「プレスリリース」で不信増幅か|セシールオンラインショップ不正アクセス事件についての考察

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9月22日、セシールオンラインショップに、再び不正アクセスが為されました。これに対し「再発防止が為されていない」等の論調がおきましたね。

以前にも解説した通り、筆者はセシールオンラインショップは同業他社と比べ、顧客重視の姿勢がしっかり見られると今でも判断しています。

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ですが、なぜ今回のように批判される事態に陥ったのか。そこには「プレスリリースの問題点」がありました。以下、解説していきたいと思います。

再発防止対策は可能だったのか

経緯については、7月31日の事件と同様「アカウントリスト攻撃」です。闇のネットワークで取引される、どこかから流出したメールアドレスとパスワードの組み合わせリストを使い、片っ端から入力してみるというものです。

まずこれは「完全に防ぐことは困難」です。正しいIDとパスワードでアクセスしてきているんですから、本人のアクセスと見なされてもしょうがない。そもそも不正アクセスとしない企業も多いであろうことは、以前の解説で触れた通りです。

もし、このような”なりすまし”を完全に防ごうと思ったら、個人認証の方法を変えなければなりません。今までのIDとパスワードを変えたり、専用の認証ソフトを入れて貰ったり、と”お客様側の”対応が必要です。セシール側で完結できる再発防止対策は、ほぼ無いに等しいのです。

すぐにできることは、他のサイトとIDとパスワードを同一にしないこと、これをアナウンスすることくらいでしょう。それは8月に既に行われていました。実はセシール側はできることは、やっていたのです。 

なぜ「再発防止ができていない」との批判が出たのか

ここに「プレスリリース」の問題があります。実は、このプレスリリースの文章、前回・今回と全く同じ文言がありました。

それが「今後の対応について」です。そこには、全く同じ文言でこうあります。

弊社では今回のことを厳粛に受け止め、さらなるセキュリティレベルの向上策を講じ、再発防止に努めてまいります。

弊社「セシールオンラインショップ」への”なりすまし”による不正アクセスについて/株式会社ディノス・セシール(2017年9月25日)より引用

「再発防止に努めてまいります」は、謝罪プレスリリースの定番ですし、おそらく、定型の”ひな型”があったのでしょう。前回同様、事件後のプレスリリースはとても早いですし。しかし、同様の状況で同様に再発防止を訴えたら、「じゃあ、前回の対策はどうだったんだ、何もしていなかったのか」となってしまいますね。

私が担当者だったら、こんな感じにするでしょう。

弊社では前回の“なりすまし”による不正アクセスの事例を踏まえ、ID・パスワード管理の注意喚起などに努めて参りましたが、今回の事件を防ぐことができなかったことを厳粛に受け止め、さらなるセキュリティレベルの向上策を検討し、お客様に信頼頂けるサイトであるように努めてまいります。

不正アクセスをしようとする犯罪者に自制を求めることはできません。またお客様に強制的に作業を求めることもなかなかに難しい。

ようするに“なりすまし”の不正アクセスは事業者側のみで根絶することは不可能に近いのです。それを「再発防止に努めてまいります」と簡単な定型文で誤解を受けるような表現をしていたことが、今回の批判の原因でしょう。

最終的な目的を取り違えないこと

謝罪とは、”謝罪をすること”が目的ではありません。”相手の信頼をつなぎとめること”こそが目的です。

できないことをできるように思わせてはいけません。事実は事実として報告し、誤解を受けるような表現は極力避けたうえで、真摯な反省の姿勢を見せることが重要です。

定型があるからと言って、内容を吟味しないでそのまま使ってしまうと、「今回の件、簡単に考えてるんじゃないかしら?」と思わせる原因になってしまいます。折角、企業姿勢としては顧客重視をしているポイントがそこかしこに見られるのですから、実にもったいない。

マニュアルを整備するのは良いことなのですが、それに引きずられてしまっては、本末転倒です。お客様の立場から、もう一度リリース内容を読み直し、事実と反することがないか、できないことをできるように書いてないか、一息ついて見直す余裕が欲しかったところです。

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星野靖裕

金融機関にて、融資管理・情報システム開発に従事。経営・現場双方の視点を備え、効果的なマネジメントシステムの構築を指導。人員一桁から数千人の一部上場企業まで幅広くコンサルティングを行う。
  
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作者:   セキュリティインシデント事例