
Sophos(ソフォス)が開発しているUTM、Sophos UTMの特徴や評判について徹底調査しました。
導入するメリットやデメリットに加え、実際に購入したユーザーのレビュー結果も紹介します。
Sophosの特徴
イギリスのアビンドンに本社を置くSophos(ソフォス)は、セキュリティ対策ソフトウェア・ハードウェアの企業として知られています。
英国、米国、豪州に研究所をおき、年中無休で解析やカスタマーサポートを提供しています。日本法人も設立されており、日本の顧客に対しては日本語でのサポートを提供しています。
ハードウェア・ソフトウェア・クラウドから選べる導入形態
Sophos UTMの主力モデルはアプライアンス型の「SGシリーズ」ですが、ハードウェア不要のクラウド型、UTMのイメージファイルをサーバやVMwareなどの仮想環境にインストールするソフトウェア型も選べます。
複数の導入形態を用意しているUTMメーカーは少ないため、Sophos UTMの大きな特長になっています。
中規模および大規模企業向け拡張機能が充実
Sophos UTMは、中小企業・大企業や学校までどのような業種でも対応できるラインナップを展開していますが、特に中・大規模企業向けの拡張機能が充実しています。
予備電源を追加可能
1U・2Uモデルだけでなく、デスクトップモデルでも予備電源を追加できます。
追加のハードドライブ
1Uモデルの一部と2Uの全機種に追加のハードドライブが装備されています。
1U・2U用FleXi Portモジュール
企業のインフラに合わせてハードウェアを拡張するためのオプション機器です。FleXi Port LAN モジュールは、copper・fiber・10GbE・40GbEなどから選択できます。
ハードウェアの拡張性が高く、現在は小規模でも今後オフィスの拡大予定がある企業にもおすすめできます。
Sophos UTMの機能
Sophos UTMは、次のような他社製UTMの多くでも搭載している機能は網羅しつつ、他社にはない機能も搭載しています。
- ファイアウォール
- IPS
- VPN
- スパム対策
Sophos独自の機能としては、次のようなものがあります。
- SPXメール暗号化
Sophos独自の暗号化テクノロジー「SPXメール暗号化」により、受信側に特別な設定やソフトウェアがなくても暗号化したメールを送信できます。
- SafeSearch・YouTube・Google Apps
Google・Yahoo・Bingのセーフサーチ機能の強制、YouTube for Schoolsへの対応や匿名プロキシのブロックなど、教育機関向けのオプション機能があります。
- Webアプリケーションファイアウォール
Webアプリケーションファイアウォールにより、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、350種類以上の攻撃からWebアプリを保護します。
また、不正な変更やハッキングからWebサーバを保護し、レピュテーションの低いクライアントをブロックします。
また、ハードウェア面での機能でも、高速のSSD(Solid State Drive)が搭載されている点などは、他社製UTMに秀でています。企業のネットワークは常に変化しますが、UTMにSSDを搭載していることで、スパムの隔離データや各種ログを、ネットワークに頼らずローカルのストレージに保管できます。
Sophosの性能
本記事執筆時現在、Sophos UTMは小規模企業向けに4モデル、中規模企業向けに6モデル、大規模企業向けに2モデルを展開しています。
ファイアウォールスループット | VPNスループット | IPSスループット | AVスループット | |
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Sophos SG 105(エントリーモデル)の場合 | 2500Mbps | 325Mbps | 350Mbps | 380Mbps |
Sophos SG 310(ミドルエンドモデル)の場合 | 19 Gbps | 3Gbps | 5Gbps | 1.2Gbps |
Sophos SG 650(ハイエンドモデル)の場合 | 65Gbps | 10Gbps | 16Gbps | 5Gbps |
エントリーモデルといっても、他社UTMでの中規模規模向けモデルに相当する性能です。
Sophosの設置・インストール
Sophos UTMのインストールは、ウィザードに従って行うため迷うことはないでしょう。
支社・支店などへの簡単かつ安全なリモートアクセスを提供する拡張機能、Sophos SD-RED (Remote Ethernet Device)も利用できます。
Sophosの評判・口コミは?
Sophosを実際に購入したユーザーからの評判や口コミを紹介します。
良い口コミ
“性能がとても良く、同グレードで考えてもレスポンスが良い。
しかも、追加機能などが出来るため、将来的に対策を増やそうとして機器台数が増えることなく、追加できるため管理しやすい。”
Sophos UTMの拡張性の高さを評価するレビューも多くありました。また、管理に工数がかからないという口コミも見られます。
悪い口コミ
“一部英語の部分もあるため、日本語環境だけで慣れ切っている場合は、直感的に情報を得られない事もある。”
海外メーカーの製品ではありがちですが、日本語へのローカライズが完全ではなく、UIやドキュメントに英語が残ってしまっているとの評価です。
Sophosを導入するメリット・デメリット
Sophos UTMを購入するメリットとデメリットを紹介します。
Sophosのメリット
Sophos UTMは、下位モデルであっても、将来の拠点や支店の追加を想定した製品設計をしており、ハードウェア・ソフトウェアともに拡張性が高いことが大きなメリットです。
中規模・大規模企業または今後、急拡大が想定される小規模企業におすすめできる製品です。
また、Sophos UTMは、外部の評価機関からの評価が高いことも注目に値します。
例えば、SC Magazineによる「SC Awards 2016」では、Sophos UTMがベストUTMソリューションに選出されました。
他にも、米国のIT調査企業で業界最大規模のGartner社は、IT市場での各企業の勢力を比較する「Magic Quadrant」を発表していますが、Sophos UTMは4年連続で、Gartner社によりリーダー企業に選出されています。
UTMは、設計コンセプトや機能が各メーカーで全く異なるため、このような外部からの評価も製品を選ぶときの重要なポイントのひとつです。
Sophosのデメリット
Sophosは海外メーカーであるため、UIや画面などの日本語対応に難があります。
また、管理画面での各種設定は、用意された選択肢から選んでチェックボックスをクリック、数字入力欄に所定の数字を入力するだけなど、シンプルに操作できるように整備されていますが、逆に細かい設定はできないのがデメリットです。
Sophosの対応規模は?
Sophos UTMで対応できる範囲はどのくらいでしょうか。Sophos UTMを導入したときに効果の高い企業規模を紹介します。
個人・小規模企業 (従業員数20人未満) |
小規模企業 (従業員数20~100人) |
中規模企業 (従業員数100~300人) |
大規模企業 (従業員数300人以上) |
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Sophosによる対応規模 | ★ | ★ | ★ | ★ |
本サイト検証による導入効果が高い企業規模 | ★ | ★ | ★ |
参考:
・ライセンスユーザー数:無制限(Sophos SG 105の場合)
・ライセンスユーザー数:無制限(Sophos SG 650の場合)
実際に導入したユーザーのレビューを見ると、導入した企業の業種はプラスチック製造・総合卸売・情報通信・印刷と幅広く、企業規模も従業員数20人以下から1000人以上の企業まで分布しています。
従業員数20人以下でSophos UTMを導入した企業は、「スモールスタートから必要に応じてライセンスを追加していく展開などがやりやすい」とコメントしています。
Sophosの価格相場は?
Sophos UTMはエントリーモデルでも機能が充実している割には安価であるため、小規模企業も多く導入しています。
参考価格(ソフトウエアの使用権1年分を含む) | |
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Sophos SG 105</em | 約10万~15万円 |
Sophos SG 650の場合 | 約450万円以上 |
(2020年4月22日現在 参考価格)
参考価格です。販売店により価格設定が大きく異なります。
ライセンスは、機能パッケージである”BasicGuard”・”FullGuard”・”FullGuard Plus”のいずれかのプランを選択する他に、モジュールのみの単体購入もできます。
まとめ
SophosのUTMの特徴や評判について解説してきました。
Sophos UTMは、中小規模企業向けから大規模企業向けまで幅広くラインナップしていますが、拡張性の高さに定評があることから、今後、UTM導入拠点・支店が増える予定がある企業に特におすすめできるUTMです。