Webサイトを見ている途中で突然、「ウイルスが検出されました」「あなたのパソコンは危険な状態です」「今すぐサポートへ電話してください」といった警告が大きく表示されると、本当に端末が侵害されたのではないかと不安になることがあります。警告音が鳴ったり、画面いっぱいに赤い表示が出たりすると、冷静に判断しにくくなることもあります。
しかし、このようなブラウザ上の警告だけでは、実際にウイルス感染やハッキングが発生したことを意味しません。とくに電話番号や遠隔サポートへの誘導が表示されている場合は、偽のウイルス警告やサポート詐欺である可能性が高く、相手へ連絡することで遠隔操作や金銭被害につながる恐れがあります。
表示されただけで、リンクを開いたり、パスワードを入力したり、アプリをインストールしたりしていない場合は、ブラウザを閉じて通知設定を確認する対応が中心です。一方で、電話した、遠隔操作を許可した、ソフトを入れたといった場合は、端末の隔離や認証情報の保護まで必要になります。
そこで本記事では、偽のウイルス警告が表示されたときにまず行うこと、ブラウザを閉じられない場合の対処法、電話・クリック・遠隔操作をしてしまった場合の対応、端末やアカウント被害を詳しく確認する方法までわかりやすく解説します。
偽のウイルス警告・サポート詐欺でよくある表示
偽のウイルス警告は、実際のセキュリティ製品やOSの警告に似せて表示されることがあります。まずは、どのような表示が危険信号なのか確認します。
「ウイルスに感染しています」と大きく表示される
ブラウザ上で突然「複数のウイルスを検出しました」「PCが危険です」などと表示されても、その画面だけで実際の感染を判断することはできません。
Webサイト側が単に警告風の画面を表示しているだけの場合もあります。OSや正規のセキュリティ製品が検知した警告と、ブラウザ内の表示は分けて考える必要があります。
電話番号へ連絡するよう求められる
「Microsoftサポート」「セキュリティセンター」などを名乗り、画面に表示された電話番号へ連絡するよう求められる場合は特に注意が必要です。
相手へ電話すると、端末の遠隔操作や有料サポート契約、カード決済などへ誘導される可能性があります。
今すぐ修復・削除するボタンを押すよう促される
「今すぐスキャン」「修復」「ウイルスを削除」などのボタンが表示されることがありますが、クリック先が不審なサイトやソフトのダウンロードになっている場合があります。
内容を確認するためでも画面内のボタンは押さないことが重要です。
警告音やカウントダウンで焦らせる
大きな警告音、点滅、残り時間の表示などは、冷静な判断をさせず、すぐ行動させるために使われることがあります。
「数分以内に対応しないとデータが消える」といった表示があっても、まずブラウザを閉じることを優先します。
遠隔操作ソフトを入れるよう案内される
電話後にAnyDesk、TeamViewer、UltraViewerなどの遠隔操作ソフトをインストールするよう求められた場合は注意が必要です。
遠隔操作を許可すると、相手が端末内の画面やファイル、ブラウザに保存された情報などへアクセスできる可能性があります。
警告画面に電話番号やサポートへの誘導がある場合は、その連絡先を使わないことが重要です。
偽のウイルス警告が表示されたときにまず行うこと
警告画面が出た場合は、その画面を操作せず、ブラウザを閉じます。閉じられない場合はOSの機能から強制終了します。
警告画面のボタンを押さない
「閉じる」「修復」「スキャン」と書かれていても、Webページ内のボタンは押さない方が安全です。
見た目上は閉じるボタンでも、実際には別ページへの遷移やダウンロードが行われる可能性があります。
ブラウザを閉じる
通常通りブラウザのウィンドウを閉じられる場合は、そのまま終了します。
警告画面に表示された電話番号へ連絡したり、画面内のリンクを開いたりする必要はありません。
閉じられない場合は強制終了する
画面が全画面表示になり、通常の方法で閉じられない場合は、OS側からブラウザを終了します。
- Ctrl + Shift + Escを押してタスクマネージャーを開きます。
- Chrome、Edgeなど利用中のブラウザを選択します。
- 「タスクの終了」を実行します。
- Option + Command + Escを押します。
- 利用中のブラウザを選択します。
- 強制終了を実行します。
画面・URL・電話番号を記録する
可能であれば、画面を閉じる前にスマートフォンなど別の端末で警告画面を撮影します。
表示されているURL、電話番号、警告文などを記録しておくと、後からどのようなサイトだったのか確認しやすくなります。
ただし、証拠を残すために画面内のリンクをクリックする必要はありません。
前回のタブを復元せずブラウザを起動する
ブラウザを再起動した際、「前回開いていたページを復元しますか」と表示されても、偽警告のページを再び開かないよう復元しないことが重要です。
再度同じ画面が表示される場合は、ブラウザの通知設定や起動時ページも確認します。
ブラウザを閉じても偽警告が出る場合に確認すること
ブラウザを閉じても「ウイルス感染」などの通知が繰り返し表示される場合は、不審サイトの通知を許可している可能性があります。
ブラウザの通知許可を確認する
Webサイトで「通知を許可しますか」と表示された際に許可してしまうと、その後ブラウザを閉じても通知が表示される場合があります。
ChromeやEdgeなどの設定から通知許可サイトを確認し、見覚えのないサイトを削除・ブロックします。
見覚えのない拡張機能を確認する
ブラウザに自分で入れた覚えのない拡張機能がないか確認します。
広告表示やWeb閲覧への過剰な権限を持つ拡張機能がある場合は注意が必要です。
起動時ページを確認する
ブラウザ起動時に毎回偽警告ページが開く場合は、起動時ページやホームページ設定が変更されていないか確認します。
不審なサイトデータを削除する
必要に応じて、そのサイトに関連するCookieやキャッシュなどを削除します。
ただし、金銭被害や遠隔操作などの実害があり、後から証拠として詳しく調べたい場合は、端末を大きく変更する前に保全を検討します。
偽警告の電話番号へ連絡してしまった場合の対処法
警告画面に表示された番号へ電話した場合は、相手から何を求められたかによって対応が変わります。
追加の連絡をしない
一度電話してしまっても、相手からの折り返しや追加要求に応じる必要はありません。
「作業が途中」「解約処理が必要」と言われても、相手とのやり取りを続けないことが重要です。
伝えた個人情報を整理する
氏名、電話番号、メールアドレス、住所などを伝えた場合は、何を伝えたのか記録します。
今後、同じ情報を利用した詐欺電話やSMSが来る可能性があるため注意します。
遠隔操作を許可したか確認する
相手の指示でAnyDesk、TeamViewerなどをインストールした場合は、単なる電話相談ではなく端末へのアクセスを許可した可能性があります。
この場合はネットワークから端末を隔離し、相手がどのような操作を行ったか確認する必要があります。
支払い・カード情報入力があれば金融機関へ連絡する
サポート料金などの名目でカード情報を伝えた場合や支払いを行った場合は、カード会社や金融機関の公式窓口へ連絡します。
不正利用監視、利用停止、再発行などが必要か相談します。
遠隔操作ソフトを入れてしまった場合の対処法
遠隔操作を許可した場合は、端末内のファイルや保存済み情報を見られた可能性も考え、被害拡大を止める対応を優先します。
端末をネットワークから隔離する
LANケーブルを抜き、Wi-Fiを切るなどして、端末をネットワークから切り離します。
相手が遠隔接続を続けられる状態を止めることが優先です。
安全な別端末からパスワードを変更する
遠隔操作された端末ではなく、別の信頼できる端末から重要アカウントのパスワードを変更します。
優先したいのは、メール、Microsoftアカウント、Googleアカウント、銀行、通販などです。
可能であれば二要素認証も設定し、不審なセッションをログアウトさせます。
不審な遠隔操作ソフトを確認する
AnyDesk、TeamViewer、UltraViewerなど、自分が普段利用していない遠隔操作ソフトが入っていないか確認します。
ただし、警察相談やフォレンジック調査を検討している場合は、記録を残さずすぐ削除すると痕跡が失われる可能性があります。
アカウントのログイン履歴を確認する
メールやMicrosoft、Googleなどで、見覚えのない端末や地域からログインされていないか確認します。
遠隔操作中にブラウザへ保存されていた認証情報を見られた可能性も考え、関連サービスへ確認範囲を広げます。
遠隔操作中に何をされたか記録する
相手がブラウザを開いた、銀行サイトへアクセスした、コマンドを実行した、ファイルを開いたなど、覚えている操作を時系列で記録します。
遠隔操作後に不正ログインや金銭被害が発生した場合、後の調査で重要な手掛かりになります。
遠隔操作を許可した場合は、単にソフトを削除するだけでなく、第三者が何を見た・操作した可能性があるかまで確認することが重要です。
偽警告からソフトをインストールしてしまった場合の対処法
警告画面から「セキュリティソフト」「修復ツール」などをインストールした場合は、別の不審ソフトが入っていないか確認します。
ネットワークから隔離する
不審なプログラムを実行した場合は、まずネットワークから切り離します。
外部への情報送信や追加ファイルの取得を抑えるためです。
最近追加されたアプリを確認する
Windowsの「インストールされているアプリ」などから、警告が表示された前後に追加されたプログラムを確認します。
遠隔操作ソフト以外にも、見覚えのないツールがないか確認します。
Windows セキュリティでフルスキャンする
個人利用で詳細な証拠保全が不要な場合は、Windows セキュリティなど信頼できるセキュリティ機能でフルスキャンを行います。
ただし、検出されなかったことだけで端末が安全だったと完全に証明できるわけではありません。
他の不審なソフトや拡張機能も確認する
不審なアプリだけでなく、ブラウザ拡張機能や起動時プログラムなども確認します。
削除後も異常が続く場合は、端末全体の確認が必要になることがあります。
「表示されただけ」なら感染したとは限らない
偽のウイルス警告が表示されただけで、何もクリックせず、アプリのインストールやパスワード入力、遠隔操作をしていない場合は、実際に端末が侵害されたとは限りません。
Webページ上に偽の警告を表示し、不安を煽って電話やソフト導入へ誘導しているだけの場合があります。
その場合は、ブラウザを閉じ、通知許可やブラウザ設定を確認する対応が中心です。
一方で、警告画面をきっかけに何かをダウンロードした、電話した、相手にPCを操作させた、パスワードやカード情報を入力した場合は、被害範囲を広げて確認する必要があります。
偽ウイルス警告による被害をフォレンジック調査で確認する方法
偽警告が表示されただけであれば、専門調査が必要になるケースは多くありません。しかし、遠隔操作を許可したり、ソフトをインストールしたりした場合は、端末内に何が残っているかを詳しく確認したいことがあります。
偽警告へアクセスした前後の履歴を確認する
ブラウザ履歴やダウンロード履歴などから、偽警告が表示された時刻、その後にどのようなサイトやファイルへアクセスしたかを整理します。
単に警告が表示されただけなのか、その後にソフトの取得や別サイトへのアクセスが行われたのかを確認する手掛かりになります。
遠隔操作ソフトや不審プログラムの実行痕跡を確認する
相手の指示でアプリやプログラムをインストールした場合は、そのソフトがいつ導入され、実行されたのかを確認します。
不審な遠隔操作ツールや追加プログラムが残っていないかを調べます。
第三者による操作履歴を確認する
遠隔操作を許可した場合、相手がどのフォルダやブラウザ、サービスへアクセスした可能性があるのかを端末に残る記録から整理します。
すべての操作が必ず記録されるわけではありませんが、複数のログを確認することで操作の流れを把握できる場合があります。
情報流出やアカウント被害の可能性を整理する
ブラウザに保存したパスワード、メール、業務ファイルなどへアクセスされた可能性がある場合は、端末側とアカウント側の記録を組み合わせて確認します。
第三者の操作後に不審なログインが発生している場合は、その時系列も確認する必要があります。
フォレンジック調査会社に相談する
偽のウイルス警告をきっかけに遠隔操作を許可した、見覚えのないソフトをインストールした、銀行やメールなどを相手に操作された場合は、フォレンジック調査会社への相談を検討できます。
フォレンジック調査会社では、ブラウザ履歴、不審なプログラムの実行状況、遠隔操作の痕跡、各種操作ログなどを確認し、第三者がどのような操作をした可能性があるのかを整理できます。
特に金銭被害や情報流出が疑われる場合は、初期化やログ削除を急ぐと後から確認できる証拠が失われる恐れがあります。必要な記録を保全したうえで調査を進めることが重要です。
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まとめ
「ウイルスに感染しています」「今すぐ電話してください」といった警告がブラウザ上に表示された場合は、偽のウイルス警告やサポート詐欺の可能性があります。まず画面内の電話番号へ連絡せず、リンクやボタンも押さず、ブラウザを閉じます。
ブラウザを閉じられない場合は、Windowsではタスクマネージャー、Macでは強制終了の機能を使います。再起動後は前回のタブを復元せず、ブラウザ通知の許可一覧や見覚えのない拡張機能などを確認します。
表示されただけで何も操作していない場合は、実際に端末が侵害されたとは限りません。一方で、電話した、遠隔操作を許可した、不審なソフトを入れた、パスワードやカード情報を入力した場合は、ネットワークからの隔離、別の安全な端末からのパスワード変更、金融機関への連絡などが必要です。
遠隔操作で何をされたか分からない場合や、メール・銀行・業務ファイルなどへのアクセスが疑われる場合は、端末を初期化する前に記録を保全し、フォレンジック調査によって操作痕跡や情報流出の可能性を確認する方法があります。




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