2025年施行の「スマホソフトウェア競争促進法」は、スマートフォンのOSやアプリストア、ブラウザ、検索エンジンなどの“初期設定の固定”を見直し、ユーザーが自由にソフトウェアを選択できる環境を制度として整備する法律です。
これにより、スマホの利便性や選択肢は大きく広がる一方で、これまでプラットフォームが担っていたセキュリティやプライバシー保護の一部が、ユーザーや企業自身の責任に移っていくという側面もあります。
本記事では、スマホソフトウェア競争促進法の概要と、それによって生じるセキュリティ課題、そして企業・自治体・一般ユーザーが取るべき実務的な対策について、実例を交えてわかりやすく解説します。
目次
スマホソフトウェア競争促進法とは何か
2024年に成立した「スマホソフトウェア競争促進法」は、スマートフォン市場における大手プラットフォームの支配的地位を是正し、ユーザーやアプリ開発者に対してより自由で公平な選択環境を整備することを目的としています。
これまでは、OSやアプリストア、ブラウザ、検索エンジンといった基幹ソフトウェアが、AppleやGoogleによって事実上独占されており、ユーザーが他の選択肢にアクセスすることは制限されてきました。
この法律では、「開かれたモバイル環境」の実現を目指し、プラットフォーム事業者による囲い込みを禁止し、ユーザーが自由にソフトウェアを選べる制度的土台を構築します。
スマホ新法の対象となるソフトウェア領域の整理
具体的に規制対象となるのは、以下のような「特定ソフトウェア」と呼ばれる領域です。
- スマートフォンのOS
- アプリストア
- ブラウザ
- 検索エンジン
これらについて、指定事業者に該当したプラットフォームは、外部アプリストアの導入やデフォルト設定の変更などを妨げてはならない義務を負うようになります。
出典:公正取引委員会
ユーザーが直面する新たなスマホのセキュリティリスク
スマホソフトウェア競争促進法の施行により、ユーザーはOS・アプリストア・ブラウザ・検索エンジンなどを自由に選択できるようになります。選択肢が広がることで利便性は向上しますが、同時にこれまで大手プラットフォームが担ってきたセキュリティ機構の一部が緩和されることで、新たなリスクも顕在化します。
サイドローディング拡大によるマルウェアリスク
外部アプリストアやWebサイト経由でアプリを直接インストールする「サイドローディング」の拡大により、正規の審査を経ていないアプリが流通するリスクが高まります。これらのアプリには、マルウェア(悪意あるプログラム)やスパイウェア、フィッシングアプリが含まれる可能性があり、ユーザーが意図しない形で個人情報や位置情報、金融情報などを不正に取得される恐れがあります。
実際にAndroidでは、Google Play以外から入手したアプリが原因でマルウェアに感染するケースが数多く報告されており、今後はiOSでも同様の懸念が指摘されています。
権限要求やトラッキングによるプライバシー侵害
自由化により流通するアプリの中には、過剰な権限を求めるものが存在します。例えば、カメラ、マイク、位置情報、連絡先、ストレージへのアクセスなどを広範囲に要求するアプリは、ユーザーの行動履歴やライフスタイルを常時記録し、収集したデータを外部に送信する可能性があります。
特に広告ネットワークと連携したアプリでは、ユーザーの同意なくプロファイリングやリターゲティング広告に利用されるケースもあり、プライバシー侵害の懸念が一層高まっています。
誤設定による攻撃面の拡大
設定画面の自由度が上がることで、ユーザーが本来であれば変更すべきでない項目まで操作可能になります。セキュリティの専門知識がないユーザーが、例えばアプリのインストール元制限を解除したり、信頼性の低いアプリへのアクセスを許可したりすることで、攻撃者にとっての侵入口が増えることになります。
このような誤設定は、ゼロデイ脆弱性やマルウェアによる攻撃を受けやすくする要因となり、特に企業が業務用端末でこれを許容してしまうと、組織全体の情報漏えいや不正アクセスリスクに直結します。
インシデント時にスマホのフォレンジック調査
セキュリティインシデントが発生した際、多くの企業や個人が「端末を初期化すればよい」と考えがちですが、それでは原因の特定や証拠の保全ができず、再発防止にもつながりません。
重要なのは、「何が・いつ・どのように起きたのか」を客観的に可視化し、再発防止策と対応方針に活用することです。そのための技術として注目されているのがスマホのフォレンジック調査です。
スマホのフォレンジック調査とは
スマホフォレンジックとは、スマートフォンに保存された内部データや一時ファイル、アプリの動作ログなどを専門技術で解析し、不正アクセスの痕跡、マルウェアの活動履歴、削除された情報の復元などを行う調査手法です。
企業の内部不正対応、従業員の行動監査、訴訟対応、ハラスメントや犯罪捜査などでも活用されています。
フォレンジック調査で取得可能なデータとログの一例
- 通信履歴(Wi-Fi接続、モバイルデータ通信)
- アプリのインストール・アンインストール履歴
- GPS位置情報・移動履歴
- カメラ・マイクの使用記録
- ファイルアクセス・改ざんの痕跡
- 不審なファイルの生成・削除履歴
- メッセージアプリやメールの送受信記録
- デバイスに残されたマルウェアの痕跡
これらの情報をもとに、インシデントの原因、影響範囲、関係者の特定、必要な再発防止策を明確にすることが可能です。
企業であれば、あらかじめ外部専門業者との連携体制を整備し、端末の保全・ログ取得のルールを策定しておくことがリスク対応力の鍵となります。
スマホのフォレンジック調査に対応できるおすすめの専門業者
おすすめのフォレンジック調査会社として「デジタルデータフォレンジック」を紹介します。
不正アクセスやハッキング、情報漏えいを調査するフォレンジック調査には、非常に高度な技術や専門知識が要求されます。自社で調査を行うことが難しい場合は、フォレンジックの専門業者へ相談してみるのも一つの手といえるでしょう。自社で行うよりも適切かつ正確な調査を行えます。
デジタルデータフォレンジック

公式サイトデジタルデータフォレンジック
デジタルデータフォレンジックは、累計3万9千件以上の豊富な相談実績を持ち、全国各地の警察・捜査機関からの相談実績も395件以上ある国内有数のフォレンジック調査サービスです。
一般的なフォレンジック調査会社と比較して対応範囲が幅広く、法人のサイバー攻撃被害調査や社内不正調査に加えて、個人のハッキング調査・パスワード解析まで受け付けています。24時間365日の相談窓口があり、最短30分で無料のWeb打合せ可能とスピーディーに対応してくれるので、緊急時でも安心です。
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相談から見積りまで無料で対応してくれるので、フォレンジック調査の依頼が初めてという方もまずは気軽に相談してみることをおすすめします。
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企業・個人が取るべき実務的な対策
企業・自治体に求められるスマホ運用ポリシーの見直し
法人や自治体では、MDM(モバイルデバイス管理)やMAM(モバイルアプリ管理)による端末・アプリの制御と監視を強化することが、今後ますます重要になります。
特に、外部アプリストアの利用やサイドローディングを許可する場合は、以下のような管理項目が必須です。
- 導入アプリの信頼性確認(配布元、証明書など)
- 設定ポリシーの強制適用(端末設定・セキュリティレベル)
- 利用状況の定期的モニタリングとログの取得・保全
ユーザーに求められる日常的なセキュリティチェック
今後は、スマートフォンの安全性を守るうえで、ユーザー自身が以下の点を常に意識して管理することが求められます。
- アプリのインストール元(信頼できるストアか)
- アプリに与える権限(位置情報・マイク・カメラなど)
- OSやアプリのアップデート状況(最新のセキュリティパッチが適用されているか)
スマホ新法はユーザーに「選択の自由」を与える一方で、その選択に伴うリスク管理の責任もユーザー自身に委ねる仕組みです。
使い方の自由と守り方の意識は表裏一体であるという認識が必要です。
法制度と現場運用のギャップを埋めるには
スマホソフトウェア競争促進法が描くのは「理想的な自由市場」ですが、現場では以下のような運用上のギャップが残されています。
- ユーザーが設定を誤ったまま端末を使い続ける
- 外部ストアやアプリの制御がMDMでも完全には対応できない
- インシデント時の初動ルールが整備されていない
このようなギャップを埋めるためには、法務部門、情報システム部門、セキュリティ担当が部門横断的に連携し、以下を一体で整備することが求められます。
- 制度:利用規程、アプリ利用制限の明文化
- 技術:端末制御、ログ取得、リスク検知体制
- 教育:従業員向けのセキュリティリテラシー教育
法制度だけでは守れないリスクを、運用の現場で“実行可能なルール”として落とし込むことが、スマホ自由化時代の実務対策の要です。


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