IP、端末などからアクセスされていないかを確認します。
フィッシングサイトへのアクセス履歴
ブラウザ履歴や端末の記録から、偽ログインページなどへアクセスした可能性がないか確認できる場合があります。
ブラウザ・端末から認証情報が盗まれた可能性
ブラウザ拡張機能、不審なアプリ、マルウェアなどが、保存済みパスワードやセッショントークンの窃取に関係していないかを確認します。
他サービスへの被害拡大
同じパスワードやメールアドレスを利用していたサービスで、不正ログインや設定変更が発生していないか確認します。
不正ログインの原因をフォレンジック調査会社に相談する
「不正使用されたパスワード」と表示されただけであれば、まずパスワード変更とMFA設定を行えば対応できる場合があります。
一方、見覚えのないログイン、登録情報の変更、メール転送、不正決済などが確認されている場合は、漏えいしたパスワードが実際に悪用された可能性があります。
ブラウザ履歴や端末をすぐ初期化すると、認証情報がどこから漏れたのか確認する痕跡が失われる恐れがあります。パスワードを変更しても不正利用が続く場合や、複数アカウントに被害がある場合は、端末や各種ログを保全したうえでフォレンジック調査会社への相談を検討してください。
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まとめ
「不正使用されたパスワード」は、ChromeやGoogle パスワード マネージャーが、そのパスワード文字列が過去の情報漏えいに含まれていた可能性を知らせる警告です。表示されたからといって、現在のアカウント乗っ取りや端末感染が確定したわけではありません。
ただし、警告されたパスワードは安全ではないものとして扱い、速やかに新しいパスワードへ変更してください。同じパスワードを使っているサービスもすべて見直し、MFAやパスキーを設定し、ログイン履歴や既存セッションを確認することが重要です。
また、身に覚えのないログイン、登録情報変更、不正決済などがすでに発生している場合は、認証情報が実際に悪用されている可能性があります。パスワード変更後も異常が続く場合は、端末やブラウザ、各サービスのログを消さずに保全し、必要に応じてフォレンジック調査で侵入経路と被害範囲を確認してください。




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