スマートフォンやパソコンでWebサイトを閲覧していると、突然「ハッカーに追跡されています」「あなたの端末は監視されています」などと表示されることがあります。強い警告文やカウントダウンが表示されると、本当に端末が乗っ取られたのではないかと不安になる方も少なくありません。
しかし、このような警告の多くは、実際の端末状態を診断したものではなく、不安をあおってアプリのインストール、個人情報入力、課金、電話などへ誘導する偽警告・詐欺ページです。OKを一度押しただけで、直ちに端末がハッキングされたとは限りません。
一方で、OKを押した後にアプリをインストールした、Apple AccountやGoogleアカウントのパスワードを入力した、カード情報を送信した、構成プロファイルや遠隔操作アプリを導入した場合は、アカウント侵害や情報流出につながる恐れがあります。
そこで本記事では、「ハッカーに追跡されています」と表示される原因、OKを押してしまった場合の対処法、iPhone・Android・Windows・Mac別の確認方法、被害を疑うサイン、フォレンジック調査で端末やアカウントへの影響を確認する方法までを解説します。
「ハッカーに追跡されています」は本物の警告なのか
Webページに表示される「ハッカーに追跡されています」という警告は、多くの場合、端末やブラウザが実際の侵入を検知したものではありません。まずは偽警告の特徴を確認することが重要です。
Webページ上だけで表示される
SafariやChromeなどのブラウザで特定のWebページを開いたときだけ警告が表示される場合は、Web広告や詐欺ページによる偽警告の可能性があります。
一般的なWebページだけで、端末内部のウイルス感染やハッカーによる追跡状況を正確に診断することはできません。
カウントダウンや強い脅し文句がある
「残り2分」「今すぐ対応しなければデータが流出します」など、利用者を急かす表現は偽警告でよく使われます。
冷静に確認する時間を与えず、そのままボタンやリンクを押させることが狙いです。
アプリのインストールを求める
「今すぐ保護」「ウイルスを除去」などのボタンから、セキュリティアプリやVPNなどの導入を促される場合があります。
正規ストアに移動した場合でも、不要なサブスクリプション契約へ誘導することがあるため注意が必要です。
電話や支払いを要求する
警告画面に電話番号が表示され、「サポートへ連絡してください」と案内される場合は、サポート詐欺の可能性があります。
電話後に遠隔操作ソフトを導入させたり、有料サポートやカード決済を求めたりするケースがあります。
通知やプロファイルの許可を求める
ブラウザ通知やiPhoneの構成プロファイル、VPNなどの導入を求められる場合も注意が必要です。
一度許可すると、そのページを閉じた後も偽警告や広告が繰り返し表示されることがあります。
OKを押しただけなら直ちに乗っ取られたとは限らない
「OK」を一度押しただけで、アプリのインストールや情報入力をしていない場合は、すぐに端末が乗っ取られたとは限りません。
ただし、その後の画面で何をしたかによってリスクは変わります。OKの後に何を操作したかを確認することが重要です。
「ハッカーに追跡されています」と表示されたときにまず行うこと
警告が表示された場合は、画面内の案内に従わず、まず詐欺ページとの接触を止めます。
警告が出ているタブを閉じる
警告画面内にある「閉じる」「キャンセル」などのボタンではなく、SafariやChromeのタブ自体を閉じます。
その後、ブラウザも完全に終了してください。
アプリ・電話・情報入力をしない
警告ページからアプリをインストールしたり、表示された電話番号へ連絡したりしないでください。
Apple Account、Googleアカウント、Microsoftアカウント、SNSのパスワード、カード情報、SMS認証コードなども入力しないことが重要です。
ブラウザの閲覧データを削除する
履歴、キャッシュ、CookieなどのWebサイトデータを削除します。
偽警告ページの情報がブラウザに残っている場合、再表示を防ぐ効果があります。
通知・プロファイル・拡張機能を確認する
ブラウザ通知、構成プロファイル、VPN、ブラウザ拡張機能などに、見覚えのない設定が追加されていないか確認します。
会社支給端末では正規の管理設定が導入されている場合があるため、自己判断で削除せず管理者へ確認してください。
- 警告が出ているブラウザのタブを閉じます。
- ブラウザ自体を終了します。
- ページ上ではアプリ・電話・情報入力を行いません。
- 閲覧履歴・Cookie・キャッシュを削除します。
- 通知やプロファイルなどに不審な変更がないか確認します。
OKを押した後にしたこと別の対処法
OKを押したこと自体よりも、その後にどの操作を行ったかが重要です。何も入力していない場合と、認証情報やカード情報まで入力した場合では緊急度が大きく異なります。
何も入力・インストールしていない場合
OKを押したものの、別ページへ進んだだけで何も入力せず、アプリやファイルをインストールしていない場合は、タブを閉じて閲覧データを消去します。
この状態であれば、直ちに端末が侵害された可能性は比較的低いと考えられます。
アプリをインストールした場合
警告画面からアプリをインストールした場合は、不要なアプリであれば削除し、端末のセキュリティ設定を確認します。
あわせて、App StoreやGoogle Playなどのサブスクリプションに意図しない契約が追加されていないか確認してください。
ID・パスワードを入力した場合
Apple Account、Google、Microsoft、メール、SNSなどのログイン情報を入力してしまった場合は、別の安全な端末からパスワードを変更します。
同じパスワードを他サービスでも使っている場合は、使い回しているサービスも変更してください。
全セッションからログアウトし、多要素認証を有効化します。
カード・銀行情報を入力した場合
クレジットカード番号や銀行情報を入力した場合は、カード会社や金融機関へ早めに連絡します。
利用停止や不正利用監視など、必要な対応を確認してください。
プロファイル・VPN・遠隔操作アプリを入れた場合
iPhoneで構成プロファイルやVPNを追加した場合、またはWindowsやMacで遠隔操作アプリを導入した場合は注意が必要です。
攻撃者が端末へアクセスできる状態になっていた可能性があるため、ネットワークから切り離し、端末設定や操作履歴を確認します。
情報入力やアプリ導入までした場合は警告を閉じるだけでは不十分
偽警告を閉じただけなら問題が終わる場合もあります。一方、認証情報入力やアプリ導入を行った場合は、すでに端末やアカウントへ影響している可能性があります。
この場合は、アカウントと端末の両方を確認する必要があります。
iPhone・iPadで「ハッカーに追跡されています」と表示された場合の対処法
iPhoneやiPadでは、Safari上の偽警告、構成プロファイル、不要なサブスクリプションなどを確認します。
Safariの履歴・Webサイトデータを消去する
Safariの設定から履歴やWebサイトデータを消去し、偽警告ページに関係するデータを削除します。
不審なアプリを確認する
警告画面から誘導されて入れたアプリや、自分でインストールした覚えのないアプリがないか確認します。
VPN・構成プロファイルを確認する
「設定」「一般」「VPNとデバイス管理」などから、知らない構成プロファイルやVPNが登録されていないか確認します。
勤務先や学校が管理する端末では、正規のMDMが登録されている可能性があるため注意してください。
サブスクリプションを確認する
App Store経由で意図しない定期購入が始まっていないか確認します。
Apple Accountのログイン状況を確認する
Apple Accountに見覚えのない端末が登録されていないか、知らないログイン通知が届いていないか確認します。
パスワードを入力してしまった場合は、安全な別端末から変更してください。
Androidで「ハッカーに追跡されています」と表示された場合の対処法
Androidでは、ChromeのWebデータ、通知設定、インストール済みアプリなどを確認します。
Chromeの閲覧データを削除する
Chromeから履歴、Cookie、キャッシュなどを削除します。
不審サイトの通知許可を削除する
Chromeの通知設定を確認し、見覚えのないサイトが「許可」になっていないか確認します。
最近追加したアプリを確認する
警告表示の直後に入れたアプリや、見覚えのないアプリがないか確認します。
不審なアプリへアクセシビリティや端末管理者などの強い権限が付与されている場合は注意が必要です。
Google Play Protectでスキャンする
Google Play Protectを利用して、インストール済みアプリを確認します。
Windows・Macで「ハッカーに追跡されています」と表示された場合の対処法
WindowsやMacでは、ブラウザだけでなく、ダウンロードしたファイルや遠隔操作ソフト、常駐項目なども確認します。
ブラウザの履歴・Cookie・キャッシュを削除する
警告が出たブラウザを閉じ、閲覧履歴やWebサイトデータを削除します。
ダウンロードフォルダを確認する
警告画面から.exe、.msi、.dmg、.pkgなどのファイルをダウンロードしていないか確認します。
実行した覚えがある場合は、単なる偽警告よりも慎重な対応が必要です。
セキュリティスキャンを実行する
WindowsではMicrosoft Defenderなどを利用してフルスキャンを行います。
検知された項目がある場合は、検知名、ファイルパス、時刻などを記録します。
遠隔操作・常駐アプリを確認する
AnyDesk、TeamViewer、ScreenConnectなど、自分で導入した覚えのない遠隔操作ソフトがないか確認します。
Macではログイン項目やプライバシーとセキュリティ周辺の許可設定も確認してください。
「ハッカーに追跡されています」表示後にすぐ相談した方がいいサイン
単純なWebページ表示だけであれば、ブラウザを閉じて終わる場合もあります。しかし、次の異常がある場合は、アカウントや端末への影響を詳しく確認する必要があります。
身に覚えのないログイン通知が届く
Apple Account、Google、Microsoft、メール、SNSなどから見覚えのないログイン通知が届く場合は、入力した認証情報が悪用されている可能性があります。
パスワード変更や認証コード通知が届く
自分で操作していないパスワード変更通知やSMS認証コードが届く場合は、第三者がログインやアカウント復旧を試みている可能性があります。
不審な請求・決済が発生する
カード明細、携帯料金、App Store、Google Playなどに身に覚えのない請求がある場合は、決済情報が悪用されている可能性があります。
勝手にアプリ・VPN・プロファイルが追加される
自分で導入した覚えのないアプリ、VPN、構成プロファイル、ブラウザ拡張機能などが見つかった場合は、端末設定まで確認する必要があります。
ブラウザを閉じても警告が繰り返し出る
ページを閉じても通知が継続する場合は、ブラウザ通知の許可や不審なアプリ・拡張機能が残っている可能性があります。
不正ログインや遠隔操作がある場合は証拠を残す
偽警告ページから実際のアカウント侵害や遠隔操作被害へ発展している場合は、画面や通知をすぐに消してしまうと、被害経緯を確認しにくくなります。
スクリーンショット、アクセスURL、電話番号、ダウンロードしたファイル名、ログイン通知などを可能な範囲で保存しておくことが重要です。
「ハッカーに追跡されています」による被害をフォレンジック調査で確認する方法
「ハッカーに追跡されています」という警告が表示されただけであれば、フォレンジック調査まで必要とは限りません。一方、警告後にファイルを実行した、遠隔操作を許可した、認証情報を入力したなどの場合は、端末やアカウントへの影響を詳しく確認する必要があります。
偽警告サイトへのアクセス履歴
ブラウザや端末に残る記録から、どのURLへアクセスし、警告がいつ表示されたのかを整理できる場合があります。
不審なアプリ・ファイルの実行履歴
警告画面からダウンロードしたファイルやアプリが、実際に実行されたのかを確認します。
遠隔操作や設定変更の痕跡
遠隔操作アプリの利用、VPN・プロファイル変更、ブラウザ設定変更などが行われていないかを調査します。
認証情報・データ流出の可能性
端末の操作記録や関連サービスのログなどから、入力した認証情報が悪用された可能性や、データへアクセスされた痕跡を確認します。
偽警告による被害をフォレンジック調査会社に相談する
「ハッカーに追跡されています」という画面を見ただけでは、端末侵害を断定できません。しかし、警告後に遠隔操作アプリを導入した、ファイルを実行した、パスワードを入力した、不審なログインが発生した場合は、より詳しい確認が必要です。
被害確認のために履歴やアプリを一度に削除したり、端末を初期化したりすると、攻撃者が何を行ったのか確認するための証拠が失われる恐れがあります。
不正ログイン、遠隔操作、情報流出などが疑われる場合は、現在の状態をできるだけ保全し、端末やアカウントの痕跡を調べられるフォレンジック調査会社へ相談することをおすすめします。
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まとめ
「ハッカーに追跡されています」とWebページに表示されても、それだけで本当に端末がハッキングされたとは限りません。多くの場合は、不安をあおってアプリ導入や課金、情報入力へ誘導する偽警告・詐欺ページです。
OKを押しただけで、その後に何も入力・インストールしていない場合は、警告のタブを閉じ、ブラウザの履歴やWebサイトデータを削除してください。一方、パスワード、カード情報を入力した、アプリ・プロファイル・遠隔操作ソフトを導入した場合は、別の安全な端末からアカウントを保護し、端末側の状態も確認する必要があります。
また、身に覚えのないログイン通知、不審な請求、勝手なアプリ追加などが確認される場合は、単なる偽警告で終わっていない可能性があります。履歴や端末を不用意に初期化せず、必要に応じてフォレンジック調査で実際の被害範囲を確認してください。




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