
「KINGSOFT Internet Security」は、日本国内でシェアを伸ばしているセキュリティソフトの中では珍しく中国製です。
本記事では、無料セキュリティソフト「KINGSOFT Internet Security」について説明します。
Contents
KINGSOFT Internet Securityの特徴や導入メリット
KINGSOFT Internet Securityの特徴を紹介します。
軽くてシンプル
KINGSOFT Internet Securityは動作が軽くて、UI画面がシンプルなため、継続して使用するユーザーも多いセキュリティソフトです。そして、完全無料ながら広告が表示される以外は機能制限もなしという、コストパフォーマンスの良さが最大のメリットです。
KINGSOFT Internet Securityが軽いと言われる理由の一つが、クラウドウイルススキャン技術の採用です。デバイスをスキャンするとき、他社のセキュリティソフトの多くでは、デバイス上に保存されたパターンファイルを参照してスキャンしますが、KINGSOFT Internet Securityではデバイス上にはパターンファイルを保存しません。
クラウド上に保存されたパターンファイルを使用してオンラインでデバイス監視し、解析をします。このため、常時オンラインの状態であることがKINGSOFT Internet Securityの動作条件になっています。
サポート体制が充実
KINGSOFT Internet Securityの特徴のうち、特に初心者のユーザーに有益なのが手厚いサポートです。KINGSOFT Internet Securityは無料のセキュリティソフトながら、次のようなカスタマーサポートが受けられます。
- チャットボットによるチャットサポート
- メールでの問い合わせ
- 電話での問い合わせ
いずれの問い合わせ方法でも、個人のユーザーの場合は原則無償となっています。
KINGSOFT Internet Securityの性能
KINGSOFT Internet Securityの性能や技術面について説明します。
防御力に課題あり
セキュリティソフトの性能面を客観的に知るためには、第三者評価機関による評価テスト結果が参考になります。著名な第三者評価機関のひとつAV-Comparativesによる「現実的な使用状態における防御テスト」の結果です。
2014年8月~11月度のこの防御テストには23社の製品が参加していますが、KINGSOFT社の製品は防御率93.5%で18位と今ひとつの評価結果でした。
引用:AV-Comparatives /Real-World Protection Test August-November 2014
評価を下げた原因は、正規のファイル/URLまで誤って検出してしまう誤検出が多かったことが一因で、KINGSOFT社は、平均値の16回(回数が少ないほど良い)を下回り、19回の誤検出でした。
ご紹介したテスト結果は2014年のものと古い理由は、そもそもKINGSOFT社は2014年度を最後にテストへの参加がないためです。AV-Comparatives同様に著名な第三者評価機関であるAV-TESTでも、KINGSOFT製品は2014年のテスト参加が最後になっています。第三者評価機関での評価テストには主要なセキュリティソフトの多くが参加しているものの、テストへの参加は任意です。
性能に相当の自信がないと、セキュリティベンダーにとってはテストへの参加が逆に評判を落とす要因になってしまいますが、KINGSOFT社が第三者評価機関のテストへの参加を突然取りやめた理由が気になるところです。
KINGSOFT Internet Securityの搭載機能
KINGSOFT Internet Securityに搭載されている機能は次のとおりです。
- フィッシングサイト対策機能
- ウイルス・トロイの木馬・マルウェア駆除
- 個人情報漏洩の防止
- ルートキット対策
- ウイルススキャン
- ブートスキャン
- ウイルスデータベース
- パターンファイル更新
- 外部記憶域自動スキャン
- レジストリ領域の監視スキャン
- 接続設定の監視
- ヒューリスティックスキャン
- CPU使用率低減
- 自動再生禁止ツール
- リアルタイムガードによるウイルス駆除
- ブラウザ保護
- ブラウザの設定変更阻止
- ダウンロードの監視
- Wifiテザリング機能
- セキュリティアクセス
- パスワード管理
- WEBカメラ監視
一覧表を見る限り多くの機能が搭載され、しかも無料なので「機能が多い=優れたソフト」と思いがちですが、必ずしも機能が多ければ良いという結論にはならない点に注意してください。
インターネットセキュリティ情報収集ポリシー
セキュリティソフトの目的はユーザーのデバイスの防御であるため、システム領域へのアクセスからデバイス内の個人情報の閲覧まであらゆる権限が与えられています。
本来、デバイス内の個人情報を守るべきセキュリティソフトウェアベンダーによる個人情報収集に目を光らせる必要があるのも事実です。
KINGSOFT社の場合は、キングソフトインターネットセキュリティ情報収集ポリシーでKINGSOFT Internet Securityの無料版では、次の情報を収集すると記載されています。
- 本ソフトウェアのID 番号、バージョン番号、およびインストールに関する情報
- 登録されたユーザー属性情報
- ユーザーのWebサイト利用履歴に関する情報
また、KINGSOFT Internet Securityから収集した情報を、KINGSOFT社と秘密保持契約を結んだ第三者に提供することがあるとも記載されています。「秘密保持契約を結んだ第三者」を信用できるかどうかはグレーな部分でもあります。
“無料”には理由があります。情報収集ポリシーや個人情報の扱いなど各ベンダーの姿勢を確認してから慎重にダウンロードすべきです。
対応OS
KINGSOFT Internet Securityの動作環境はMicrosoft Windows 7 / 8.1/10です。モバイル用には「KINGSOFT Mobile Security Plus」がAndroid用・iOS用と提供されており、アプリストアからダウンロードできます。
KINGSOFT Mobile Security Plusの紹介ページには値段がはっきりと記載されていないのでダウンロード前に注意が必要です。
引用: 総合セキュリティ – キングソフト モバイルセキュリティ プラス/Google Play
KINGSOFT社の公式Webページおよび公式アプリストアいずれの説明を参照しても、一見では無料ですべての機能が使用できるように見えます。実際は、インストールは無料ですが月額300円で定期購読しないと各種機能は使えません。
定期購読は自動更新かつGoogleアカウント/Appleアカウントへの請求となっており、定期購読の解除はGoogleアカウント/Appleアカウント上で操作しないとできない点に注意が必要です。
製品ラインナップと価格
無料版「KINGSOFT Internet Security」と有料版のナインナップは次のとおりです。
価格 | 特徴 | |
---|---|---|
KINGSOFT Internet Security (無料版) |
無料 | 広告表示あり ブラウザのスタートページがStartHomeに設定される |
KINGSOFT Internet Security (有料版) |
2,000円(1台まで) 3,980円(3台まで) 4,980円(5台まで) |
広告表示なし |
※2019年9月26日調べ(税込)
KINGSOFT Internet Securityの無料版と有料版の機能差は、広告の有無です。また、無料版ではブラウザのスタートページがStartHomeに設定され、Internet Explorerで新規タブを開くたびに「StartHome」ページが表示される設定になっています。(設定の解除は可能)
KINGSOFT Internet Securityの評判・口コミ
KINGSOFT Internet Securityを実際に導入したユーザーの評判や口コミを見てみましょう。
良い口コミ
最安値を更新され、信頼のおけるメーカーだったので購入しました。セキュリティソフトを探していたのですが安価で更新料が不要でユーザーに優しいソフト、これがそうです。
KINGSOFT Internet Securityの口コミは高評価であるものが多いです。有料版でも他社と比較して3割から5割ほど価格が安いため、コストパフォーマンスが良いと評価されているようです。
悪い口コミ
早速インストールし使用していましたが、ディスクのトラブルが生じてしまい、全てのソフトを入れ直さないといけなくなりました。
コメントの真偽は不明ですが、KINGSOFT Internet Securityに関する悪い口コミの数は多くありません。
まとめ
無料をうたうセキュリティソフトは複数ありますが、サポートが手厚い無料セキュリティソフトは他に見つけるのが難しいです。無料ながら手厚いサポートが受けられる点が「KINGSOFT Internet Security」の強みです