LINEやメール、SNS、Webサイトなどでトラブルが起きた際、相手の発言や投稿をスクリーンショットとして保存することがあります。脅迫、誹謗中傷、ハラスメント、金銭トラブルなどでは、こうした画像を裁判や警察相談の証拠として利用したいと考える方もいるでしょう。
日本の民事手続では、スクリーンショットだからという理由だけで証拠として提出できないわけではありません。ただし、画像は編集や加工が比較的容易なため、「誰が・いつ・どのサービスで表示した内容なのか」「後から改変されていないか」が争われることがあります。
そのため、問題となる部分だけを切り抜いて保存するのではなく、URL、アカウント名、日時、前後の会話なども含めて記録し、元となるメールやチャット、端末、ログなどを残しておくことが重要です。紛争が予想される場合は、証拠の取得経緯まで説明できる状態にしておく必要があります。
そこで本記事では、スクリーンショットが証拠としてどのように扱われるのか、証拠力を高める保存方法、避けたい加工・削除、元データやフォレンジック調査で真正性を補強する方法までを解説します。
スクリーンショットは裁判の証拠になるのか
スクリーンショットは、民事上の紛争で資料として提出することができます。ただし、「提出できること」と「その内容が事実として強く信用されること」は分けて考える必要があります。
スクリーンショットでも証拠として提出できる
LINE、メール、Slack、SNS、Webサイトなどを撮影したスクリーンショットは、民事手続で証拠資料として提出すること自体は可能です。
「スクリーンショットだから証拠にならない」と一律に扱われるわけではありません。問題となるのは、その画像が実際のやり取りや画面を正確に記録したものなのかという点です。
画像だけでは真正性を争われることがある
スクリーンショットは、画像編集ソフトによる加工や、ブラウザ表示の変更などが可能です。そのため、相手から「内容が編集されている」「実際の画面ではない」と主張される可能性があります。
特に、文章部分だけを切り抜いた画像では、どのサービス上のやり取りなのか、誰が発言したのかを確認しにくくなります。
誰の投稿・メッセージなのかを示す必要がある
スクリーンショットには、相手の表示名だけでなく、可能であればアカウントID、プロフィール情報、URLなどを含めます。
同じ表示名を複数人が使用できるサービスでは、表示名だけでは投稿者を十分に特定できない場合があります。
日時や前後関係も重要になる
問題となる発言だけではなく、その前後の会話や投稿も保存します。
一部分だけでは発言の意味が変わって見える可能性があるため、時系列が分かるよう連続して記録することが重要です。
他の証拠と一致すると信用性を補強しやすい
スクリーンショットと元のメール、チャット履歴、アクセスログ、送受信記録などが一致していれば、内容の信用性を説明しやすくなります。
スクリーンショットだけを残して元データを削除するのではなく、複数の証拠をセットで保存することが重要です。
「証拠能力」よりも「どこまで信用されるか」が重要
スクリーンショットについては、提出可能かどうかだけでなく、その内容を裁判所や第三者がどこまで信用できるかという証明力が重要になります。
画像単体ではなく、取得方法・元データ・他の記録まで含めて証明できる状態にしておくことが大切です。
スクリーンショットの証拠力を高める保存方法
スクリーンショットを証拠として利用する可能性がある場合は、問題となる部分だけでなく、表示環境や取得日時が分かる情報も残します。
画面全体を保存する
本文だけを切り抜くのではなく、可能な限り画面全体を記録します。
Webページであればアドレスバー、SNSであればサービス名やプロフィール、メッセージアプリであれば相手の名称など、表示元を判断できる情報を含めます。
URL・相手のID・日時を含める
Web上の投稿であればURLを記録し、SNSではアカウント名やIDも保存します。
日時表示がある場合は、それも画面内に含めてください。端末の時計が一緒に表示される状態を追加で撮影しておく方法もあります。
前後のやり取りを連続して保存する
LINEやDMなどでは、問題となる一文だけではなく、その前後のメッセージも保存します。
スクリーンショットを複数枚に分ける場合は、前の画像と次の画像で一部の会話が重なるよう撮影すると、連続性を確認しやすくなります。
加工していない原ファイルを残す
トリミング、モザイク、矢印、文字入れなどを行った画像だけを保存することは避けます。
説明用に加工した画像を作る場合でも、加工前のPNGなどの原ファイルを別に保管してください。
元のチャットやメールを削除しない
スクリーンショットを撮影した後も、元となるチャット、メール、投稿データは可能な限り残してください。
サービスにエクスポート機能やバックアップ機能がある場合は、利用規約や適法性を確認したうえで、元データも保存します。
取得日時・取得者・保存先を記録する
業務上の不正調査や紛争対応では、「いつ、誰が、どの端末から、どのような手順で取得したか」も記録します。
保存先や複製履歴を管理することで、証拠が途中で変更されていないことを説明しやすくなります。
- 問題となる画面を削除・ブロックする前に開きます。
- URL、相手のID、日時が分かる状態で画面全体を保存します。
- 前後のやり取りも連続して保存します。
- 加工していない原画像を別媒体へ複製します。
- 取得日時、取得者、端末、保存先をメモします。
相手が投稿やメッセージを削除する可能性がある場合は、できるだけ早く保存してください。保存後も元データを残し、原画像と加工画像を明確に分けて管理することが重要です。
スクリーンショットだけでは弱くなりやすいケース
スクリーンショットは便利ですが、保存方法によっては相手から内容や取得経緯を争われやすくなります。
文章だけを切り抜いている
文章部分だけを切り抜くと、どのサービスに表示された内容なのか確認しにくくなります。
アカウント名やURLなどを含む全体画像も保管してください。
日時や相手のアカウントが分からない
内容が事実であっても、誰がいつ投稿したのかを示せなければ、争点との関係を説明しにくくなります。
相手のID、投稿日時、送受信日時などをできる限り一緒に残してください。
加工済み画像しか残っていない
見やすくするためのトリミングや色補正であっても、元画像がなければ「どこまで編集したのか」が問題になる可能性があります。
原本相当のファイルは変更せず保存します。
元データが削除されている
スクリーンショットを保存した後に元メールやチャットを削除すると、画像内容と元データを照合できなくなります。
削除せずに保持し、必要に応じてエクスポートやバックアップも検討します。
前後の文脈が保存されていない
発言の一部だけでは、その意味や状況が正しく伝わらない場合があります。
何に対する返信なのか、どのような会話の流れだったのかが分かる範囲まで保存してください。
スクリーンショットの真正性を補強する証拠
画像単体の信用性に争いが生じる可能性がある場合は、独立した別の記録と組み合わせて真正性を補強します。
元のメール・チャットデータ
LINEやSlack、メールなどの元データが残っていれば、スクリーンショットの内容と照合できます。
サービスから正規に出力できるデータがある場合は、スクリーンショットとともに保管するとよいでしょう。
メールヘッダーや送受信記録
メールの場合は、本文だけでなくヘッダー情報も保存します。
送信日時、送信経路、送信元などを確認する材料になり、画像だけの場合より客観的な情報を補強できます。
アプリ・ブラウザの履歴
ブラウザ履歴やアプリの利用記録が残っていれば、問題のWebページやサービスへ実際にアクセスしていたことを確認する手がかりになります。
クラウドやサービス側の監査ログ
業務用のSlack、Microsoft 365、Google Workspaceなどでは、契約内容や設定によって監査ログを取得できる場合があります。
送信、編集、削除、ログインなどの履歴とスクリーンショットを照合できれば、証拠を補強しやすくなります。
原本端末に残るデータ
実際にメッセージや投稿を表示したスマートフォンやパソコンそのものも重要です。
端末を初期化したり、アプリを削除したりすると元データや履歴が失われる可能性があります。争いが予想される場合は、状態を変更する前に保全を検討してください。
画像の作成日時やメタデータだけで本物とは証明できない
スクリーンショットファイルの作成日時やメタデータは参考情報になりますが、それだけで内容の真正性を完全に証明できるわけではありません。
ファイルの日時情報自体が変更される可能性があるほか、偽の画面を作成して撮影することも技術的には可能だからです。
そのため、原本端末、元データ、通信・サービスログなど独立した証拠との整合性が重要になります。
WebサイトやSNS投稿を証拠として残す方法
Web上の情報は投稿者側で削除・変更される可能性があります。スクリーンショットだけでなく、複数の方法で現状を記録します。
URLを含めて画面を保存する
ブラウザのアドレスバーを含めて撮影し、URLも文字として別途保存します。
SNSの場合は投稿固有のURLが取得できる場合があるため、それも記録してください。
ページ全体をPDFでも保存する
ブラウザの印刷機能などを利用して、ページをPDFとして保存する方法もあります。
スクリーンショットとPDFを併用することで、表示されたページ全体を残しやすくなります。
画面録画でページの遷移を残す
プロフィール画面から問題となる投稿まで移動する様子などを画面録画しておくと、アカウントと投稿のつながりを説明しやすくなる場合があります。
ただし、録画だけに頼らず、静止画やURLも併せて保存してください。
投稿者のプロフィール情報も保存する
投稿本文だけでなく、ユーザー名、アカウントID、プロフィールページなども保存します。
後から表示名やプロフィール画像が変更される可能性があるためです。
削除される可能性があれば早めに専門家へ相談する
相手が証拠を削除する可能性が高い場合や、裁判を具体的に予定している場合は、弁護士へ早めに相談することが重要です。
必要な証拠や適切な保全方法は事案によって異なるため、自己判断だけで相手のアカウントなどへ無断アクセスすることは避けてください。
スクリーンショットを証拠保存する際にやってはいけないこと
証拠を強くしたいからといって、元データへ不用意な変更を加えると、かえって真正性を説明しにくくなることがあります。
原画像を直接加工する
文字を強調したい場合でも、原画像へ直接書き込まず、コピーした画像を説明用として加工します。
元のメッセージやメールを削除する
不快だからという理由ですぐに削除すると、元データとの照合ができなくなる可能性があります。
必要な証拠を確保した後に、ブロックやその他の安全確保を進めてください。
端末を初期化する
スマートフォンやPCの初期化によって、メッセージ、アプリデータ、ブラウザ履歴などが失われる場合があります。
法的対応を予定している場合は、保全方法を確認してから操作してください。
相手のアカウントへ無断でログインする
証拠を集める目的であっても、相手のアカウントや端末へ権限なくアクセスすることは避ける必要があります。
リーガル案件では、証拠収集の方法自体の適法性にも注意してください。
取得経緯を記録せず画像だけ保管する
後から「この画像をどの端末から、いつ取得したのか」と聞かれたときに説明できるよう、取得経緯をメモしておきます。
スクリーンショットの真正性を詳しく確認したい場合はフォレンジック調査会社に相談する
スクリーンショットしか手元にない場合や、相手から「画像は改ざんされている」と主張される可能性がある場合は、元端末や関連データを確認する必要があります。
フォレンジック調査では、スマートフォンやパソコンに残るチャット、メール、ブラウザ履歴、ファイル情報、アプリデータなどを解析し、スクリーンショットと元データの整合性や取得時の状態を確認できる場合があります。
また、証拠として利用する予定の端末を初期化したり、メッセージやアプリを削除したりすると、真正性を補強する重要なデータが失われるおそれがあります。法的手続きを検討している場合は、調査権限や適法性を確認したうえで、早めに弁護士や専門調査会社へ相談することが重要です。
スクリーンショットの証拠保全をフォレンジック調査で行う方法
重要な紛争では、画像そのものだけでなく、画像が取得された端末や元データを含めて保全することで、証拠の取得経緯を整理しやすくなります。
原本端末を保全する
スクリーンショットを取得したスマートフォンやPCを保全し、必要なデータが失われないようにします。
チャット・メールなどの元データを確認する
画像に写っているメッセージと端末内の元データを照合し、内容が一致しているかを確認します。
関連する時刻やファイル情報を確認する
スクリーンショットファイルの作成情報などを確認します。ただし、ファイル時刻だけを真正性の根拠にはせず、他のデータと組み合わせて判断します。
他のログや記録との整合性を確認する
メールヘッダー、ブラウザ履歴、クラウドログ、送受信履歴などが取得できる場合は、スクリーンショットとの整合性を確認します。
取得・保管の経緯を記録する
調査対象をいつ、誰が取得し、どのように保管したのかを記録します。
業務上の不正調査や訴訟を見据えた案件では、証拠の受け渡しや保管状況を継続して記録することが重要になります。
おすすめのフォレンジック調査会社
公式サイトデジタルデータフォレンジック
編集部が厳選したおすすめのフォレンジック調査会社は、デジタルデータフォレンジックです。
デジタルデータフォレンジックは、累計4万7千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も409件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。
24時間365日の相談窓口があり、緊急時でも安心です。相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。
まとめ
スクリーンショットは、民事手続で証拠資料として提出することができます。ただし、スクリーンショットだから自動的に内容が事実と認められるわけではなく、誰がいつ取得したのか、改変されていないか、元データと一致するかといった点が重要になります。
証拠力を高めるには、問題箇所だけを切り抜かず、URL、アカウント名、日時、前後のやり取りを含めて保存してください。加工前の原画像、元のメールやチャット、ブラウザ履歴なども削除せずに残します。
相手から改ざんを主張される可能性がある場合や、訴訟・社内不正調査などで真正性を詳しく確認する必要がある場合は、元端末や関連ログを保全し、必要に応じて弁護士と連携しながらフォレンジック調査を検討することが重要です。




![中小企業の情報瀬キィリティ相談窓口[30分無料]](/wp-content/uploads/2023/07/bnr_footer04.png)



