不良セクタ(バッドセクタ)とは、ハードディスク(HDD)で、正常な読み書きが出来なくなったセクタ(=HDDにおけるデータの最小単位)のことで、局所的な「物理障害」(機器の物理的な故障)の一種です。
この不良セクタの発生している領域が拡大すると、読み込みエラーやフリーズ等のトラブルが頻発しやすく、更に修復困難な「重度物理障害」を誘発する恐れもあり、最終的に機器は完全な動作不能状態に陥ります。
そこで今回は、不良セクタの原因や機器の修復・復旧方法、おすすめ業者の選び方について詳しく説明していきます。
目次
不良セクタ(バッドセクタ)とは?
不良セクタとは、データを正常に読み出すことができないセクタの事です。
不良セクタには主に3つの種類が存在し、論理的な不良セクタと物理的な不良セクタがあります。
論理的な不良セクタ
論理的な不良セクタには、ファイルシステム上の不良セクタとファームウェア上の不良セクタがあります。
物理的な不良セクタ
物理的な不良セクタは、HDDのデータ記録面(プラッタ)上にある物理的な不良セクタであり、物理的に読み出しができないセクタです。
不良セクタ(バッドセクタ)の発生原因
不良セクタは、基本的にHDDのプラッタに塗布されている磁性体が劣化、もしくは剥離することで発生します。
ここでは不良セクタが発生する主要因を以下に3つご紹介いたします。
HDD(ハードディスク)の初期不良
不良セクタは工場出荷時から必ず存在しており、現在のHDD製造技術では不良セクタを0にすることは出来ません。
ただ、出荷時の不良セクタは読み書き時のスキップ処理で原則回避可能であり、一般的な初期不良と違って、直ちにトラブルに結びつくわけではありません。
HDD(ハードディスク)のヘッド破損・スクラッチ
経年劣化・熱・磨耗・衝撃が原因でHDDのデータの読み書き部分(磁気ヘッド)が破損すると、読み書き時に「プラッタ」と呼ばれるデータ記録面と接触しやすくなり、最悪の場合「スクラッチ」と呼ばれる傷を付けてしまいます。
このプラッタに付いた傷は、全て読み込めない「不良セクタ」となるため、原則この部分からデータを読み込むことは出来ません。
またヘッド破損によって発生する不良セクタは広範囲に及ぶことが多いため、HDDのデータ障害では最も修復が難しい「重度物理障害」に区分されています。
磁性体の劣化(HDDの寿命)
HDDのデータ記録面に塗布された磁性体は、経年劣化で徐々に磁性が低下していき、いずれ不良セクタとして読み込めなくなります。
通常、HDDは不良セクタが発生しても、予備のセクタを使って読み書きの代替処理を行ったり、不良セクタのスキップ処理を行うことで正常な動作を維持します。
しかし、この予備領域やスキップ処理にも許容量があり、これを超えてしまうとHDDの処理動作が遅くなったり、ヘッドが不良セクタを読み込もうとデータ記録面に接触して「ヘッド破損」「スクラッチ」を誘発したり、さまざまな動作不良とデータ障害を起こした末、HDDは寿命を迎えて完全に動作しなくなります。
不良セクタ(バッドセクタ)が原因で発生するトラブル
不良セクタが原因で発生するハードディスク(HDD)のトラブルは主に以下の通りです。
- Windowsの起動に失敗する、もしくは起動に時間がかかりすぎる
- フリーズなどの動作不良が頻発する
- ブルースクリーンが頻発する
- ファイルを読み取っているときに 「ファイルが壊れています」と表示される
- 「要求されたセクタが見つかりません」「ドライブCの読み込みに一般的なエラーが発生しました」「フォーマットしてください」などのエラーメッセージが表示される
- HDDから「カチカチ」「カタカタ」という異音が聞こえる
こうした不良セクタによるトラブルが目に見えて頻出する段階になると、すでに機器は故障寸前の状態といえます。上記症状が頻発する場合は早急にデータのバックアップなどを取り、通電を極力控えるようにしましょう。
なお、不良セクタで起こる症状は千差万別で、必ずしも特定の症状が起こるわけではありません。
不良セクタ(バッドセクタ)の修復方法
不良セクタの修復方法を3つ紹介します。
個人で実行が可能な修復方法もありますが、知識が必要であったり、実行に失敗してしまうとデータを失うリスクがあります。
そのため、重要なデータを保存しておりデータ消失リスクを抑えたい場合には、データ復旧の専門業者に依頼する方法が最も安全です。
- Windowsのエラーチェックを使用する
- コマンドライン(CUI)で不良セクタを修復する
- 専門業者に依頼する
Windowsのエラーチェックを使用する
まずはハードディスク(HDD)が故障した場合に、
Windowsには、HDD内の軽度な不良セクタを自動修復する「エラーチェック」というオプション機能があります。ただし、この方法は機器全体をオールスキャンする必要があるため、HDDに負荷をかけやすく、失敗するとHDD内のデータが消失してしまう可能性があります。あくまで操作は自己責任での実施となる点を了承し、実行しましょう。
操作の手順は次のとおりです。
①「PC(コンピュータ)」を表示します。
②チェックしたいハードディスクを右クリックし、プロパティを表示。ツールタブをクリックします。
③エラーチェックの[チェック]をクリックします。
④「不良セクターをスキャンし、回復する」にチェックを入れて、「開始」をクリックします。
⑤スキャンが開始されます。
⑥再起動を要求される場合は再起動を行いましょう。再起動すると、自動で不良セクタの修復が開始されます。
コマンドライン(CUI)で不良セクタを修復する
OSに搭載されている機能に、不良セクタを検出してマークし、データが消失する機能があります。
操作の手順は次の通りです。
- 「スタート」をクリックし、検索ボックスに「CMD」と入力する
- 検索結果から「コマンドプロンプト」を選択して右クリックし、「管理者として実行」で起動する
- コマンドプロンプトでコマンドを入力し、入力後に「Enterキー」を押す
コマンドは以下を入力してください。
- sfc /scannnow →Windowsのシステムファイルに破損などの異常が無いか確認し修復するためのものです。
- chkdsk c: /f /r →不良セクタが少数で、手軽に対処したい場合に効果的です。ファイルシステムのエラーをチェックし、修復するためのものです。
- bootrec /fixmbr →MBRのみを修復します
- bootrec /fixboot →パーティションの先頭にあるブート情報を修復します
- bootrec /scanos →ブート可能なWindowsをスキャンし、BCDストアにない情報を列挙¥します
- bootrec /rebuildbcd →ブート可能なWindowsをスキャンし、BCDストアに追加するか否かを選択します
専門業者に依頼する
上記の対処法で問題が解決しない場合、HDDでは代替処理が不可能なほど多数の不良セクタが発生している恐れがあります。このようなケースにおいて自力で対処しようと再起動や自動修復を繰り返すと、HDDのデータ記録面が損傷するなど物理障害が発生し、最悪の場合、機器・データともに破損してしまうリスクがあります。
なおHDDの物理障害には「部品交換」「ファームウェア修復」などの専門的な作業を行う必要があるため、個人での修復およびデータ復旧は不可能です。自己流の対応は避け、専門の業者に相談・依頼しましょう。
データ復旧業者を選ぶポイントについては、以下で詳しく紹介しています。
不良セクタ(バッドセクタ)修復時の注意点
不良セクタ修復時は以下の点に注意しましょう。
- 過度な電源のオン/オフや再起動はNG
- 個人で対処することのリスク
- 修理業者と復旧業者は目的が異なる
過度な電源のオン/オフや再起動はNG
不良セクタが発生している状態で、電源のオン/オフや再起動を繰り返すのはやめましょう。エラー状態で通電を繰り返すと、不良セクタが拡大する恐れがあります。
また異音がするなどヘッド破損が疑われる状況で通電すると、データ記録面に傷(スクラッチ)が付きやすく、修復・復旧がきわめて困難になってしまいます。
個人で対処することのリスク
不良セクタを修復するWindowsのエラーチェック・自動修復の機能は非常に便利ですが、解消できるのは軽度の不良セクタのみです。
エラーチェックで不具合が改善しない場合は、重度の不良セクタが発生している可能性が高く、この状態でエラーチェックや市販の復旧ソフトでの修復を試すと、不良セクタの領域が拡大し、データの消失やヘッドクラッシュ(スクラッチ)など致命的な障害を引き起こす恐れがあります。
なお、HDDに発生しているトラブルの障害原因は自己判断で特定できるものではありません。まずは専門業者で診断を受けてみることをおすすめします。業者の選び方については以下に詳しく解説します。
修理業者と復旧業者は目的が異なる
不良セクタの修復・復旧を業者に依頼する場合、最も注意すべき点は、機器に保存されている「データが必要か不要か」という点です。
もし、機器からデータを取り出したい方は、データ復旧業者をお選びいただき、データ不要で機器の動作そのものを改善したいという方は、メーカーや修理業者にご相談してください。
業者に修復・復旧を依頼する際は、データの要不要にあわせて、適切な業者を以下の通りに選びましょう。
- データ不要で、機器自体の修理が必要な場合は、メーカーや修理業者に相談する。
- データ復旧・復元が必要な場合は、技術力の高いデータ復旧業者に相談する。
機器内部のデータが不要な場合
保存されているデータよりも機器を正常に動作させることを目的としている方は、メーカーや修理業者に依頼することをおすすめします。なお修理業者に依頼する際は、事前に機器の保証期間や費用面を調べてから、最適な修理業者を選びましょう。
ちなみに不良セクタは発生すると必ず悪化するため、この種トラブルが出たHDDは正常なHDDに換装するのが安全です。ただし、換装を伴う修理は、あくまで「機器を使えるようにする」ことが目的なので、HDD内の「データ」は修理・換装時に初期化され、工場出荷状態にまで戻ってしまいます。
もし大切なデータを保存している場合は、データ復旧業者に相談するようにしましょう。
機器内部のデータが必要な場合
機器自体の修理よりも、保存されているデータの復旧を目的としている方は、データ復旧専門業者に依頼することをおすすめします。専門知識やノウハウが蓄積されている復旧業者であれば、自動修復や復旧ソフトでは対応できない障害機器からのデータ復旧が可能です。
ただし、一般的な修理業者とは異なり、データ復旧業者については具体的なイメージが湧かないという方も多いことでしょう。データ復旧業者は国内に100社以上あり、業者によって対応できる障害の範囲も異なっていますので、障害機器に対応した技術力の高い業者を選ぶようにしましょう。
中には診断~見積もりまで無料で行っている業者もあるため、まずは無料相談を受け付けている技術力の高いデータ復旧業者へ相談することをおすすめします。
おすすめデータ復旧サービス・製品
技術力が高い業者の選定といっても、判断の基準が分からない方も多いと思います。そこで今回は100社以上あるデータ復旧業者の価格、内容(対応製品)、期間や特長から比較した、おすすめのデータ復旧業者を紹介します。
メーカーのデータ復旧サービスや他社の業者で復旧不可であった場合でも、諦めずに相談することで大切なデータを取り戻せる可能性があります。
デジタルデータリカバリー
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対応製品 | 外付けHDD、パソコン(Windows/Mac)、NAS/サーバー(RAID対応)、SSD、USBメモリ、ビデオカメラ、SDカード・レコーダー等記憶媒体全般 |
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まとめ
今回は不良セクタが発生する原因、対処法、業者選びの注意点等について解説しました。
繰り返しになりますが、不良セクタによる症状が現れた時点で、大抵の場合、その機器は故障寸前であり、自己判断での修復作業は却って障害の悪化を招くことがあります(このようなケースだと、専門業者でも復旧・修復に対応できなくなってしまう恐れがあります)。
機器に重要なデータが保存されている場合は「データ復旧業者」を、機器の起動を優先させたい場合は「メーカー・修理専門業者」を選択しましょう。機器とデータを守るためには、業者への早めの相談が何より大切になってきます。まずは機器に起きている障害を正確に見極めましょう。