社長や役員を名乗り、LINEグループの作成やQRコードの返信、送金を求める詐欺メールの手口と見分け方を解説します。メールを受信しただけの場合、LINEグループを作成した場合、QRコードを送った場合、社内情報を渡した場合、振込をしてしまった場合の対処法まで紹介します。
社長や役員を名乗るメールで「LINEグループを作ってほしい」「QRコードを返信してほしい」と指示された場合、業務上の連絡に見えても慎重に確認する必要があります。実在する社長名や役員名を使って社員を信用させ、LINE上へ誘導したうえで口座情報や送金を求めるCEO詐欺の手口があります。
特に、メールからLINEへ連絡手段を移し、「ほかの社員はグループへ入れないでほしい」「急ぎで振込が必要」などと伝えて確認する時間を与えないケースには注意が必要です。指示に従って社内情報や口座情報を送ると、被害が広がる恐れがあります。
一方、メールを受信しただけの場合と、LINEグループを作ってQRコードまで送った場合、さらに送金までしてしまった場合では、必要な対応が異なります。どこまで相手の指示に従ったのかを整理してから対応することが重要です。
そこで本記事では、社長や役員を装ってLINEグループへ誘導する詐欺メールの手口と見分け方、メール受信・LINEグループ作成・QRコード送信・社内情報送信・振込後の状況別に取るべき対処法を解説します。
社長を名乗ってLINEグループへ誘導する詐欺メールの手口
このタイプの詐欺では、実在する社長や役員になりすまして社員へメールを送り、LINEグループの作成を指示したうえで、最終的に社内情報や金銭をだまし取ろうとします。メールからLINEへ誘導する一連の流れを知っておくと、途中で違和感に気づきやすくなります。
社長や役員になりすまして社員へメールを送る
最初の段階では、社長や役員など社内で権限を持つ人物になりすましたメールが送られます。差出人名に実在する社長名や役員名が表示されていると、受信者が本人からの指示だと思い込みやすくなります。
しかし、メールの表示名は本人確認の根拠にはなりません。実際の送信元アドレスには、会社の正式なメールドメインではなく、フリーメールが使われるケースもあるとされています。
業務指示を装ってLINEグループを作成させる
メールでは「業務連絡用のLINEグループを作成してほしい」「新しいプロジェクト用にグループを準備してほしい」など、仕事上の指示に見える内容が使われます。
普段から社内でLINEを使っている企業では不自然さを感じにくい場合があります。重要なのは、社長本人が通常どのような経路で指示を出しているかと照らし合わせることです。
作成したLINEグループのQRコードを返信させる
LINEグループを作成させた後、詐欺相手がグループへ参加するためにQRコードの画像を返信するよう求めるケースがあります。
QRコードを送ると、相手がグループへ参加できる状態になる可能性があります。その後、メールではなくLINE上で会話を続けることで、受信者に「本人と連絡している」という錯覚を与えやすくなります。
他の社員をLINEグループへ入れないよう指示する
「まだ機密案件なのでほかの社員は入れないでほしい」「この件は自分とあなたの間だけで進めたい」などと指示し、第三者による確認を避けさせることがあります。
周囲への相談を防ぐことで、詐欺だと気づかれる可能性を下げる狙いがあります。普段とは違う連絡方法を指定したうえで、さらに口外しないよう求められた場合は特に注意してください。
LINE上で会社口座の残高情報を要求する
LINEへ誘導した後、会社口座の残高、取引先情報、振込可能額などを聞き出そうとする場合があります。まだ送金を求められていなくても、社内の財務情報を収集する目的である可能性があります。
社長本人からの指示に見えても、口座残高や取引情報など重要な社内情報を普段と異なる方法で求められた場合は、別経路で本人確認を行うことが重要です。
緊急の取引を装って指定口座へ振込を要求する
最終的に、「今日中に取引を成立させる必要がある」「秘密の買収案件なので急いで送金してほしい」などと理由を付け、指定口座への振込を要求することがあります。
これはビジネスメール詐欺の典型的な流れの一つです。緊急性や秘密性を強調しても、通常の承認手続きや本人確認を省略しないことが重要です。
LINEへ誘導された時点で一度本人確認を行う
社長や役員を装った詐欺では、メールからLINEへ移動させることで、社内のメールセキュリティや確認フローから外そうとすることがあります。
業務上の指示として不自然な点がある場合は、そのメールやLINE上で確認を続けず、普段使っている社内チャット、登録済みの電話番号、対面など別の手段で本人へ確認してください。
LINEグループ作成を求める詐欺メールの見分け方
このタイプの詐欺は実在する社長名や役員名を使うことがあるため、差出人の表示名だけでは判断できません。送信元アドレス、指示内容、普段の社内フローとの違いを組み合わせて確認してください。
表示されている社長名だけで本人と判断しない
メールの差出人欄に実在する社長名が表示されていても、それだけで本人から送られたメールとは判断できません。差出人表示は変更できるため、名前だけを信用すると詐欺メールを見抜きにくくなります。
社長名に加えて、実際の送信元メールアドレスや、普段の連絡方法と一致しているかを確認してください。
送信元のメールアドレスが自社の正式なドメインか確認する
差出人名の横や詳細表示から実際のメールアドレスを確認し、自社で利用している正式なドメインと一致しているかを確認します。
文字が一部だけ異なるドメインや、普段使われていないアドレスの場合は注意してください。ただし、メールアドレスが正しく見える場合でも、それだけで安全と断定できるわけではありません。
フリーメールから突然業務指示が届いた場合は疑う
社長や役員が普段は会社のメールアドレスを利用しているにもかかわらず、Outlook.com、Hotmail.com、Gmail.comなどのフリーメールから突然重要な業務指示が届いた場合は、慎重に確認してください。
フリーメールそのものが危険なのではありません。普段の連絡方法と異なることが重要な判断材料になります。
LINEグループの作成をメールだけで指示された場合は本人へ確認する
それまで利用していなかったLINEグループを突然作るよう求められた場合は、実際にその指示を出したのか本人へ確認してください。
確認するときは、受信したメールへの返信ではなく、既知の社内連絡先や電話番号を利用します。詐欺メールの送信者へそのまま確認すると、本人を装った回答が返ってくる可能性があります。
- メールに記載された連絡先は使わないようにします。
- 普段利用している社内チャットや電話番号を使います。
- LINEグループ作成や送金の指示を実際に出したか本人へ確認します。
QRコードの返信を要求された場合は送信しない
LINEグループへ参加するためのQRコードをメールで送るよう求められても、本人確認が取れるまでは送信しないでください。
特に、グループ作成とQRコード送信を急かされている場合は、相手をグループへ参加させる前に社内で確認することが重要です。
振込を急かされても電話など別の手段で確認する
「今すぐ振り込んでほしい」「時間がない」などと急かされても、通常の社内承認フローを省略しないでください。送金先口座の変更や新規口座への振込では特に慎重な確認が必要です。
本人確認だけでなく、社内の経理担当者や上長など複数人で確認できる仕組みを利用すると、詐欺による不正送金を防ぎやすくなります。
詐欺メールに返信した場合やLINEグループを作った場合の対処法
対処は、どこまで相手の指示に従ったかによって変わります。メールを受信しただけの場合と、QRコード、社内情報、金銭まで渡した場合では緊急度が異なるため、現在の状況に当てはまる項目から対応してください。
メールを受信しただけなら返信せず社内へ共有する
詐欺が疑われるメールを受信しただけで、返信やQRコード送信、LINEグループへの誘導などに応じていない場合は、それ以上相手とやり取りしないことが基本です。
同じメールがほかの社員にも送られている可能性があるため、情報システム部門や管理部門など、社内のセキュリティ担当者へ共有してください。
- メールへ返信しないようにします。
- 添付ファイルやリンクがあれば開かないようにします。
- 社内のセキュリティ担当者へ内容を共有します。
LINEグループを作成した場合は詐欺相手とのやり取りを中止する
LINEグループを作っただけで、まだ相手が参加していない場合は、QRコードなどを送らず、そのままやり取りを中止してください。
すでに不審な相手が参加している場合も、相手から届く指示へ従わず、送金や社内情報の提供を停止します。グループ内のやり取りは、後から状況を確認できるよう記録しておくとよいでしょう。
QRコードを送った場合は不審な参加者との接触を停止する
QRコードを送信してしまった場合は、それ以降のやり取りを止め、相手がLINEグループへ参加していないか確認してください。
すでに参加している場合は、相手からの指示に応じず、グループ内で交わしたメッセージやアカウント情報を記録します。社内の担当者にも共有し、同様の詐欺がほかの社員へ広がっていないか確認することが重要です。
- 不審な参加者がグループに加わっていないか確認します。
- 相手とのやり取りやアカウント情報を記録します。
- 社内担当者へ状況を共有します。
社内情報を送った場合は送信内容と相手を記録する
会社口座の残高、取引先情報、社員情報、認証情報などを送ってしまった場合は、何を、いつ、どのアカウントへ送ったのかを整理してください。
送った情報の内容によっては、口座やアカウントの保護、取引先への連絡など追加対応が必要になります。メッセージやメールを削除する前に、送信内容や日時が分かる形で記録しておくことが重要です。
- 送信した情報の内容を一覧化します。
- 送信日時と相手のメール・LINEアカウントを記録します。
- 影響する部署やシステムを確認し、社内担当者へ共有します。
振込をした場合はすぐに金融機関へ連絡する
詐欺相手が指定した口座へ振込をしてしまった場合は、メールやLINE上で相手と交渉するより先に、利用した金融機関へ速やかに連絡してください。
振込日時、金額、振込先口座、詐欺メールやLINEの内容などを整理し、金融機関へ伝えます。必要に応じて警察などへの相談も検討してください。
フォレンジック調査会社が振り込んだ金銭そのものを取り戻すサービスではありません。一方、メールアカウントへの不正アクセスや社内情報の漏えいが疑われる場合は、別途技術的な調査が必要になることがあります。
- 利用した金融機関へ速やかに連絡します。
- 振込先、金額、日時などの記録を整理します。
- 詐欺メールやLINEのやり取りを保存し、社内へ報告します。
不正アクセスや情報漏えいが疑われる場合は専門業者に相談する
LINEグループを作成しただけ、またはQRコードを送っただけであれば、必ずしもフォレンジック調査が必要になるわけではありません。まず相手とのやり取りを止め、社内で状況を共有することが基本です。
一方、添付ファイルを実行した、社内メールアカウントに身に覚えのないログインがある、認証情報を相手へ送った、社内情報が外部へ流出した可能性があるなどの場合は、単なる詐欺メールへの対応だけでは不十分なことがあります。
こうした場合は、端末やメール、アカウントに残るログや操作履歴を解析するフォレンジック調査によって、不正アクセスの有無や情報漏えいの範囲を確認できます。どこまで被害が及んでいるか判断できない場合は、専門業者への相談を検討してください。
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まとめ
社長や役員を名乗ってLINEグループの作成やQRコードの返信を求めるメールが届いた場合は、表示名だけで本人と判断せず、実際の送信元メールアドレスや普段の連絡方法を確認してください。
メールを受信しただけなら返信せず社内へ共有し、LINEグループやQRコードまで送った場合は相手とのやり取りを止めます。社内情報を渡した、不審なログインがある、添付ファイルを実行したなどの状況では、不正アクセスや情報漏えいの有無を詳しく確認することも検討しましょう。




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