退職者や従業員が使用していたパソコンについて、「どのWebサイトを閲覧していたのか」「特定の期間にどのようなアクセスがあったのか」を確認したい場合、Google Chromeの閲覧履歴が手がかりになることがあります。CSVやExcel形式に変換できれば、日時やURLを一覧化し、時系列で確認しやすくなります。
ただし、ChromeにはMicrosoft Edgeのように閲覧履歴をCSVへ直接出力する標準機能がありません。手軽に確認するなら拡張機能、Googleアカウント側に同期された情報を取得するならGoogle Takeout、端末内の履歴を詳しく調べるならSQLiteデータベースを利用するなど、目的によって方法を使い分ける必要があります。
また、社内不正や労務調査などで履歴を証拠として扱う場合は、便利さだけで方法を選ぶのは適切ではありません。拡張機能で表示された履歴だけでは削除済みデータやDB内部の状態までは分からず、原本ファイルを直接開いて操作すると証拠性が損なわれる恐れがあります。
そこで本記事では、Chromeの閲覧履歴をCSV・Excel形式で出力する方法から、Google Takeoutの利用、HistoryデータベースをSQLiteで解析する方法、削除履歴や証拠保全まで確認したい場合の注意点をわかりやすく解説します。
Chromeには閲覧履歴をCSVへ直接出力する標準機能がない
Google Chromeでは、履歴画面から閲覧したWebサイトを確認できますが、標準機能だけでCSV形式へ直接エクスポートすることはできません。
そのため、閲覧履歴を一覧化したい場合は、目的に応じて別の方法を利用します。簡易的にCSVやExcelへ出したい場合と、社内調査で証拠として扱いたい場合では、適した方法が異なります。
拡張機能を使ってCSV・Excelへ出力する
手軽にChromeの閲覧履歴をCSVやExcel形式へ出したい場合は、Chromeウェブストアで提供されている履歴エクスポート用の拡張機能を利用する方法があります。
たとえば「Quick Chrome History Export」のような拡張機能では、対象期間を指定し、CSV、JSON、XLSXなどの形式で履歴を保存できます。
一方で、拡張機能にはChromeの閲覧履歴へアクセスする権限を与えることになります。個人利用では利便性がありますが、会社貸与端末や社内調査では、提供元、要求権限、更新状況などを確認したうえで利用する必要があります。
Google Takeoutから同期データを取得する
Googleアカウントへ同期・保存されている情報を含めて確認したい場合は、Google Takeoutを利用できます。
Google Takeoutでは、Chromeやマイ アクティビティなど対象サービスを選択し、アーカイブを作成してダウンロードできます。
これはローカルPC内の履歴だけを見る方法とは異なり、Googleアカウント側に保存されているデータを取得したい場合に向いています。
HistoryデータベースをSQLiteで解析する
社内調査やフォレンジック用途では、Chromeプロファイル内に保存されているHistoryデータベースを確認する方法があります。
Chromeの閲覧履歴はSQLite形式のデータベースとして保存されており、urlsテーブルとvisitsテーブルなどを組み合わせて、URL、タイトル、訪問日時を確認できます。
ただし、元のHistoryファイルを直接解析するのではなく、Chromeを終了した状態でコピーを作成し、コピー側を確認することが重要です。
拡張機能を使ってChromeの閲覧履歴をCSV・Excelへ出す方法
閲覧履歴を簡単に一覧化したい場合は、Chromeウェブストアで提供される履歴エクスポート用拡張機能を使う方法があります。
Chromeウェブストアから拡張機能を追加する
Chromeウェブストアを開き、履歴をエクスポートできる拡張機能を追加します。
一例として「Quick Chrome History Export」のような拡張機能があります。導入する前に、提供元、レビュー、更新状況、要求される権限を確認します。
特に会社の業務端末では、組織のセキュリティポリシーに反しないかを確認してから利用することが重要です。
対象期間とファイル形式を選択する
拡張機能を追加した後は、Chrome右上の拡張機能アイコンから起動します。
対象期間を選択し、CSV、JSON、XLSXなど必要な形式を指定します。期間を絞ることで、確認したい時期の履歴だけを整理しやすくなります。
CSV・JSON・XLSXとして保存する
ExportやDownloadを実行すると、指定した形式で閲覧履歴を保存できます。
CSVやXLSXで保存すれば、Excelなどを使って日時やURLを並べ替えたり、特定ドメインを抽出したりできます。
- Chromeウェブストアで履歴エクスポート用拡張機能を確認します。
- 提供元と要求権限を確認して追加します。
- 拡張機能を起動し、対象期間を指定します。
- CSV・JSON・XLSXなど必要な形式を選択します。
- ExportまたはDownloadを実行して保存します。
拡張機能は簡単に利用できますが、出力できるのは取得時点で確認できる履歴が中心です。削除済み履歴やデータベース内部の情報まで確認できるとは限りません。
Google TakeoutでChromeの同期データを取得する方法
Googleアカウント側へ同期されたChrome関連データやマイ アクティビティを取得したい場合は、Google Takeoutを利用できます。
Google Takeoutを開く
Googleアカウントへログインした状態でGoogle Takeoutを開きます。
Takeoutでは、Googleアカウントに関連する複数のサービスについて、保存データをアーカイブとして取得できます。
Chromeまたはマイ アクティビティを選択する
エクスポート対象から「Chrome」または「マイ アクティビティ」を選択します。
取得したいデータの種類によって対象を使い分けます。ローカルPCだけではなく、アカウント側に保存された情報を確認したい場合に適しています。
エクスポートを作成してダウンロードする
「次のステップ」へ進み、配信方法、ファイル形式などを指定してエクスポートを作成します。
作成されたアーカイブをダウンロードし、必要なデータを確認します。
- Google Takeoutを開きます。
- Chromeまたはマイ アクティビティを選択します。
- 「次のステップ」へ進みます。
- アーカイブ形式や配信方法を指定します。
- エクスポートを作成し、完成後にダウンロードします。
Google Takeoutで取得できる情報と、ローカル端末に残るChromeのHistoryデータベースは同じものではありません。調査目的では、どちらのデータを確認しているのか区別することが重要です。
Chromeのローカル閲覧履歴をSQLiteからCSV化する方法
端末に残るChromeの閲覧履歴を詳しく確認したい場合は、Chromeプロファイル内のHistoryデータベースをコピーし、SQLiteで解析する方法があります。
Chromeを完全終了する
Historyデータベースを取得する前に、Chromeを完全に終了します。
Chromeが起動している状態ではデータベースが更新されている可能性があるため、調査対象を固定したい場合は停止した状態で取得することが重要です。
History関連ファイルをコピーする
ChromeのHistoryデータベースは、通常ユーザープロファイル内に保存されています。
代表的な保存先は次のとおりです。
Windows: C:\Users\<ユーザー>\AppData\Local\Google\Chrome\User Data\Default\History macOS: ~/Library/Application Support/Google/Chrome/Default/History
複数のChromeプロファイルを利用している場合は、「Default」だけでなく「Profile 1」「Profile 2」なども確認します。
証拠性を意識する場合は、HistoryだけでなくHistory-wal、History-shmが存在する場合はそれらもあわせて保全します。
SQLiteでurls・visitsテーブルを確認する
ChromeのHistoryはSQLiteデータベースであり、urlsテーブルとvisitsテーブルを結合することで、URL、ページタイトル、訪問日時などを抽出できます。
元のHistoryファイルを直接開くのではなく、コピーしたデータベースを対象に解析します。
ChromeのWebKit時刻は1601年1月1日を起点とするマイクロ秒形式のため、日時として確認する場合はUnix時刻へ変換する必要があります。
CSV形式で出力する
sqlite3を利用する場合は、次のようにCSV出力できます。
.headers on .mode csv .output chrome_history.csv SELECT urls.id, datetime(visits.visit_time / 1000000 - 11644473600, 'unixepoch', 'localtime') AS visit_time, urls.title, urls.url FROM visits LEFT JOIN urls ON visits.url = urls.id ORDER BY visits.id DESC;
このクエリでは、urlsとvisitsを結合し、訪問日時、ページタイトル、URLをCSVへ出力します。
- Chromeを完全終了します。
- 対象プロファイルのHistory関連ファイルをコピーします。
- コピーしたHistoryをSQLiteで開きます。
- urlsとvisitsを結合して必要な履歴を抽出します。
- 抽出結果をCSVとして保存します。
Chromeの閲覧履歴を証拠として扱う場合の注意点
退職者調査や社内不正、労務トラブルなどでChromeの閲覧履歴を使用する場合は、単にCSVを作るだけではなく、元データの状態や取得手順を説明できるようにする必要があります。
原本のHistory関連ファイルを保全する
証拠として扱う場合は、Chromeを停止した状態でHistory、History-wal、History-shmなどを保全します。
元ファイルを直接開いて解析するのではなく、コピー側を利用することで、原本の変更を避けやすくなります。
SHA-256などのハッシュ値を記録する
取得したファイルが後から変更されていないことを確認するために、原本や保全コピーのSHA-256などのハッシュ値を記録します。
社内調査や法的対応では、単に「このCSVを取得した」と説明するだけでなく、どの元データから作成したものか追跡できる状態にすることが重要です。
タイムゾーン・プロファイル・取得時刻を記録する
閲覧履歴の時刻を評価する場合は、端末や解析時のタイムゾーンを確認します。
また、Default、Profile 1など、どのChromeプロファイルから取得した履歴なのかも記録します。
Chrome Syncの利用状況、データ取得日時、解析に用いたファイルもケースノートへ残しておくと、後から調査手順を説明しやすくなります。
拡張機能のCSVだけで結論を出さない
履歴エクスポート拡張機能は簡単に利用できますが、取得時点でChromeから確認できる履歴を一覧化したものです。
削除済み履歴、データベース内部の残存情報、別プロファイルの情報などまで完全に網羅しているとは限りません。
そのため、「CSVに履歴がない」という理由だけで、そのWebサイトを閲覧していないと断定することは避けた方がよいでしょう。
社内調査で履歴を証拠として扱う場合は、技術的に取得できるかだけでなく、会社貸与端末の利用規程、就業規則、調査目的、閲覧範囲などにも配慮する必要があります。
Chromeの履歴が削除されている場合に確認できること
Chromeの履歴画面や拡張機能で目的の履歴が見つからない場合でも、それだけで「閲覧していない」とは判断できません。履歴削除や別プロファイルの利用など、複数の可能性があります。
別のChromeプロファイルを確認する
Chromeで複数のプロファイルを利用している場合は、Default以外に履歴が保存されている可能性があります。
Profile 1やProfile 2など別プロファイルが存在しないか確認します。
Googleアカウント側の履歴を確認する
Chrome SyncやGoogleのマイ アクティビティを利用している場合は、ローカルPCだけでなく、Googleアカウント側に関連する履歴が残っている可能性があります。
Google Takeoutを利用することで、アカウント側に保存されているデータを取得できる場合があります。
端末内の関連アーティファクトを確認する
削除履歴の復元や詳しい調査が必要な場合は、Historyデータベースだけでなく、ディスク上に残る関連データを確認する場合があります。
ただし、削除された履歴が必ず復元できるわけではありません。端末を使用し続けるほど、削除済み領域が上書きされる可能性があります。
他の操作ログと時系列を照合する
Chromeの閲覧履歴だけではなく、ファイル操作、ダウンロード、USB接続、クラウドアクセスなど他の記録と照らし合わせることで、行動を整理できる場合があります。
たとえば、特定サイトへのアクセスと同じ時間帯に大量のダウンロードやファイル操作が行われていれば、社内調査で重要な手がかりになることがあります。
削除された履歴や複数の操作記録を確認する必要がある場合に、元端末を使い続けたり履歴を追加で削除したりすると、証拠が上書きされる恐れがあります。詳しい確認が必要な場合は、端末の状態を保持して調査することが重要です。
Chromeの閲覧履歴をフォレンジック調査で確認する方法
Chromeの閲覧履歴を社内不正や退職者調査に利用する場合、履歴画面やCSVだけでは確認できる範囲に限界があります。そのような場合に利用されるのがフォレンジック調査です。
閲覧履歴を時系列で確認する
社内の操作履歴や削除されたWeb履歴を正確にたどるには、専門的な技術による客観的な調査が役立ちます。その手法として有効なのがフォレンジック調査です。
フォレンジック調査では、ChromeのHistoryデータベースなどを保全したうえで、URL、ページタイトル、訪問日時などを時系列で整理します。
単に閲覧履歴をCSVへ変換するだけでなく、元データを保持した状態で解析できる点が、簡易的なエクスポートとは異なります。
複数プロファイルや関連データを確認する
Chromeでは複数プロファイルを利用できるため、Defaultだけを確認すると履歴を見落とす可能性があります。
調査では、Profile 1やProfile 2なども含め、対象ユーザーが利用していたプロファイルを確認します。
削除された履歴の痕跡を確認する
ユーザーが閲覧履歴を削除している場合、通常のChrome履歴画面や拡張機能では表示されないことがあります。
フォレンジック調査では、Historyデータベースだけでなく、ディスクイメージや関連アーティファクトなどを確認し、削除済み履歴の痕跡が残っていないかを調査する場合があります。
ただし、削除された履歴を必ず復元できるわけではありません。上書き状況などによって確認できる範囲は異なります。
ファイル操作・USB・クラウド履歴と突合する
社内不正や情報持ち出しを確認する場合は、閲覧履歴だけで結論を出すのではなく、他の操作履歴と組み合わせます。
ChromeでクラウドストレージやWebメールへアクセスした時刻と、端末上のファイル操作、USB接続、ダウンロード履歴などを照らし合わせることで、行動の前後関係を整理できます。
特に退職者PCの調査では、どこまで確認するかを技術担当者だけで決めず、就業規則、情報セキュリティ規程、調査目的などを踏まえて、人事や法務と調査範囲を整理することが重要です。
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まとめ
Google Chromeには、閲覧履歴をCSVへ直接エクスポートする標準機能はありません。手軽に一覧化したい場合は履歴エクスポート用の拡張機能、Googleアカウント側へ保存された情報を取得したい場合はGoogle Takeout、ローカルPCに残る履歴を詳しく確認したい場合はHistoryデータベースを利用します。
フォレンジック用途では、Chromeを完全に終了したうえでHistory、History-wal、History-shmなどを保全し、原本ではなくコピー側を解析することが重要です。SHA-256などのハッシュ値、取得日時、タイムゾーン、対象プロファイルなども記録しておくと、調査手順を説明しやすくなります。
また、拡張機能で出力したCSVに履歴がないからといって、閲覧していないと断定することはできません。削除済み履歴や別プロファイル、Googleアカウント側の記録なども考慮する必要があります。社内不正や情報持ち出しの調査で証拠性が必要な場合は、閲覧履歴だけでなくファイル操作やUSB、クラウド利用などもあわせて確認することが重要です。




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