現在、ほとんどの人が何らかのデバイスを利用しています。パソコンやスマートフォンをはじめ、USBメモリやレコーダー、サーバなどを複数使用している人も多いでしょう。
しかし、これらの機器は消耗品であり、平均寿命は短いもので2~3年、どれだけ長くても10年程度しかありません。ある日突然故障したり、誤ってデータを削除してしまった等のトラブルは決して珍しくないのです。
この記事では、パソコン、HDD、SDカード、スマホなどのデータを復元する手順や、自分で対処できない場合の代替案を紹介します。
▶まずデータ復旧の専門業者に相談したい方は以下記事を参考にしてください。
データが保存される仕組み
お手持ちの機器の種類によって、データが保存される仕組みは異なります。データが保存される仕組みには、電磁的なものと電子的なものが二つあります
電磁的なもの
電磁的にデータを読み書きする記憶装置としては、ハードディスク(HDD)が代表的です。
HDDには、データを記録するため「プラッタ」(ディスク面)と、データを書き込むための「磁気ヘッド」が存在します。書き込まれるデータは、すべて「0」と「1」の数字で構成されており、保存される画像・動画などは、すべて「0」と「1」の集合体となっています。
データ自体は、ディスク上のばらばらな位置に書き込まれます。ただし、データは、OS上のファイルシステム(=データの本棚)によって管理されているため、容易なアクセスが可能です。
データを削除すると、ファイルシステムが「データは削除済」と判断することで、画面上からはデータが見えなくなります。しかしながら、削除データは一定期間、プラッタに残っています。
データ復元サービスでは、いったん消えたデータの残骸を、特殊なシステムを用いて再構成することで、オリジナルに近い形でのデータ復元を可能としています。ただし、完全に消滅した(上書きした)データは、復元できないため、できるかぎり削除後の操作や上書きは控えましょう。
電子的なもの
電子的にデータを読み書きする記憶装置としては、SDカード・USBメモリ・SSDが該当します。
これらのメディアには、NAND型フラッシュメモリが搭載されており、内部には「セル」と呼ばれる部屋があります。ここに電子が出入りすることで、データが保存・削除されます。なお、電子の移動は、メモリチップ内の3層間(絶縁膜~浮遊ゲート~トンネル酸化膜)で行われますが、データの読み書きをおよそ数千~1万回行うとセルは劣化し、電子は自然に抜けてしまいます。
フラッシュメモリは、HDDと構造上の違いから、既存の復元ソフトや、技術力の乏しい復旧業者ではカバーしきれないことが多く、そもそも復元難易度が高いため、個人で対処することは極めて困難です。フラッシュメモリを搭載したSSDの故障原因やデータ復元方法は、次の記事で紹介しています。
データ復元が必要となる障害
論理障害(ソフトウェア障害)
「論理障害」とは、データや、データを管理するファイルシステムに発生した障害のことです。
主な原因は次の2つです。
- データの誤削除・誤フォーマット
- データ読み書き中の強制シャットダウン
論理障害の症例
- フォーマットの要求
- OSが起動しない・頻繁にフリーズする
- 勝手にファイル名が書き変わる
- ブルースクリーンが表示される
- ファイルやフォルダが開けない
論理障害は、データやフォルダ構成などに不具合が生じている状態です。とくに、データを誤って削除してしまったあと、ファイルのコピーを行ったり、復元ソフトをかけたりすると、データが上書きされ、データの復元率が著しく低下してしまいます。このような場合は、すみやかに電源を切って、より確実にデータの復旧が行える専門業者まで、問い合わせることをおすすめします。
物理障害(ハードウェア障害)
「物理障害」とは、データを保存するストレージが物理的に損傷することで発生する障害です。
主な原因は、落下・水没・落雷によるショートなど、物理的現象が多い一方、「経年劣化」「初期不良」など身に覚えのない原因も存在しています。
物理障害の症例
- カチカチ、カタカタと異音がする
- 焦げ臭いにおいがする
- フォーマットが促される
- BIOSがハードディスクを認識しない
- OSが起動しない
- 頻繁に再起動・フリーズする
- 黒い画面に「Operating System Not Found」「DISK BOOT FAILURE…」「NTLDR is missing」などのエラーメッセージが出る
物理障害の場合、個人で対応することはきわめて難しいとされています。たとえば、HDDの物理障害からデータ復旧を行うには、次の対応が最低限必要になります。
- 機器を適切に解体する
- 適合する部品を製造年やメーカーごとに収集する
- 手術室レベルに清浄な空間(クリーンルーム)で作業する
これらは個人で可能なレベルを超えています。そのため、データ復旧作業を行う際は、専門業者への依頼が必要となります。また症状に関しても「フォーマットが促される」「ブルースクリーンが表示される」など、論理障害と判別が難しい場合もあります。障害の判別がつかない場合は、専門業者の初期診断で、正確な診断を受けましょう。
おすすめのデータ復旧業者に関しては、下記のページで詳しく解説しています。
筐体不良
筐体不良とは、記憶装置を収めた外装部分の故障です。
電源周り・ディスプレイ・CPUが不具合を起こすと、デバイス自体が正常に起動せず、データにアクセスすることも出来なくなります。ただし、筐体不良はデータ領域とは関係ないトラブルのため、適切に部品を交換・修理することで、元どおりにデータを使用することができます。
データ復元時の注意点
メディアが故障した場合は、以下の点に注意し、データ復旧専門業者へ相談しましょう。
- 極力開封や解体はしない
- 通電を避ける
- フォーマットをしない
極力開封や解体はしない
記憶メディアは超精密機器であり、非常にデリケートなため、内部へのホコリや塵、指紋の付着でさえ、データを取り出せる可能性が著しく低下します。
実際に復旧を行うために開封する場合であっても、クリーンルームと呼ばれる専用の設備や高度な技術力が必要となります。ですので、個人での開封は控え、必要と感じる場合には専門業者へ相談しましょう。
通電を避ける
記憶メディアに何らかの障害が発生している場合、症状の種類に関わらず通電はできるだけ避けましょう。データの上書きが発生し、復旧の難易度が上がってしまいます。
メディアに物理的な障害が発生している場合は、通電したり、データ復旧ソフトをかけたりするだけで、症状の悪化に繋がります。データ復元を考えている場合は、極力通電を避けましょう。
フォーマットをしない
メディアに障害が発生した場合、「フォーマットしますか?」というエラーメッセージが表示される場合があります。エラーメッセージに従いフォーマットすると、機器が使えるようになることがありますが、保存されているデータには、アクセスすることができなくなってしまいます。
必要なデータが1つでも保存されている場合、フォーマットは行わないでください。万が一、フォーマットしてしまったという場合は、以下の記事も参考にしてください。
機器別のデータ復元手順
Windows PC
バックアップ機能から復元する
Windowsには、バックアップ機能が搭載されています。もしデータを上書き・削除した場合は、バックアップ機能から復元することができます。ただし、バックアップ機能を使うには、あらかじめ、外付けHDDにバックアップデータを保存している必要があります。
ファイル履歴を利用する
Windows 10以上の場合、ファイル履歴からデータ復元できます。ファイル履歴は、自動的にファイルをバックアップしてくれる機能で、一定時間ごとに行われます。そのため、「ファイルのバックアップを自動的に実行する」を「オン」にしている場合、データを復元することが可能です。
ファイル履歴を行う手順を説明します。
手順1:「スタート」から、「Windowsシステムツール」を選択し、その中にある「コントロールパネル」をクリック。
手順2:「ファイル履歴」をクリック。
手順3:「ドライブの選択」をクリック。
手順4:利用できるドライブを選択し、「オンにする」をクリック。
手順5:「コントロールパネルホーム」から「個人用ファイルの復元」をクリックし、復元したいファイル、またはフォルダを選択して「復元」→「ファイルを置き換える」をクリックする。
チェックディスク(自動修復)をおこなう
チェックディスク(chkdsk)とは、ファイルシステムのエラーを修復する機能です。ファイルシステムとは、どこに、どのようなデータがあるのかを管理する、本棚のような仕組みのことです。
しかし、強制終了などが原因で、ファイルシステムの整合性が乱れると、データにアクセスが出来なくなることがあります。ただし、データそのものは破損していないことが多く、チェックディスク後、データにアクセスできるようになります。
ただし、チェックディスクは、システム上のエラーしか対応できず、データ削除・経年劣化・物理障害には対応できません。このような状態でチェックディスクすると、デバイスが完全に破損する恐れがあります。「異音がする」などの状態で、データを復元したい場合は、修復ツールやデータ復元ソフトを使用せず、データ復元サービスに対応を依頼しましょう。
チェックディスクの実行方法は次のとおりです。
手順1:PCアイコンから対象となるHDDを選択し、プロパディを開きます
手順2:タブからツールを選択し、エラーチェックから「チェック」を選択します
Mac OS
Macの場合、削除したデータの復元方法として「Time Machine」を利用する手段があります。ここではTime Machineによる復元方法を2つ紹介します。
Time Machineでファイルすべてを復元する
手順1:「アプリケーション」フォルダ→「ユーティリティ」→移行アシスタントのアイコンを選択
手順2:選択肢から「Mac、Time Machine バックアップ、または起動ディスクから」を選択し、「続ける」をクリック
手順3:Time Machine バックアップを選択し「続ける」をクリック
手順4:リストからバックアップを選択して「続ける」をクリック
手順5:転送する情報を選択し、「続ける」をクリックする
TimeMachineでシステム全体を復元する方法
手順1:Mac の電源を入れた直後に「command + R」キーを押し、「macOS 復元」モードを起動
手順2:macOS ユーティリティのウインドウで「Time Machine バックアップから復元」を選択
手順3:「Time Machine バックアップディスク」を選択
手順4:バックアップ対象のデータを選択後、「続ける」を押す
手順5:復元先のディスクを選び、「復元」を押す
外付けHDD/SSD
外付けHDD/SSDの修復・データ復元には、前述した「チェックディスク」「データ復元ソフト」そして「データ復元の専門業者」を利用するのが有効です。ただし、障害の判別がつかない場合や「異音」など物理障害が疑われる場合は、専門業者に相談しましょう。
また復元ソフトは、削除データの復元に有効ですが、専門業者と比較すると、データの復元率は低く、一部が欠損した不完全な画像しか取り出せないことも多いため、修復・復元ツールの使用には気をつけましょう。
データ復元ソフト・HDD復元ソフトを使用する上でのメリット・デメリットについては、次の記事で詳しく解説しています。
スマートフォン
スマートフォンのデータを、クラウドや外付けストレージにバックアップしていた場合、バックアップ時点のデータを復元することができます。スマホが故障してしまった場合、データを取り出す方法は、下記の記事でも詳しく解説しています。
iPhoneのケース
iCloud(クラウドストレージ)に画像や動画類をバックアップしていた場合は、そこからデータを復元できます。またiPhoneの機種交換時にバックアップデータをやiTunesでとっていた場合は、その時点のデータを復元することが出来ます。ただし、完全に削除したデータは復元できません。
Androidのケース
Androidでは、データ類が自動的にGoogleフォト(クラウドストレージ)にバックアップされます。しかし、クラウドストレージの容量がいっぱいだと、データは内蔵SDカードのみに保存されますが、SDカードに障害が起こり、データが取り出せない場合は、専門業者まで対応を依頼しましょう。
サーバ・NAS(RAID構成含む)
RAID構成しているサーバ・NASは、一部のHDDが破損したとしても、他のHDDと交換し、再構築(リビルド)することで対処できます。しかし、リビルド中に、他のHDDも破損してしまうトラブルが発生することが少なくありません。最悪の場合、RAID構成が崩壊してしまうこともあります。また、リビルド時に操作を誤り、RAIDレベルを違うレベルに変更してしまったり、HDDを初期化してしまったり、ということもあります。
また、地震でサーバ・NAS全体が物理障害、もしくは論理障害を起こした場合は、リビルドでは解決できません。この際、サーバーからHDDを単体で取り外し、PCに接続しても内容は確認できず、状態を悪化させる恐れもあります(さらにフォーマット要求に従うと、すべてのデータにアクセスできなくなります)。
サーバ・NASからのデータ復元時は、自己判断せずデータ復元業者に相談したほうが良いでしょう。NAS・サーバーの故障・障害事例については、次の記事で詳しく解説しています。
レコーダー
レコーダーの表示窓にエラーコードが表示されたり、エラーランプが点灯している場合は、何らかの不具合が発生しています。また機種によってコード表示が異なることもあるため、まずはレコーダーの取扱説明書を参照し、コードやランプの意味を確認しておきましょう。
上記の確認事項を試してもエラーが改善しない場合、一時的な不具合ではなく、レコーダー本体が故障している可能性が考えられます。
なお、データ復元の専門業者でも、レコーダーには対応していないところが多いため、専門業者に依頼される際は、レコーダーの復元実績がある専門業者に依頼する必要があります。レコーダーの故障・障害事例や、正しくデータを救出するポイントについては、次の記事で詳しく解説しています。
USBメモリ・SDカード
USBメモリ・SDカードのデータ復元は、HDDよりも難易度が高く、データ復元ソフトでも不完全なデータしか抽出できないことがほとんどです。最適な処置をするには、一定レベル以上の知識やリテラシーが必要であり、適切でない処置をしてしまうことで障害を悪化させ、更に復元率を低下させてしまう危険性があります。
データを間違って消したり、上書きしたりした場合、機器の使用を中止してください。それ以上、操作を行うと上書きが発生し、復旧の可能性は低下してしまいます。適切にデータ復元を行うには、いち早く専門家へ相談することをおすすめします。
USB メモリのデータ復元方法の詳細は、下記の記事で詳しく解説しています。
上記でデータが復元できない場合の対処法
個人でのデータ復旧が難しい、不安だという方は、データ復旧専門業者まで相談しましょう。データ復元の専門業者では、機器やデータが破損し、取り出せなくなったデータを、特殊技術を活用し、デバイスを問わず復元することが出来ます。ただし、機器が使える状態で戻ってこない場合があるため注意してください。
なお、データ復元は、一度作業に失敗してしまうと、その後の別の業者に依頼しても、作業難易度が無意味に上がってしまいます。また、データ復元と修理業者では、料金体系や、得られる結果も全く異なってくるため、「メーカー保証で無料だった」「安価だった」「家に近かった」という理由で業者を選定することは控えましょう。
データ復元の専門業者には、無料で相談から見積もりの提示まで可能な業者も存在します。まずはそのような専門業者に問い合わせてみることを検討してください。
おすすめデータ復旧専門業者
データ復旧専門業者に依頼するのであれば、データが復旧ができなければ意味がありません。そこで「復旧率」の高いおすすめのデータ復旧専門業者を選定しました。
デジタルデータリカバリー
公式HPデジタルデータリカバリー
デジタルデータリカバリーは、データ復旧国内売り上げNo.1のデータ復旧専門業者です。復旧率最高値は95.2%と非常に高い技術力を有しています。依頼の8割を48時間以内に復旧と復旧のスピードも優れています。また、官公庁や大手企業を含む累積41万件以上の相談実績があります。
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復旧費用 | 相談から見積もりまで無料 500GB未満:5,000円〜 500GB以上:10,000円〜 1TB以上:20,000円〜 2TB以上:30,000円〜 |
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対応製品 | RAID機器(NAS/サーバー)、パソコン(ノート/デスクトップ)、外付けHDD、SSD、USBメモリ、ビデオカメラ、SDカード・レコーダー等記憶媒体全般 |
復旧期間 | 最短当日に復旧完了(本社へ持ち込む場合) 約80%が48時間以内に復旧完了 |
特長 | 14年連続データ復旧国内売上No.1 復旧率最高値95.2%の非常に高い技術力 官公庁や大手企業を含む累積41万件以上の相談実績 相談・診断・見積り無料(デジタルデータリカバリーへの配送料も無料) |
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まとめ
今回は、記憶メディアが故障してしまった際の修復方法・データ復元方法について機器別に解説しました。メディアが故障した際の対処法は、故障の原因によって異なります。それぞれの原因に対して適切な対処方法を行うことが確実・安全なデータ復旧に繋がります。
原因を個人で特定することが難しい場合や復旧したいデータの重要度が高い場合はデータ復旧の専門業者に相談してみてください。